« 2009年01月 | メイン | 2009年03月 »

2009年02月 アーカイブ

2009年02月02日

0201 カヤカル'09ヨシ編@淀川 十三干潟

冬の風物詩、山城萱葺屋根工事のヤマダさんが手入れされている、淀川十三干潟でのヨシ刈り体験会が開催されました。
P2013628.jpg
例によってまずは刈り方指導、ヤマダさんの模範演技から。
ススキを刈るのは両刃の鎌を使いますが、ヨシを刈るのは片刃の鎌です。

刈り方と束ね方を教わったら、早速やってみましょう。
P2013635.jpg
広いヨシ原の向こうに見える特徴的な形のビルは大阪梅田のランドマーク、梅田スカイビル。
大阪駅の目と鼻の先にこの風景ですよ。実は大阪はすごく自然豊かな街なのでは。

何世紀にも渡って毎年欠かさず刈り取られて来た、ここのヨシは何回見てもほれぼれします。
P2013644.jpg
手入れしていないヨシ原ではこうは行きません。お近くの溜め池とか訪ねて確かめてみて下さい。

手入れの行き届いたヨシ原には、たくさんの生き物たちが暮らしています。
きれいなヨシを刈り進めて行くと、ヨシ原の中からウグイスの仲間、セッカが顔を出しました。
PMK01.jpg
(写真:小林瑞穂)
なんだか、リスかネズミみたいな動きで、ヨシの根本をチョロチョロしていました。

干潟バスが出まーす。
P2013645.jpg
普段のお仕事ではこの草刈り機.改で刈り倒しているそうです。でも束ねるのは手作業ですから、茅刈りとは、いかに手早くきれいに束ねるか、というあたりに、職人技に迫る鍵がありそうです。

みんなで「良い茅束」に拵えたヨシを、干潟の入り口淀川河川公園沿いに立てて乾かしておくことにします。
P2013649.jpg
公園に草野球やジョギングや散歩に来る人たちにも、ヨシ原をもっと知ってもらえたら・・・
夏には淀川花火が上がる、まさにあの真下なのですけれどね。

2009年02月14日

0214 茅刈りイベント in 花山中尾台

神戸市北区役所主催で開催の運びとなった、茅刈りイベント。
当日は朝から雨のぱらつく生憎の天気となってしまいました。
P2143783.jpg
しかし、天気は次第に回復の見込みとのことです。
参加者のために早朝から大量の鎌を研ぐ、丁稚サガラ。

予定では午前中茅刈り体験、午後に茅葺きレクチャーとなっていましたが、天候の回復を待つために順番を入れ替えます。
P2143790.jpg
神戸には意外と茅葺き民家がたくさんあることや、茅を刈るとなんか良いことありそうなことを、スライドとともに解説。

午後になると陽射しも回復してみるみるうちにススキは乾き、無事に茅刈りを始めることが出来ました。
P2143795.jpg

住宅地の中にあるこの法面は、環境整備のための除草作業がたまたま冬場に行われていたために、結果的に茅刈りを続けて来た草原のような生態系が整いつつありました。
P2143797.jpg
このナンバンギセルのように、人が茅場として利用している、ススキ野原に依存する植物も見られます。

しかし、去年までは除草されたススキは、ゴミの山にしかなりませんでした。
P2143810.jpg
今年はみんなで鎌を手にして、ほんの少しのコツと手間で、ススキは茅という資源になりました。

最後には青空も広がりました。
P2143814.jpg
僕は、いくら茅葺き民家を文化財に指定して保存しても、ススキやヨシが茅になることをみんなが忘れてしまったら、茅葺きという文化は絶えてしまうと思います。
逆に言えば、きれいなススキが生えているのを見たときに、「良い茅だな」と思う人が増えて行けば、茅葺きという文化は支えて行けるとも思っています。

収穫された茅は市登録文化財赤井家住宅の葺き替えに寄贈されます。

さて、イベントのあとには、きちんと後片付けも忘れずに。
P2173783.jpg
刈り残した雑草と、ススキの葉やハカマといった茅くずを掃除して、有機栽培の農家さんのところで、堆肥原料に。

手間をかけただけ美しく豊かになってくれる茅場。
P2173781.jpg
春になれば新緑が萌え出て、秋にはきっと今年以上の銀波が輝くことでしょう。
楽しみです。

2009年02月22日

0222 船坂旧坂口家再生 with 古民家族

六甲山を越えて西宮市街と三田を結ぶ峠道と、宝塚と有馬温泉を結ぶ峠道が山中で交差するところに、船坂という集落があります。
そこで住む人がいなくなり朽ちて行こうとしていた廃屋を、武庫川女子大学生活環境学科有志を中心とした、古民家族というグループが再生に取り組んでいます。
P2223820.jpg
増築部分の撤去からはじまり、基礎のレベル出し、土壁の塗り直しと進んできて、いよいよ茅屋根の葺き替えに取りかかるということで、茅葺屋もお手伝いさせてもらうことになりました。

裏側の屋根は覆い被さった木が根を下ろし、完全に背後の山と一体化してしまっていました。今回はひとまず、こちらの屋根を葺き替えることにします。
P2223822.jpg
我々が到着する迄に絡まる枝や蔓は伐採していただいて、作業のための空間は確保されていましたが、土と化した屋根はご覧のように穴だらけです。

まずは足場組みから。
P2223831.jpg
大勢が乗って作業する足場ですから、安全を確認しながら組まなければならず、大勢で手分けしてという訳には行きません。

そのあいだ手の空いたメンバーに、ぼけっと待っていてもらうようなことはしません。
稲ワラを結んでサンバイコウつくり。
P2223829.jpg
たっくさん必要ですからね!頑張ってください!

立派な足場か出来ました。
P2223832.jpg
あまり近くに木があると屋根が傷むので、足場を利用して裏山の枝打ちも平行して進めてもらっています。

古屋根めくりの際は、再利用できる古茅と、畑の肥料にまわすゴモクとを、めくりながら判断して、分別しながら進めて行きます。
P2223834.jpg
古茅を手早く束ねるのに、稲ワラを結んでつくったサンバイコウが、とても具合がよろしいのです。

今回葺き替えるのは裏側の、さらに下半分だけ。
P2223840.jpg
予算も時間も限られた中で、とりあえず喫緊の雨漏り対策には充分対処できますから。
茅葺き屋根は、手元にある材料で、必要なところだけ順番に葺き替えながら、付き合っていくものです。

次回は竹下地の補修
P2223855.jpg
皆さん遅く迄、男結びの予習に余念がありません。
男結びが出来ないと、茅葺きの現場では男が立たないですからね。

About 2009年02月

2009年02月にブログ「茅葺き職人のブログ2」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2009年01月です。

次のアーカイブは2009年03月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.38