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2007年05月01日

●070501 丹後の笹葺き

蚕室として利用する中2階への通風のために、茅屋根の軒を切り上げて窓を設け、妻側の壁を大きく曝す旧永島家住宅の造りは、丹後の山村集落で普通に見られる民家の造りです。
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ただオリジナルの丹後の民家は、茅材としてススキやヨシではなくササを用いる、笹葺きが一般的だったようです。

宮津では笹葺き文化を継承し里山の再興を目指そうと、立命館大学経営学部学生有志や地元NPO、森林組合などが「笹葺きパートナーズ」という活動を続けていて、本ブログに度々登場してもらっているヤマダさんも中心的な役割で活躍されているため、僕も何度かお手伝いにお邪魔したことがありました。
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今回せっかく宮津まで来ているので、帰る前に活動拠点として笹葺きの屋根を葺いている、上世屋という集落の様子を見に行って来ました。

毎年笹刈りをして収穫した分だけ葺き進めているのですが、今年の秋の収穫分でいよいよ葺き収まりそうなくらいに捗っていました。
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表面に笹の葉が密集していることからわかるように、ここで笹は元を上にして葉先を外に出した逆葺きで葺かれています。
逆葺きの笹葺きは、今ではここ丹後と能登にわずか数軒ずつが残っているだけの、貴重な技術となってしまいました。

しかし実は笹はつい最近まで、丹後から由良川水系に沿った福知山、綾部あたりまで、広く茅材として用いられていました。
この写真は由良川周辺に大きな被害の出た記憶も新しい、2004年の台風23号の直後に撮ったもので、強風によって「缶詰」屋根のトタンが飛ばされてしまったところ、中から笹葺きの屋根が現れています。
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定期的な葺き替えの必要な茅葺き屋根は、たとえ重要文化財であっても、わずか数十年前の屋根の実態を知ることすら難しくなってしまいます。しかし、トタンを被せられている屋根では、内部の茅葺き屋根は被せられた当時のものが長く保存されることになります。カンヅメ屋根はかつて茅葺きが当たり前であった時代の、地域毎の特色を活かした豊かな材料や技術を保存してくれてもいるのです。

トタンを被せられた茅葺き民家について、以前「茅葺きに厳しい時代を乗り切り次代に繋ぐための文字通りカンヅメとして」 「人の暮らしとともに変遷する民家のある時代を象徴するスタイルとして」もっと評価するべきだと書きましたが、歴史資料としても学ぶべきことの多い、大切なものだと思っています。

ところで上世屋を訪ねた目的は、実は笹葺きの様子を見るだけではなく、この棚田を見ておきたかったからでもあります。
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笹葺きのお手伝いに来るときは常に晩秋だったのですが、見事な棚田に水を張ったところを是非一度見ておきたかったもので。
ところどころ休耕田も目につくようにはなっていましたが、文化としての茅葺き屋根は周りの里山と一体としてでなくては成立しませんから、笹葺き再興の取り組みがいずれはこの棚田を活かしてくれるようになることも期待してしまいます。

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コメント

お久しぶりです。私も5月の中旬ぐらいに上世屋に行ってきました。ここで紹介してはる笹葺きの民家を見ましたが、今まで見たこともなかったのでびっくりしました!笹が屋根になるとは。。。
上世屋の民家を見ていて思ったのですが、私の住んでいる福知山の民家に比べ家が細いというか、屋根の勾配がキツイというか、やはり雪が多く降るからなのですかねぇ?そこの土地によって民家の形が違っていて面白いですし、感心します!!

こま さん、コメントありがとうございます。

ご無沙汰してしまって申し訳ありません。まあ、件のような事情で。
今は六月半ばくらいまでの予定で、美山の大野で仕事しています。機会があれば連絡してみて下さい。

屋根の微妙なかたちを決めるのは材料です。そして雪は材料を決める大きな要素です。
ところでこれは僕の印象できちんと調査したわけではありませんが、福知山でも旧三和町あたりは篠山まで連なる丹波系の茅葺きが多く、旧福知山市や綾部などは丹後系の茅葺きが多いような気がします。福知山盆地のトタンを被った屋根を調べれば、笹葺きの屋根が結構あるのではないかと思うのですが・・・

こんにちは!
笹葺きは一度見たことがあります。
笹葺きは、葺きあげるときに一緒に笹をはせるのでしょうか?
最後の仕上げはハサミで刈るのでしょうか?
笹は刈られていないように見えますが。
ホント不思議な屋根ですね。
能登に残る笹葺きの所在地を教えてもらえないでしょうか。個人情報になるようでしたらメールでお願いします。
私が昔見た笹葺き→http://blogs.yahoo.co.jp/runarunanotabi/9404740.html

週末、鹿島で開催される茅葺きのシンポジウムは行かれますか〜?

ルナルナ さん、コメントありがとうございます。

写真拝見しました。なるほど、茅の間に笹が挟んで葺かれていますね。茅の間に杉皮を挟む、奥多摩の「虎葺き」みたいな感じでしょうか。これはどちらの屋根なのでしょうか?差し支えなければ教えて頂けませんか。

能登の屋根については僕も詳しいことは知らないのです。すみません。

丹後の笹葺きは茅のあいだに挟むのではなく、熊笹100%で葺かれています。そしてハサミで刈り込んで仕上げてあります。
ススキやヨシのようにかっちりはしていませんが、これはこれで趣のある表情の屋根だと思います。

鹿島でのシンポには僕以外にも美山から何人か参加させていただきます。

http://mixi.jp/view_event.pl?id=19102215&comm_id=273859

ナショナルトラストのHPに案内が見当たらないので、web上で紹介するのが難しいですねえ。

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