2008年07月04日

●0704 Netting

リガーを配して棟が固まったら、仕上げのハサミを入れて行きます。
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イギリスでは茅屋根全体にハサミをかけるということをしないので、専用の屋根ハサミというものはありません。剪定用の枝切りハサミを流用しています。

肉薄のストロー状をしているコムギワラは、固くて切り難いということは無いのですが、表面に光沢があるほどつるつるしているため、下手に鋭い刃物で切ろうとすると滑って逃げてしまい切り難い思いをします。
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枝切りハサミやこの「ローストチキン取り分け用ナイフ」も然り、粗く研いだ刃物の方がコムギワラを掴んで、ノコギリを挽く要領で切りやすいのです。
もちろん、本当に良く研いだ刃物なら問題なく切れるのですけれども。ヨシやススキ、稲ワラも切るならともかく、コムギワラだけならそこまで研ぐ手間をかける必要は無いですからね。

棟が新しくなりました。
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屋根全体にハサミをかけ無くとも、棟の段や軒を刈り揃えるだけで随分シャキッとするものです。

刈りくずを掃き落とすのに消しゴムブラシ。日本でなら竹ボーキを使うところですが。
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因みに棟はコムギワラでしたが、メインルーフはヨシで葺かれていて、谷になった部分など傷んだ箇所は今回修繕しました。

water reed(ヨシ)、wheat reedlong strawが、イギリスにおける茅屋根の三大葺き材です。

最後に鳥やリスが茅を引き抜くのを防ぐために、屋根全体に金網を被せます。
日本でもカラスが茅葺き屋根にいたずらしますが、脱穀後にも実が結構残っている小麦を使っているので、金網を被せるのは広く普及しています。
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茅葺き屋根の仕上げ用に販売されている、専用の金網です。
細い針金で編まれたネットを溶融亜鉛メッキした普通の金網ですが、柔らかく茅屋根に馴染みやすいので、下手にステンレスなど使うより具合が良いです。

丁寧に屋根に沿うように被せて、今回の修繕工事は竣工です。
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古い屋根に被せるとやや目立ちますが、新しい屋根の上では以外とうるさく感じないのではないでしょうか?