●071003 軒付け
自宅の前には川から引き込まれた水が流れています。田んぼに入れるための水路ですが、谷に沿って伸びる砂木の集落の家々の前を通る際に、野菜を洗ったり生活用水としても使われているので、稲刈りが終わったあとも水が止められることはありません。
茅葺きはとにかく汚れる仕事なので、現場に手や顔を洗えるきれいな水が流れていると助かります。
今朝は、水路に咲くミゾソバの花びらが浮いていました。
さて、編み付けの上には稲ワラを並べて、下地に対して角度を稼いで行きます。
藁の上には古茅の「シン」を並べて、さらに角度を稼ぎます。
砂木の家は新築なので古屋根を解体した古茅は無いのですが、茅葺き屋根の軒裏に材料の違いで生じる縞模様が好きなので、他所の現場で畑に還されようとしていた古茅を頂いて来ておいて、縁側の前に持ってきてみました。
角度を稼ぐために並べた短い切り茅の上に、長く丈夫な茅を選んで並べて、竹で押さえます。
カヤマル当日までに、ぐるりと軒を付けておいてしまいたいので頑張っています。
カヤマルでは参加者の方に「葺く」体験もしていただくのですが、屋根の要となる軒付けは難し過ぎて手を出してもらえる工程がありません。あらかじめ現場をカヤマル仕様にしつらえておくことで、カヤマルの時に参加者の方々に積極的に関わって頂けるようになるのです。
カヤマルは、当日はもちろん事前の準備から事後のケアまで、仲間の職人たちが支えてくれているからこそ、中身の濃い体験会として続けて来ることができました。