●0704 続・棟収め/鎌倉のやぐら
(一部ですが)軒が通って(途中ですが)棟が乗ると、屋根の形が見えて来ました。
前後の最後の押さえ竹に2重にしたワラ縄を通して、横積みにした棟の茅を締め上げて固めます。
ちなみに最後の押さえ竹は、棟の下ごしらえで高さを揃えて設置した下地の竹に縫い付けることで、棟の基礎として水平に設えることができています。
最後の押さえ竹の上にさらに茅を並べて、最後の押さえ竹から針金を取って押さえます。
棟と屋根面との取り合いを滑らかにしたり、下地まで貫通した針金で締めてある最後の押さえ竹を養生する意味があります。
ところで鎌倉のあちこちにある、覚園寺境内にもたくさんある洞穴が「やぐら」と呼ばれる中世の墓所であったことは、例によって鎌倉に来るまで全く知りませんでした。
近世、近代には物置として使われていたりしたので、内部に安置されていた五輪塔も外に放り出されてしまっておりますけれども。
内壁には手で掘った鑿の跡がはっきりと残っています。
切り通しもそうなのですが、襞のように入り組む谷戸の奥まで発達した鎌倉の街では、周りを取り囲む砂岩の崖を掘りたくなるのが人情というものだったのでしょう。
鎌倉の外とは繋がっていないので切り通しとは言わないのでしょうが、谷戸と谷戸とをつなぐ小さな切り通しもあります。
あるいは、ご近所との往来を便利にするためにやぐらを貫通させてしまったのかも。