0518 古屋根解体
冬のあいだはこんな感じで、近づくことも出来なかった砂木のお堂。
今では雪囲いに立てかけてある、昨秋のカヤカルでみんなで刈った茅もすっかり乾いています。
葺き替えを待つばかり。
古茅をめくってみると下地の横竹が、虫食いで全てだめになっていましたので取り替えます。
冬のあいだはこんな感じで、近づくことも出来なかった砂木のお堂。
今では雪囲いに立てかけてある、昨秋のカヤカルでみんなで刈った茅もすっかり乾いています。
葺き替えを待つばかり。
古茅をめくってみると下地の横竹が、虫食いで全てだめになっていましたので取り替えます。
下地の修理も終わって、軒付けにかかります。
手間のかかる軒付けは、カヤマルの日までに済ませておかないと、当日に参加者の皆さんが手待ちになってしまいます。
カヤカルで刈った砂木の茅を1把ずつかきつけた上に、砂木の田んぼで取れたお米のワラを並べ、さらに解体した古屋根から選別した古茅を並べて軒裏をつくって行きます。
そして、丈夫な茅を選んで軒の水切になる部分をつくります。
地下足袋持参でやる気満々のカヤマル参加者の皆さんを集めておいて、「ちょっと見ておいて下さい」という訳には行きませんから。
カヤマル開催日に追われつつ、しかし手を抜けない工程なので焦ります。
インフルエンザやら季節外れの低気圧で雨模様やら色々ありましたが、とにかくカヤマル'09@美山、開催の運びとなりました。
屋根も参加者を迎えるまでに、無事に軒付けをすませることが出来ました。
参加者はカヤカルから連続の方もちらほら。自分で刈った茅は、自分で屋根に葺いてみたいですものね。
第1回カヤマル'03にも参加したカヤマルリピーターもいれば、茅に触るのが始めての人も。経験値は様々。
しかし自然の産物である茅は、同じススキでも刈る時期、生えていた場所、葺く箇所によって扱い方も様々。
ハタチにしてキャリア5年の職人マツキの指導に、誰もが真剣に聞き入ります。
足場の下では茅を切って運んで。
テッタイの仕事がなければ屋根は葺けません。
夜は地元砂木の皆さんが、手料理を携えて集まって下さいました。
懐かしい顔も、始めての顔も、茅のつなぐ人の輪が広がります。
茅を並べたら押さえの竹を縫い止めて固定します。
大きな金属の針にハリガネを通して屋根に突き刺すと・・・
屋根裏ではレン(垂木)の左右の際に誘導してから、ハリガネを掛けかえてあげます。
屋根の表面を叩いて揃えてから、ハリガネを締めて押さえの竹で茅を屋根に固定して行きます。
「そこ、もっと叩かないと。あ、叩き過ぎ・・・」
丸太の足場の上はそこにいるだけで、意識しないまま全身が緊張しているので疲れが溜まります。
そのうえ、からだを使って、あたまも使って、
お昼ご飯の後は、茅のベッドでひと休み。
カヤマル最終日には、再び未明から雨が降り出してしまいました。
でも、屋根に上がる時間には何とか上がってくれました。
ちょっと湿っぽいけれども、涼しくて丁度良いですか?
屋根が葺き上がるにつれて、お堂の周りいっぱいに立てかけてあった茅が無くなっていきます。
今回葺き替えたのは裏側。
あと三面。焦らず無理せず、皆さんとともに、茅のリズムで葺き替えて行けたらと願っています。
梁の上を伝いながらの、屋根裏での針受けにもすっかり慣れた様子。
地下足袋の足下が決まっています。
ちょっとお昼ご飯が遅くなってしまいましたが、雨にも降られず、切りの良い工程まで済ませることが出来ました。
おかげさまで屋根はほとんど塞がって、もう雨漏り養生のシートも必要なくなりました。
午後には砂木の家と、北(きたむら)の資料館を見学。
新しい家も、古民家も、茅葺きの家の魅力はやっぱり縁側の心持ちですかね?
カヤマル過ぎて初夏の陽射しの中、今朝は砂木の谷にアカショウビンの高笑いが響いていました。
夏がすぐそこまでやって来ています。
カヤマルでずいぶん葺いて上がることができましたが、最後の方になるにつれて葺く茅を棟の下に差し込んで行かなければならないので、また少しばかり面倒な手間がかかります。
下地を直すために古茅を引き抜いた分だけ、棟が下がってしまっているので、隙間に丸太を差し入れてこじ上げます。
このお堂の屋根のかたちは寄せ棟ですが、美山の民家で一般的なかたちの入母屋なら、破風が棟と小間(妻側の茅屋根)を縁切りしているので、小間だけを手際良く葺き替えることが出来ます。
そういう意味では、破風は単なる装飾ではありません。
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