飛騨かやぶきのスギヤマさんたちと入れ替わりに、山城萱葺き屋根工事のヤマダさんたちがやって来てくれました。
僕たちの世代の茅葺き職人で、ネソ巻きをきちんと修得しているのがスギヤマさんだけなら、笹葺きを完全にこなせるのもヤマダさんだけでしょう。
ヤマダさんに預かって頂いていた、丁稚サガラもようやく登場です。
まずは、学生たちが葺いた屋根を手直し。
こういう事は職人が学生と一緒に葺きながら、さりげなく済ませておいてあげるべきなのですが、一緒にいたのが手本にやってみせる事もできない僕ひとりでは、口ばかりうるさく言われて学生たちも気の毒でした。
こんな笹の小束をつくって、粗いところ、へこんだところ、勾配のおかしなところ、何となく気に喰わないところに差し込んで、笹が均等に固まるように整えて行きます。
笹葺きはヨシやススキで葺いた屋根に比べて耐久性は劣りますが、差し茅がとてもしやすい屋根なので、まめに差して手入れしてやれば意外と長持ちします。
勝坂遺跡にも良い笹が生えているので、遺跡公園を訪れる人たちで差しながら末永く守ってもらえたら・・・
一通り手直しが済んだら、棟に向かって葺き上げて行きます。
「逆葺き」の笹葺きは葺く手間もススキやヨシで葺くよりかからないので、葺き上げにスピード感があります。
手間がかからないと言うのは、簡単だという意味ではないですよ。念のため。
もう1棟の土葺き民家も、下地となる樹皮を敷き並べはじめました。
縄文時代の植生を考えると樹皮は雑木なのかもしれませんが、今回はそこまで用意できませんでした。杉皮で勘弁して下さい。