あいな里山公園ではハサミ仕上げでしたが、今回は差し茅=補修工事ということもあり、工期や予算を勘案してエンジンヘッジトリマーを使って刈り込みます。
ヘッジトリマーを使う場合は、ハサミのように刈り込みながら平面をつくることは難しいので、事前に叩き揃える段階で屋根のかたちを仕上げておかなければなりません。
足場を外しつつ上から順に刈込み、仕上がったら例のアワビの貝殻を、括りつけた竹串を茅と平行に屋根に差し込み設置して行きます。
「ヨシ葺きの屋根に、アワビと鎖のアクセント」は山城から近江にかけて、茅葺き民家の地域的な意匠として定着している感があります。
アワビの貝殻は(気休めの)鳥除け。鎖は何のために?と、昔尋ねたところ、「火事のときに上がるためだ」と教えられました。
燃えている屋根に消しに上がるなんて、随分危険なことをするものだと思いましたが、そうではなくて、火の見櫓として使うためだそうです。確かに茅葺きの屋根は田舎では高層建築で、棟まで上れば見通しは利きます。
隣家の火災に際して「飛んで来た火の粉を延焼しないように消してまわる」こともするそうです。ちょっと危ないような気もしますけれど。
やはり、どちらかと言うと意匠的な意味合いが強く残っているように感じます。
だからこそ、お施主さんも鳥よけの効果には首を傾げながらも、こうして交換用の新しいアワビの貝殻を用意して下さる訳で。
実際、山中の茅葺き屋根とアワビの貝殻という唐突な組み合わせは、なかなかかわいらしいかもしれない。という気もしてきました。段々と。
これは面白いですね。
あわびの貝殻をつけるなんと言うのは
はじめて知りました。
アワビだけなん?
内側がメタリックだからかね。
他の貝殻で代用しているところってないんかしら。
屋根屋さん
こんにちは。棟から垂らした鎖は、瓦葺きの寺でたまに見かけることがあります。修理するときに登り易いようにとか言う人もいましたが、実際はどうなんでしょう・・・。
江戸の町人は防火目的で屋根に牡蠣の貝殻を載せていたなんていう話を本で読んだことがありますが、どこまで本当なのやら・・・。
交換用のアワビ、中身はいただけなかったんですか? ^^
こんにちわ、コメントいただいてばかりで、初めてこちらにコメントさせていただきます。
毎回、内容が深く地域的な屋根の違い等々興味深く拝見させていただかせてます。このアワビも初めて知りました。京都には何度となく行きましたし、近江では在原のほうにも行きましたが見かけることはりませんでした、、、
トリマーはこちらでも昨年頃から使い始め、やはり工期的な問題で使用頻度は多くなりつつあります。
先月末に鎌倉に行った際に見かけたお寺の屋根にも鎖がありました。なるほどそういう為だったんですね、一人で首を傾げてみてました。
いい季節になってきました。
またお伺いします。
そはか
皆さん、コメントありがとうございます。
遅レスですみません。禅定寺が竣工して現場の合間は、落ち着くまでアクセスもままならないもので。
ichide!さん、アワビの殻を載せている屋根は結構各地に散在していて、実は美山町にも数軒ですがあります。カラスのイタズラに悩まされた、住人の方が他所で見たのを参考にされたり、出稼ぎの職人が薦めたりしたようです。
nioさん、禅定寺の現場写真は、本堂の隣りの瓦葺きの庫裏の屋根から撮影していましたが、照りのついた瓦葺きの大屋根の棟に上がるのは、地下足袋でもスリル満点でした。特に黄砂の降った日など・・・鎖があれば確かにありがたかったですね。
牡蠣殻葺きの話は耳にしたことがありますが、意外と本当かもしれません。高級品だった瓦に頼らない防火対策が、真剣に求められた時代があったでしょうから。うまく行ったかどうかはともかく、そのような創意工夫の積み重ねに伝統建築の魅力を感じます。
アワビは残念ながら殻だけで(笑)
お施主さんも料理屋さん等で譲ってもらってこられるようです。
よしさん、やはり、内側のメタリックな輝きが決め手なのでしょう。最近ではCDを吊ってくれと頼まれることもあります。
効果の程はハト除けと変わらない程度だとすると、牡蠣殻の方が風情がある分良いような気もします。
そはかさん、京都の中でも南部、滋賀県は湖東、奈良県との県境に近い山城、伊賀、甲賀あたりを中心に多く見られます。次に来られたら、ぜひ訪ねてみて下さい。
ヘッジトリマーも「道具のひとつ」ですから、要は使いようだと思います。手道具が上手く使えなければ、パワーツールも上手く使えないのは、大工さんと同じですしね。
九州の屋根の様子も大変興味深く見させて頂いています。これからもよろしくお願いします。
明後日から、鎌倉のお寺の葺き替え現場にお手伝いに行きます。
ネット環境は厳しそうですが、そちらの様子もぼちぼちとご紹介して行けたらと考えています。
キーワードが番線、足場で偶然このブログに到着しました。
みなさん元気そうですね。
この春は雨が多くてカッパ着て屋根に上がってました。
軽トラが7月に車検になりオイル漏れが激しい(2stのように一緒に燃焼する状態)ので解体寸前のライトエースに乗り換えする予定です。
今度はクーラー付きで、高速道路もOK?です。
長尺物が積めるのがとても嬉しい。
でも押さえ竹は、1.5tは欲しいよね。
普段は軽トラで必要時だけ大きいトラックが借りれるのが一番良いのだけど。
こちらに来られる時があれば連絡下さい。
鎌倉のみなさんによろしく。
屋根屋さま
差しガヤのコツコツ地道な作業
ごくろうさまでした。
最後におもしろく、いい話を拝見させていただきありがとうございました。
アワビなんてなんかシャレて謎めいて
素敵ですね。
ミクシの茅場の話とかホント勉強させていただいてます。
鎌倉への移動でばたばたしていました。
みとさん、ご無沙汰してます。
竹、丸太の運搬を考えると、4ナンバーフルサイズ欲しいところですが、軽トラ四駆でしか入れない現場もあったりするので、どちらかを選ぶとなると悩むところですね。
番線、足場でおもしろいHPありましたか?
青原さん、こちらこそmixiではいろいろと勉強させて頂いています。
八幡の現場は、雨待ちしている内に何となく終わってしまったような気がします。差し茅は雨養生の必要がないので気は楽でしたが、親方のヤマダさんはおつかれのようで気の毒でした。