神戸市北区の八多町には、珍しい茅葺き屋根の公民館「ふれあいセンター」があります。
その屋根を守るために、地元自治会は中学生も参加した茅刈りを、毎年重ねて来られました。
昨年まではおじさんたちが草刈り機で刈り倒したものを、中学生は束ねて行くだけだったそうですが、せっかくなので茅刈りという文化を継承する機会にしようと、茅葺屋もお手伝いさせて頂き昔ながらの手刈りに取り組むことになりました。
刈り方と、刃物の扱い、安全注意事項を伝えたら、早速茅場に入ってもらいます。
ここのような溜め池の堤は、決壊を防ぐために草の根を張らしておく必要があり、肥料や飼料として茅が必要とされなくなった後も、草刈りによる手入れが続けられているところが多く良い茅場になっています。
中学生たちはグループごとに、自治会のおじさんたちの指導を受けながら。
最初はおっかなびっくりで腰の引けていた子供たちも、次第に鎌の扱い方も茅のさばき方も、様になって来ました。
最近では田舎といえども、大人も子供も忙しくてなかなか近所の人たちと触れ合う機会も乏しいように思いますが、茅の刈り方ひとつでも技術の伝承を通じて、世代間交流が進めばうれしいですね。
そして、人と自然の触れ合いも。
長年草刈りが滞り無く行われて来たここの茅場には、今まで見た中で一番たくさんのカヤネズミの巣が見付かりました。
自分たちが茅葺き屋根のために茅を刈ることが、小さな生き物たちの暮らしを支えることにも繋がることを知ってもらい、子供たちが地域の自然と文化に興味を持つきっかけにもなってもらえたらと思います。