●お知らせ 茅刈り体験会@美山
茅葺き現場体験会 カヤカル 参加者募集開始しました。
昨年、美山町「砂木の家」建設現場で行われたカヤマル'07@美山に続いて、地元砂木集落の主催で次回カヤマルの開催が決まりました。
来年5月にこの村のお堂の屋根の一部を葺き替える際に、地下足袋持参での2泊3日の茅葺き体験会を行います。
それに先立ち12月6,7日に、葺き替えに使うための茅を村の人たち皆で刈り集めます。
そこで1泊2日の「茅刈り体験会 カヤカル'08@美山」を開催し参加者を募ります。
人と自然の共生する伝統的な暮らしの文化に触れ、山里での営みの喜びも苦労もリアルに体験できる機会です。
村のおっちゃんやおばちゃんたちと一緒に鎌を手に汗を流し、茅葺きが里山の大地としっかりと結ばれていることを実感してみてください。
期日:2008年12月6日(土)〜12月7日(日) 1泊2日
会場:京都府南丹市美山町高野地区 「砂木」集落内の茅場
(重要伝統的建造物群保存地区指定の茅葺き集落まで車で 30分)
2008年04月23日
●0423 茅場と鹿のほど良い関係
美山にしては数年振りの大雪に見舞われた冬を乗り切った、砂木の家の屋根葺きを再開します。
養生シート、足場、雪囲いと、無事なようで胸を撫で下ろしました。
が、裏側にまわってみるとこのとおり。
雪の重みに耐えかねた足場が折れて、下屋の瓦が相当数割れてしまっていました。
とはいえ雨漏りも無いし、雪の中に葺きかけのまま半年近くも放置したのだから、この程度で済んで良かったと思います。
さて、昨秋ご近所の協力のもとこの砂木の家で開催した、カヤマル'07が集落内で好評をいただき、村のお堂の修繕もカヤマル式に行えないかというご提案を頂きました。
ありがたいことです。
当然茅葺きは茅刈りから始めなければなりませんから、秋に良い茅が刈れるように村の茅場の手入れをしておきました。
ここでは昨秋茅刈りをしていないので、枯れたススキがそのまま残ってしまっています。これが混じると茅としての品質が悪くなるので、新芽が出る前に刈り倒しておきます。
場所によっては既に芽吹いているススキの株もありましたが、よく見ると僕たちが刈る前から新芽の先がありません。
鹿が食べた痕のようです。
それでは鹿に食べられてしまって、このススキはもう茅としてダメなのかというと、この時期ススキの成長点は根本近くにあるので、葉先を食べられても問題は無いそうです。
そういえば休耕田を茅場にしようとすると、土が肥え過ぎていてススキが大きく育ち過ぎてしまうため、5月の連休頃に新芽を一度刈ってしまうと良いと言われたことがあります。ただし、刈る時期が遅くなるとススキが花を咲かせなくなってしまうので、6月が近づいたらもう手を出してはいけないとも言われました。
ススキは春の野辺に真っ先に芽を出す草の一つです。そこで青草に飢えた鹿に食べられることがあっても、茅としての品質に影響はありません。やがて暖かくなり勢い良く葉を伸ばす時には成長点も葉先へと移動して来るので、この時に葉先を食べられてしまっては困りますけれども、もうその頃には茅場は柔らかなハコベやノカンゾウで溢れているので、鹿も固くなったススキを好んで食べることは無いのでしょう。
何とも上手く出来ています。
ちょっと出来過ぎではと思うくらい。
2008年04月22日
●0422 芽吹き前の茅場
一旦美山に帰るにあたり、資材を取りに里山の茅倉庫に立ち寄りました。
先月は梅の香りだけが春の訪れを知らせていた周りの茅場は今や春の野花の盛りです。
ここがかつて長い時間田んぼであった記憶をとどめるレンゲの他に、スミレ、タンポポ、ハハコグサ・・・最近ではあまり見かけなくなった在来種の花も多く見かけます。
毎年冬には茅刈りによって手入れされ、春先には地表に隈無く日光の降り注ぐ茅場は、春に花を咲かせる野花に取っては理想的な環境なのでしょう。
何千年ものあいだ人の営みに寄り添うようにして、多くの野草が花を咲かせて来たはずです。
そして日当りの良い草原を好む植物は、茅刈りによってススキが元気に繁っていればこそ、ススキとともに葉を伸ばして行くことができるのです。
ワラビもそんな草のうちの一つ。ですから、手入れの良い茅場では春にはワラビ採りが存分に楽しめます。
積み上げていた茅束の中から飛び出して来た、この小さな小さな野ネズミも、やはり人の手が入ることでつくられる茅場の環境を棲処としています。
おそらくカヤネズミかと思われます。
文字通り、茅とともに生きるネズミですからね。
2008年03月18日
●0318 茅刈りの日々
今年も茅刈りの季節は終盤を迎えつつあります。
毎年の刈り取りで手入れされていてこそ、このように茅として優れたススキを得ることもができますから、屋根葺きに忙しいからと行って刈り残すことは出来ません。
丹後で笹葺き民家を再生しつつある立命館大学の丹後村おこし開発チームのメンバーが、茅刈りの様子を見学がてら手伝ってくれました。
「笹刈り」には慣れた彼等も、「ススキ刈り」には興味津々の様子。
我々が茅刈りに使う鎌は、枝払いなどに用いる両刃の木鎌。
色々試してこれに落ち着きました。
良く研いで使うことが良い茅を得るためには肝要。自身の疲労も軽減されます。
住宅地の幹線道路の法面で茅葺き民家の葺き材が生産されているとは、この道に車を走らすドライバーの方々は思いもよらないことでしょう。
しかし、この場所が他と比べて「きれい」であることに気付いておられる方は、少なくも無い様子。
茅刈りの楽しさを伝える手段を考えて行きたいと思います。
刈り取った後に残るススキの葉やハカマ、雑草などのゴモク。そのままにしておくと翌春の芽吹きの妨げになります。
昔はその場で燃やしていましたが、住宅地のなかで火を使う訳にも行きませんから、きれいに掃き集めて畑の土へと還します。
2008年03月02日
●0302 茅葺き現場体験会カヤカル'08@神戸
2008年02月16日
●0216 茅刈り体験会カヤカル'08@淀川
2年振りにヤマダさんの手入れされている淀川十三干潟でのカヤカルを開催しました。
予定していた開催日に雨が降り翌日に順延となったことで、参加して頂けなかった方も多く出てしまいましたが、参加された方にはヤマダさんから手厚い指導がありました。
それにしても今年はゴミが多いなあ。
梅田の本当に目と鼻の先で、茅葺きの材料となるヨシが何百年も変わらず刈り取られています。
カヤカルが梅田で暮らしたり、働いたり、学んだりしている少しでも多くの人たちに、そのことをまず知って頂く機会になればと思います。
2007年11月10日
●071110 里山暮らし塾の茅刈り
友人の大工さんが運営されている美山里山暮らし塾の、茅刈りをお手伝いしてきました。
江戸時代に建てられた茅葺き民家の周りで、そこにお住まいの方が毎年ススキを刈り取って手入れされている、茅場の茅を刈らせてもらいました。
人が刈って、干して、ヤギが食べて・・・いや、食べてはだめですが、肥料にも飼料にも燃料にも建材にもなる、茅という素材のポテンシャルを垣間見せてくれたような気もするというと、こじつけ過ぎでしょうか?
参加者の皆さんは国際色豊かな顔ぶれだったので、僕も酷い英語なりに説明させて頂きましたが、お互いにコミュニケーションをとろうという意志があれば、それなりに伝わっていたようで。言葉は道具なのだとあらためて思いました。
お昼には茅葺き民家に上がらせてもらって、囲炉裏を囲んでカレーを頂きました。
おクドさんを使って、羽釜で焚いた美山の新米と取れ立て野菜のカレー。何とも贅沢でした。
刈った茅はこのように春まで立てておきます。「ニウ」とか「カヤツボ」と呼んでいます。
ススキに雪が積もって倒れてしまうと、折れたり曲がったりして茅としては刈り取れなくなってしまうので、美山では雪の季節を迎える前に、まだ青いススキを刈り取って風通し良く立てておくことで、雪が積もっても倒れず春までに乾燥させるようにします。
従って美山のような積雪地の茅は、同じススキでも年が明けて葉やハカマが枯れ落ちてから刈る、無雪地域の茅とは建材としては別物となります。同じススキを用いた茅葺き屋根でも、それぞれ異なる葺き方が発達していて、屋根のかたちもそれに合わせて微妙に異なってきます。