2006年06月02日

●0602 Corazon/Rihito Masuyama

鎌倉に来た頃は、境内の木陰は射干(シャガ)の咲き初めだったのに、いつのまにやら紫欄(シラン)が満開に。
屋根は仕上がらないのに、季節は移り変わって行きます。
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ところで、由比ケ浜のジュルネに晩ご飯を食べに行ったら、増山リヒトさんの写真展 corazon が始まっていました。
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壁にかけられているのはラテンアメリカの、明らかに貧困層の子供達の写真。彼らの置かれている環境に反して写真の雰囲気が明るいのは、原色に彩られた街と何より子供達が笑顔であること。

良い写真というのはピントがどうとかというよりも、まず被写体が良い表情をしているかどうかだなあ、などと思いながらひととおり写真を眺めて、リヒトさん本人は他のお客さんの応対をされてるし、ご飯が出来るまでの時間つぶしのつもりで「corazon journal」なるレポートを読み始めたのですが、すぐに引き込まれて2年間に渡る活動の記録を一息に読んでしまいました。

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リヒトさんはニカラグアに青年海外協力隊員として、孤児院での情操教育に携わるために赴任したものの、受け入れサイドのいかにもラテンアメリカらしいトラブルに巻き込まれて、スラムでのストレートチルドレンの救済にあたるNGOに派遣されてしまいます。
畑違いの業務内容、想像を絶するヘヴィな環境、やる気の無い派遣先。リヒトさんは任期の間を週末のサーフィンを息抜きとしながら、与えられた仕事の無意味さにただ耐えてやり過ごしてしまうことも出来たのだろうと思います。
でも、彼は誰に頼まれることもなく毎日スラムの一角で、学校へ行けない子供達を集めて読み書きアートを教え始めました。
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彼は笑顔の子供達を写真に撮ったのではなく、彼の助けを借りて笑顔を取り戻していく子供達が写った写真だったということを知って、随分と感動してしまいした。30過ぎてから涙腺が緩くなったかなあ。
レポートの内容をお伝えできないのが残念ですが、近くサイトを立ち上げるらしいので、その時をお楽しみに。