●0526 続・葺き上げ工程
必要な量の茅を並べ終えたら、竹で仮に押さえて固定し、叩いて屋根の形を粗く出しておきます。
仮押さえの竹は、茅を束ねていたサンバイコウと呼ばれる縄を再利用して、先に中押さえに張った縄に綴じて固定しています。
ところで、モノを束ねるために用意する短い紐のことを、サンバイコウと呼ぶのですが、語源もどのような漢字を当てるのかもさっぱりわかりません。どなたかご存知でしたらぜひ教えて下さい。
茅がしっかりと押さえられる適切な位置を選んで、本番の押さえの竹を配置して、屋根裏に「針受け」に入ってもらった人と協力しながら、大きな針を使って屋根下地の垂木に針金で縫い止めて行きます。
表面から少しずつ風雨にさらされた屋根が減って行き、この竹が表れてしまったときが屋根の寿命となります。ですから、竹から奥に敷き並べる捨て茅は文字通り捨てているようにも見えますが、それによって茅の角度を適切に保てるように調節する事が、強く美しい屋根を葺くために一番必要な条件です。
押さえ竹を縫い止めるときに、足場の丸太を吊るための紐も、屋根下地の母屋からとっておいて、仮押さえの竹を外して足場丸太を吊ります。
足場丸太に乗って、押さえの竹を足で踏みながら針金を八分の力で締めておきます。
それから、屋根表面を叩き揃えて形を整えます。
あらためて、数人並んで呼吸を合わせながら押さえの竹を足で踏みつけ、針金を締め上げてしっかりと固定します。
最後にもう一度叩いて揃えてから、足場丸太を屋根の表面になる位置まで下げて止めます。
今回は屋根全面の葺き替えをしているため、以上の作業を東西南北の四面で繰り返しながら上がって行きます。
フリダシに戻る。
ところで、鎌倉にいながら何となく観光スポット特有の気配が感じられて、これまで海の方へ行くのを避けて来てしまったのですが、今日は由比ケ浜の住宅地の中を散歩していたら、ある地点から風に潮の香りが混じるようになって、もともと神戸の海のそばで育った人間なのでとても懐かしい気持ちになって、誘われるままに海岸まで足を延ばしてしまいました。
やっぱり、海を眺めると心が落ち着いて気持ちが良いです。
でも、今日は風が冷たくてTシャツでは少々つらかったので、海岸道路に面した店に逃げ込んだら、小柄なバーニーズマウンテンドッグが出迎えてくれたお店が、Daisy's Cafeでした。