●070729 男鬼での差し屋根
山城茅葺屋根工房のヤマダさんに声をかけてもらい、滋賀県立大学人間文化学部有志「男鬼楽座」による、廃村「男鬼(おおり)」再興の取り組みの一環としての、集落の茅葺き民家の屋根の差し茅をお手伝いしに行って来ました。
名神高速の彦根I.C.を下りて山間に分け入って行くと、男鬼方面から流れ出してくる川の水が、まるでガラスのように透明なことに驚かされました。
玄武岩質の美山では川底の石が黒く泥っぽいので、川の水質が良くてもこれほどの透明度は得られません。
水が青く見える感じは鍾乳洞の地下水みたいだと思っていたら、近辺はやはりカルスト台地で、川底に敷きつめられた玉砂利も石灰石でした。
山口県の秋吉台などと同様に、ここでもカルスト台地の緩やかな尾根筋はかつては茅場として利用されていたそうです。
茅刈りの行われなくなって久しい現在では、それらの尾根も雑木の林に遷移してしまっていますが、男鬼楽座の活動として再び茅場に戻そうという取り組みもなされていました。
ハードウェアとしての茅葺き民家の保存に止まらず、周辺環境の整備に繋がる営みを取り戻そうとしていることが素晴らしいと思います。
茅葺屋の目指すソフトとしての茅葺きの再興と通じるものも多く感じていて、今後の活動からは目が離せませんし、もちろんお手伝いできることがあれば微力ながら力になれっていければと思っています。
コメント
こんちわ!
昨年、男鬼へ探訪する予定でしたが時間がなくなり断念しました。
屋根の上にある縦に付けている竹は何の効果があるのでしょうか?
Posted by: ルナルナ | 2007年08月03日 13:46
ルナルナ さん、コメントありがとうございます。
男鬼に限らず周辺にはトタンを被せてあるものの茅葺き民家の数も多く、美しい山里の風景が広がっていました。
もちろん、暮らしておられる方にとっては気楽にきれいだなどとは行っていられない、難しい問題も山積していることとは存じますが、それだけに男鬼楽座の取り組みは意義のあることだと思います。
深い視点を持ってのこの取り組みは、必ずや実を結ぶものとなることでしょう。そのために少しでも力になることができれば何よりです。
さて、縦に取り付けてある竹ですが、こちらのお宅は何年か前まで住人の方自らがこまめな手入れを重ねることで維持されて来たそうです。
つまり、職人による葺き替えは久しく行われておらず、既に押さえの竹(オシボコ)は軒並み雨に曝されるまでに屋根は減っていて、茅は互いの摩擦係数だけで屋根の上に引っかかっている状態です。
それでは心もとないので、縄漏りの心配の少ない針金を使って、屋根の表面を直接竹で押さえているのですが、横に竹を置くと雨仕舞いや雪の影響がありますから、縦に押さえているものと思われます。
差し茅を繰り返して押さえ竹が効かなくなった屋根では、風に弱い両端をとりあえず縦に竹を這わせて押さえているのは時々見かけます。が、こちらのように屋根全面に施してあるのは僕も初めて見ました。
Posted by: shiozawa | 2007年08月04日 19:49
それにしても、きれいな水ですね〜
彦根から伊吹にかけて、石灰岩の土地が続いているのでしょうか〜
太陽の光が反射して、キラキラしていますね心が洗われるようです。〜好きな写真です。
ありがとうございます
Posted by: とまとん | 2007年08月06日 00:01
とまとん さん、コメントありがとうございます。
川の水を目にして、思わず車を停めました。
夏ですし、出来ればざぶざぶと入っても行きたかったのですが、すでに集合時間に遅刻していましたので w
男鬼の周りは、あらためてゆっくり訪れようと思います。
Posted by: shiozawa | 2007年08月06日 22:38