棟を積むときはいつも、両端を積むものは工程的に真ん中に追われて、忙しく写真を撮る暇も無いので、美山での棟の積み方を順を追って説明することは出来ずにおりました。
今回現場に人数が少なく、1工程毎に休憩が入るようなペースになってしまったので、図らずも詳しく写真を残すことができました。
まず、最後に葺き並べた茅を止めている表裏のオシボコ(押さえ竹)の間に、茅材を90度回して桁方向に積み上げ、オシボコからとった針金で締め上げカマボコ型に固めます。
このとき、あらかじめ葺き上げた表裏の屋根の高さが揃っていることを、確認しておくことが大切です。
一つ目のカマボコの上にさらに茅を積んで、固定する針金は下のカマボコを締め上げた針金からとります。
少しずつ小さなカマボコにして行くことで、棟の断面を葺き上げて来た茅屋根の勾配に合わせた三角にして行きます。
棟を雨から養生する仕上げの杉皮の長さは7尺ですので、3尺5寸の杉皮でちょうど収まる高さまで、繰り返し積み上げて行きます。
棟の断面も段々と三角になって来ました。3尺5寸できれいな三角になるように、積み上げて行くカマボコの大きさを調整して行くことが必要です。
最後のオシボコは葺き並べた茅を止めるために、当然茅の端ではなく途中で縫い止められています。
そのため茅屋根の表面と、オシボコからの針金で固定された積まれた棟のあいだには段差が生じていますから、それを埋めるように短い材料を並べて止めます。
杉皮で押さえて隙間が出来ないように、普通柔らかめの材料を使います。稲ワラを用いることが多いのですが、今回は半分に切ったススキの穂先の方(シンと呼びます)を使いました。
両端はシンがこぼれないように、それをあらかじめ杉皮で巻いたマキワラを固定しておきます。
マキワラもあまり端に乗せれば転がり落ちてしまうので、端から1尺ほどはマキワラの下に敷いた杉皮で押さえています。
ウマノリを乗せて棟が上がりました。