今週は山城萱葺き屋根工事のヤマダさんとサガラが来てくれたので、「何となく差し込んであった」軒の部分の下地を直してもらいます。
茅葺きの下地は墨を打って直角を出す訳でも、ミリ単位でボルト穴の位置を決めてもありません。大雑把なものです。
でもアバウトだからこそ、局部に無理のかからない構造にするために、経験を重ねた感覚が必要です。
いいかげんは、良い加減。その加減がなかなか難しい。
職人が下地を直している間、参加者は宇治川からやって来たとてつもなく長いヨシを、用途に即して3つに切り分けます。
と、行ってもヨシは堅いですから。「押し切り」を使いこなさなければ切れずに刃が欠けるだけ。
宇治川のヨシに加えて、自分たちであちこちで刈り集めたススキも使います。
茅葺きのために「茅を集めなければならない」と考えるか、「身近に自分たちで集めたものが使える」と考えるかで、茅葺き屋根との付き合い方は変わってくると思います。
下地が整ったところで、軒を付けはじめます。
まずはきれいめのススキを選んで、ひと掴みずつ丁寧にかきつけて行きます。
屋根の基礎になるところだし、軒裏から見上げたときの化粧にもなるから、焦らずに。
一服の準備をする流しには、昨年被せた苫葺きの屋根がまだまだ頑張っています。
軽い、薄い、苫葺きですが、風が吹けばなびき、雨が降れば受け流し、なかなかしたたかに屋根としての務めを果たしてくれています。
やたらと散らかる茅葺きだからこそ、まめな掃除は大切です。
でも茅葺きのゴミは、決して廃棄物にはなりません。僕たちが暮らし方を間違えなければ、畑が求めてくれますから。