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淡河茅葺き保存会 くさかんむり アーカイブ

2008年10月05日

1005 茅場つくり その1

米作りの機械化を進めるために、田んぼの区画を大きくまとめる「圃場整備事業」が日本中で進められていますが、一枚の田んぼの面積が広くなった分、田んぼの畔はしばしば見上げるほど高く大きなものとなってしまいました。

田んぼの畔は崩れてしまわないように、刈り込むことでしっかり草の根を張らせておく必要がありますが、あまりに大きくなった畔では刈り払い機を使うのも危険で、草刈りが大変な労働となってしまっています。
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そのために手入れの行き届かなくなった田んぼの畔が、農村風景の中で次第に広がりつつあります。

淡河茅葺き保存会「くさかんむり」は、草刈りの代わりに茅刈りによって、これらの畔を草の生え揃った原っぱへと戻して行くことを目指して、活動を開始しました。

刈り取ることで、放置して自然に任せているよりも生態系も豊かになるはず。
それを確認するために、茅刈りをする前後の植生調査を行います。
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の、予定だったのですが、あいにくの雨。
本格的な調査は無理ですが、参加者で生えている草を集めて来て、森林植物園の先生に解説してもらいました。
こうして説明してもらうと、「雑草」も実に豊かな個性をもっていることに感心させられます。

兵庫県下では姿が見られなくなりつつあるオオバクサフジ(大葉草藤)が、小さな群落をつくっていました。
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日当りの良い草原を好むこの花は、草刈りが行われずクズやセイタカアワダチソウに鬱蒼と覆われた畔では肩身が狭そうです。
茅刈りによってススキの原っぱへと遷移させることができれば、かつては当たり前でありながら今や貴重になってしまったこの花を、再び身近なものに出来るかもしれません。

カヤネズミの古巣も、わずかながら見付かりました。
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草刈りをしないと枯れ草だらけになって、春になっても新しい芽も生えて来ませんから、今のままでは彼等にとっても暮らしにくい場所になってしまっていると思います。

田んぼの畔を守ったり、茅葺きの材料を集めたり、そんな人の営みとともに紡がれて行く、命の営みもあるのです。

2008年10月12日

1012 茅場つくり その2

茅場へと復元予定の田んぼの畔に、あらためて植生調査にやって来ました。
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雨のため一週間順延となったのに、あらためて集まって下さった皆さん、ありがとうございました。

四角い区画を設置して、その中に生える植物の種類と量を定点観測して行く、コドラート法という調査を行います。
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しかし、長らく草刈りが行われておらず、クズとセイタカアワダチソウのジャングルとなっている畔では、コドラートを区切る杭を打つのも一苦労。
さらに地表まで掻き分けて、生えている草の種類を余さず確認して行くのは更に一苦労。

既に花が終わっていたり、クズに負けて矮小化していても、植物の専門家の方は次々と種類を同定して、雑草にも名前と個性があることを教えてくれます。
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個人的に心惹かれたのは、このアキノノゲシ。
薄いクリーム色の花の色が、何とも上品です。

背後には圃場整備によってつくられ、草刈りが滞って薮に覆われた高畔。手前の原っぱは洪水対策の河道修正工事で生じた残土が積み上げられもの。
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いずれも、人が自然との関わりを保って暮らして来たこの列島には、かつて存在したことの無い環境です。
ここで茅刈り始めることで、これらの環境と人が再び関わりを持つようになると、どのように自然が変化して行くのか楽しみです。

2009年01月11日

0111 茅場つくり その3

10月に植生調査をイベントとして行った、神戸市北区の田んぼの畔で、いよいよ茅場にして行くための除伐作業を行います。
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圃場整備で田んぼが広くなった分、畔が高く大きくなり過ぎて、草刈りが行われずに繁り放題となった雑草を刈り取ることで、ススキの原っぱへと遷移させていこうという取り組みです。

茅葺屋/くさかんむり でも神戸市のパートナーシップ活動助成を得て、この日のために刈り払い機を用意していましたが、さらに、山城萱葺屋根工事の面々に加えて、カヤカル'08@美山でお世話になった砂木集落の皆さんまで、美山町から刈り払い機を背負って駆けつけて下さいました。
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それだけの手練と装備が揃っても、何年も草刈りがされなかった畔は、背丈より伸びた雑草と枯れ草と蔓が絡み合って、簡単には刈り進むことができません。

一般の参加者の皆さんも、神戸の市街地から遠くは名古屋まで、大勢の方が集まって下さいました。
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刈り払い機の扱いに慣れていない方々は、レーキやフォークを手に刈り倒した枯れ草を、畔から下ろしてまとめて行って下さいます。作業は安全第一で。

枯れ草と言っても量が半端ではありませんから、相当な重さになります。
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そのうえ、足下は立っていることもままならない急斜面。大変な重労働です。

枯れ草は隣接する田んぼの持ち主のご好意で、その場で焼かせてもらえることができました。
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これを運び出さなければならなかったかも、といというのは、考えたくもありません。

参加者の皆さん、近隣の皆さんの助けを得て、雑草の茂っていた畔は見違えるほどすっきりとなりました。
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枯れ草に日光を遮られ、葉を伸ばす空間も遮られていたススキが、これで元気になってくれることを期待しています。
今年は除草作業の後で出来たのは、燃やさなければならないごみの山でしたが、来年からは茅刈りの後、茅の束が山となってほしいものです。


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