2008年01月20日
●0115 ケラバ積み
葺き上がりも順調に進んでアリゴシを越え、ケラバを積むまでになりました。
ここまで来ると屋根も随分小さくなり作業はさらに捗るのですが、軒と並んで茅葺きの意匠を引き締める棟の周りだけに、決して焦らず丁寧な作業を心がけて行きます。
屋根の棟に近い上の方は、茅材としてススキを中心に使っています。
もともと神戸の摂津地域ではススキが主たる茅葺きの原料とされて来ましたので、そういった建物の歴史に配慮しつつ、水に強いヨシを傷みやすい軒の方には用いて適材適所に使い分けています。
仕事がはかどり屋根が葺き上がるにつれて、材料を運び上げる手伝いさんの負担は増えて行きます。
加えて日々の掃除も大切な仕事。職人が良い仕事を出来るのも、メンバー全員の細かい配慮の積み重ねがあればこそです。
●0109 冬晴れ
師走を過ぎてもなまぬるい変な天候の日が多くて、今年の冬もまた暖冬なのかと嫌な気分になりつつありましたが、今朝はぱきんと冷え込んで霜が降りました。
やはり神戸の冬に朝には、冷たく乾燥した空気がふさわしいと思います。
ただ、現場を覆う素屋根には、とても透明度の高いビニールトタンが使われているので、日が射している日中はまるで温室のように暖かくなります。
葺き上がるにつれて素屋根の天井に近づいて来ると、暖かいというより少々暑いほどになりつつありますが・・・
交流民家の移築された場所では、明石海峡から吹抜けてくる風がまともに吹き付けていましたが、同じ藍那の中でもあいな亭の建てられた場所はとても穏やかです。
伝統的な里山では経験の蓄積を通して、家を建てるのにふさわしい場所というのも選ばれていたのでしょう。限られた時間で整備しなければならない、公園では大変なことでしょうが。
●0108 葺き上げ
現場入りした当初は屋根の大きさに圧倒され気味でしたが、今や完全にペースを掴んで順調に葺き上がりつつあります。
毎日のように茅を運び込んでくるヨシ屋さん、茅を仕分けて加工し必要な順序で現場に搬入する手伝いさん、屋根の上で葺いていく職人、とそれぞれが、自分の役割を理解し互いに調整できるようになって来ているおかげです。
今回始めて顔を合わせる職人同士ももちろんですが、茅に触ったこともなかった手伝いチームの飲み込みの早さは頼もしい限りです。
それだけ体も頭も使って働いていれば、食事当番の用意してくれる美味しいおかずとともに、毎晩一升メシがぺろりと無くなってしまうのも当然のことでしょう。
「ディジュリドゥはご近所に配慮して控えめに」という注意事項は、茅葺き工事の宿舎では珍しいかもしれませんが・・・ ひょっとすると、そんなメンバーであればこそ茅との相性も良いのかもしれません。