仕事から帰ると、荒壁の裏塗りがされていました。
左官屋さんが鏝で押さえた、塗り立ての壁はつやつやとしてきれいです。
裏側を塗ると、かちかちに乾いていた表側にも水分が滲みて来て、貫の影を浮かび上がらせました。
裏を塗ると表も濡れるというのは、考えてみれば当たり前なのですが、少し意外に感じました。
現場で左官屋さんとご一緒することは少なく無いのですが、他の職工さんの仕事をまじまじと見る機会はあまり無いので、知らないことが多いです。
さて、砂木の家では壁だけではなく天井裏にも土を塗りました。
換気塔である茅葺きの屋根裏への通気を妨げないように、ロフトの天井と茅葺き屋根の間には充分な空間を確保するようにしてあります。
そして、ロフトの天井板の上には、蔵を塗り込める要領で土を載せてもらいました。
こうすることで天井裏は「半屋外」と割り切ってしまえば、外気を充分に取り込むことで、夏の涼しさと冬の暖房効率を両立出来るのではと考えています。
もうひとつ、万が一茅葺き屋根が火事になった時に、外に逃げ出す時間と空間を稼ぐこともできます。
ところが、ひとつ思いいたらないことがありました。
天井裏に壁土を載せたら、天井板に水が滲みて来てしまったのです。
考えてみれば当たり前なのですが、全然予想していなかったので意外でした。
断熱と火災対策のために茅葺きの天井裏に土を載せるのは、大和天井として関西では広く行われているのですが、その場合は竹簀子の上にむしろを敷いて土を載せます。そうすれば少々水が滲みても問題なく、土も早く乾くでしょう。
砂木の家も天井板に少々シミができたくらいでたいしたことはなさそうですが、昔ながらのやり方は、やはり理に適っています。