古屋根をめくり取ったら、屋根下地を直します。
丸太と竹をワラ縄で結わえてあるだけの茅葺き屋根の下地は、しなやかで丈夫なのですが、時間が経つと縄が切れたり竹が虫食いにあって緩んでくるので、葺き替えの度に整えてやります。
こちらのお宅のように、茅葺き屋根に瓦の庇を差し込む錣(シコロ)屋根とせずに、昔ながらに茅葺きのまま軒まで葺き下ろしていると、レン(垂木の丸太)の分だけ軒裏から屋根裏へと空気の抜ける隙間が保たれます。
屋根裏の換気が充分なされることが、茅葺き屋根の寿命に大きく影響しているように感じているので、屋根の一部なりとも葺き下ろしにしておくと、良いのではないかと思います。風情もありますしね。
屋根に穴をあけたので、屋根裏の様子も良くわかります。
合掌材と棟束を併用する構造は、あまり古くない美山の茅葺き屋根に多く見られます。
毎年刈り貯めた茅がこの小屋裏一杯なると、ちょうど1回分の工事に間に合うくらいの量になっています。
最近ではお施主さんが茅を用意されることは少なくなりましたけれども。
こちらのお宅のある集落は西向きの高台にあり、美山では珍しくきれいに夕焼けが見られます。
盛りを迎えた紅葉が夕日に照らされて、山が燃えるように輝いています。