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2007年08月28日

●070828 デザインの大学とは?

シオザワの母校である神戸芸術工科大学で、かつて学生を指導しながら一緒に制作した茅葺きの方丈庵が、新校舎建設の用地にかかりるということで、取り壊される前に解体しに行って来ました。
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在籍中の茅刈り活動が現在の茅葺屋の礎となったように、神戸芸術工科大学では神戸市が全国有数の茅葺きが残る地域であることを明らかにし、さらにそれらをサスティナブル建築、環境共生住宅、生態系保全、都市と農村との交流機会など、環境デザインの視点から評価する研究活動が活発に行われて来ました。

この方丈庵でも実際に茅屋根葺きを体験することで、茅刈りに参加する学生の技術とモチベーションの高まりを期待していました。もちろん、身近に茅葺きの建物があることで、建築として評価する機会としても活用していってほしかったのですが・・・
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めくりながら再使用可能な茅はまとめて、畑行きの茅とは分けてはおきました。それらは研究室のメンバーが保管場所まで運んでくれましたが、再利用できない茅は畑に行くあてが無く産廃扱いとなるようです。
解体に際して学部の学生が誰も来なかったのは寂しいですね。夏休み中ということもあるでしょうが。
学内でも茅刈りなど行われるようになって、多少なりとも茅が刈り貯められていたら、別の場所でまた葺き直すということも検討できたのですけれども。

この建物がそこまで学生に愛され無かったということについて、滋賀県立大立命館大学での、独創的な切り口での茅葺きに関わる活発な活動を見て来たこともあり、もっと学生の興味を引き出すような方法があったかもしれないと、責任も感じています。
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同時に「デザインの大学」であるはずの母校が、敷地内の茅葺きや雑木林といった資産を活かせず(デザインできず)、ファッションとしての建築やCGアートなどに偏りつつあるように思えて心配です。僕はこの大学で「茅葺きが環境デザインである」ことを学んだのですが、現役の学生がそのような薫陶を受けられそうな空気は、随分と稀薄になっているように感じました。
茅葺きの方丈と並んで建っていた、かつての在校生が版築工法を用いて建てた、土の実験住宅も取り壊されました。草や土の小屋が建ち並ぶ様は、現代の建築デザインの最先端モデル展示場のようで壮観だっただけに、仕方の無いこととはいえ残念です。

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コメント

世の中には未だにデザイン=新しいものという意識があるのでしょうか。
デザイン=機能性が大事だと思うのですが・・・。
その地に根ざしたものが大事である、時間をかけて培ってきたものは意味があると思うのです。

昔からの日本の家は涼しいし、雑木林も涼を運んでくれる。
でも今の日本の家は窓を小さくして全室クーラーつけるのが当たり前になりつつある・・・。
それがデザイン的にも素敵だと思う人々の多いこと・・・。

デザインって何なのでしょうか?

ceico さん、コメントありがとうございます。

デザインとは目新しいもの、きれいなものをつくることではなく、どのような意味を与えられるかだということを、在学中に気付かせてくれた学校だったのですが・・・

建築基準法の改変で、機械換気が義務づけられたのはショックでした。高気密住宅をエコだと語ることも、デザインのうちなのでしょうか。
仕事は社会的にも環境へも、責任を持てるコンセプトの上に行われるべきなはずです。デザインにファッションとしての一面があることは否定しませんが、それがあまりに表に出て来るようだと、デザインのプロを育てる大学の醸す空気としては、少々寂しく感じます。

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