●0702 棟収め
ついに鎌倉暮らしも七月に突入です。四月に来た時には「夏までには済むだろう」と軽く考えていたのですが・・・
足場に吊っている丸太の下は屋根が乾かないので、茅に混じっているススキの種がとうとう芽を出してしまいました。
もちろん、種は条件反射的に発芽しただけで、屋根を仕上げて丸太足場を外せば乾燥するし、栄養も無いのですぐに枯れますけれども。
とにかく、ようや棟積みがはじまりました。
建物は方丈(平面が正方形)で寄せ棟なので、単純に考えると最後まで葺き詰めれば棟は点となるのですが、大きな屋根がそれではプロポーションのバランスが悪いのと単純に葺きにくいこともあって、妻側の勾配を平側よりやや急にすることによって小さな棟ができるように下地の段階で調整してあります。
最後に並べて竹で押さえた茅は、四方から集まって互いに邪魔にならないように短く切る必要がありますが、短いと抜けやすくなるため、それを防ぐために押さえの竹から奥で折り曲げておきます。
茅を横に積んで棟の形になるように整えていきます。
ただし、棟の天端が水平になるように徐々に寝かして行きつつも、両端は杉皮や瓦で雨養生のラッピングをした後も雨にさらされるので、水が棟の中に入って行かないように外に向かって傾斜する勾配を保つように取り付けます。
棟積みはまだ続きますが、とにかくてっぺんまで葺き上がりました。
もっとも、小さな棟に大勢でたかっても効率が上がらないので、棟積みはスミタ父子にお任せして先に軒裏を仕上げて行くことにしました。
ですから、ここで紹介する棟収めの工程作業は、あくまでも僕の見たスミタ流(形は関東風ですが)のレポートです。
軒刈りは重く大きなハサミを支えて一日中刈り続ける事になるので、肉体的にはきつい作業ではあるのですが、仕上げ仕事をきれいにこなすやりがいも大きいので、屋根屋仲間にはこの工程が結構好きだという人が少なくなかったりもします。