職人の数が揃っている現場なので、屋根の表裏に分かれて同時に葺くことができています。
表裏ふたりずつの職人が、それぞれの両角に責任を持ちペアを組むので、表と裏で互いの早さと仕上がりの良さを横目に睨みつつ、何となく競争が始まります。
葺き並べた茅の先が棟を越すようになると、表裏で押し合いになって仕事にならないところですが、そこは気心知れたもの同士、競争しつつも互いにタイミングを計って、現場を止めたりはしません。
棟近くまで葺き上がってくると、屋根裏で針受けをするのも、足場の確保に一苦労することになります。
屋根裏で棟木を支える棟持柱によじ上っての作業。屋根屋には体重制限が避けられませんね。
無事に葺き上がり、棟を積む段取りにまでこぎつけました。
小さな現場は茅葺屋で切り盛りすれば小回りが利きますが、棟を積み直すような大きな現場は、皆で集まって葺くと捗ります。互いに意識し合うから活気も出ますし。
とは言いながら、いつの間にやら色づきはじめた山に、季節が進んでいることを知らされます。
雑木林の紅葉は、まず黄葉から始まるみたいです。