棟から順に刈込んでは足場を外して来て、軒まで下りて来たら軒裏を刈り落とします。
葺き替える度に屋根は新しく甦りますが、全く真新しくなるのではなく、葺き替えを重ねた趣きを匂わせてくれるというか、何とも言えない味わいを備えていると思います。
葺き替える前の姿と比べてみると、新しくなったことで機能的な頼もしさを取り戻しながら、新品のいやらしさををまとわないのは、自然素材と手仕事による茅葺きという建築ならではでしょう。
足場が外れて、道路側と庭側とで大きく異なるこの屋根の表情を楽しめるようになりました。
間もなく大工さんと左官屋さんによって屋根の下もレストアされて、あかい工房オフィス兼、上津茅葺き保存会の拠点として、多くの方々を繋ぐ場となり、末永く愛されて行くのでしょう。
そんな屋根に茅葺屋として携わらせて頂けて、本当に幸せでした。