●0521 屋根は捗らず、鎌倉の話
あいかわらずすっきりしない天気が続いています。
養生シートを上げたり下げたり・・・まるで、それが仕事のようになってしまっています。
茅葺き職人に愛用者の多い昔風の「縫い付け」の地下足袋は、足裏の感覚が良く高所の丸太の上での作業には最適なのですが、濡れたシートの上を歩いただけで水が滲みてしまいます。一度濡れてしまうとなかなか乾かないのに。
ところで、鎌倉の町を歩いて目につくのが、大正昭和初期に建てられた木造住宅。いわゆる近代和風と呼ばれる範疇に入るのでしょうか? 繊細な表情を纏いながら、しっかりと骨太に組まれた強さも醸し出していて、まさに「端正」と呼びたくなるたてもの達です。
鎌倉は関東大震災による津波で壊滅的な被害を受けたそうで、その後街が再建されたことと関係しているのでしょうが、日本で大工さんが一番良い仕事をすることができたと言われる時代の、木造住宅のストックが豊富です。
旧華族のお屋敷とかはもちろんですが、町中の小さな住宅などでも、いかにも確かな仕事がなされたという跡が感じられます。
町を歩いていると、そんなたてものが今でも普通に住む道具として、大切に使われている事が感じられてくるので、散歩をするだけでとても幸せな気持ちになれる町です。