2007年04月25日

●0425 葺き上がり/芸術新潮

本日4月25日発売の、「芸術新潮5月号」で、武相荘の葺き替えの様子が小特集として取り上げられています。
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ていねい且つまじめな取材ぶりに感心させられていましたが、若き棟梁の中野誠氏(本ブログに登場するナカノさんです)のお人柄の伝わる、楽しい特集となっていました。
また、さすがにプロの方による現場写真は素晴らしく、僕のいい加減なシャッターでは伝えきれない雰囲気や工程も良く解ります。

書店へ行かれましたらぜひ手に取ってご覧になってみて下さい。


さて、現場の方はいよいよ箱棟の際まで葺き上がって来ました。
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棟を積まない箱棟の場合の葺き納めは、まず箱棟と下地との隙間が埋まるまで茅を葺いて、それを押さえ竹で締め付けることによって生まれる隙間に、さらに茅をぎゅうぎゅうと詰め込めるだけ詰め込みます。

ただ、茅は丈夫とはいえ草ですから、力まかせに押し込んでも折れて曲がるばかりで入っては行きません。
また、やたらと詰め込んで茅の勾配がひっくり返り、屋根の内側に傾斜するようになれば当然そこから雨漏りしてしまいます。
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加減が難しいのですが、箱棟のつくりが華奢だったり茅を差し入れられる構造になっていなかったりすると、さらに余計な苦労を強いられることとなってしまいます。

幸いこちらの箱棟はとても具合の良い拵えとなっています。
妻側にも丈夫な板が組んであり(大工さんの言うところの風破板はこちら)、雨仕舞いに全く関係のないところを葺くために、いらない苦労をすることもありません。
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箱棟の下に見える破風も、つくりが凝っているだけではなく茅を葺く際の事情にも配慮していて、当時の大工さんが茅葺きのことを良くご存知であったことに感心させられます。

そんなこんなで葺き上がりました。
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続いて散髪、仕上げの刈込みです。