美山のような寄せ棟型の入母屋だと、一般に小間(妻側)の屋根の方が大間(平側)の屋根よりも勾配が急なのですが、切り妻型の入母屋であるせいか、この屋根は小間の方が大間よりも勾配が緩かったために、角を葺いて上がる時に勘が狂って苦労しました。
小間の方が緩やかな入母屋の茅葺き屋根は、福知山盆地から丹後にかけて普通に見られます。おそらく屋根下地の組み方と関係しているのではないかと思います。
天橋立を望む旧永島家住宅の屋根葺き替え、無事終了しました。
手前の小間は一昨年の春に差し茅で修理しているので、これでひとまず四面全てのメンテナンスが済んだことになります。
せっかくの良い茅葺き民家なのに、余り人が来ないと愚痴をこぼしてしまいましたが、魚屋のおじさんに「資料館の屋根を葺いとう人やね」と声をかけられたり、地元の人達は結構意識して下さっていました。
定期的なメンテナンスのためにも、何とかその興味を汲み上げて、人の集う場所にして頂けたらと願わずにはおれません。
ミニミにコンサートやおはなし会、絵本の読み語り会など、なにかほっと心和む場にできるといいですね。わたしだったらそうしたいな〜
茅葺のおうちは、大阪の民家集落博物館で見たのが生まれて初めての体験だったので、住んでみたいな〜とあこがれます。
海と空の山の風景に溶け込んでいますね♪ほんとうにすばらしい茅葺ですね♪
とまとん さん、コメントありがとうございます。
茅葺き屋根の内側は多孔質で吸音効果に優れているため、音響効果が良くコンサートをするにはもってこいです。
そんな風に活用されて、茅葺き民家にはもっとモテてもらいたいですね。
さらに、田舎暮らしの住宅として、現実的な選択肢に数えられるようにして行きたいものです。
そのためにも、茅葺きの良さを活かしながら、文化的で現代的な暮らしにも応える、「茅葺き住宅」の在り方を模索して行きたいと思います。
綺麗に葺き替えができたようですね。お疲れ様です。
屋根の表面に残るヨコシマの模様は何でしょうか?
足場の跡?古茅?
私が見た映画は「芸州かやぶき紀行」ですよ^^v
ルナルナ さん、コメントありがとうございます。
屋根を葺く際に、様々に加工した材料を横に薄く積み上げて行きますので、茅葺き屋根には横縞の模様が残ることになります。
ご指摘のように煤けた古茅を再利用すれば、その部分だけ黒く顕著な縞となりますが、こちらの現場では毎日火を焚いたりはしていないため古茅が煤けておらず、またそもそも古茅の再生率自体が低く、ほとんど表に現れない「のべ茅」に使ってしまい、縞模様は光の加減で浮き出る程度のものとなっています。
丁稚の頃には美山では、葺き替えると屋根が虎柄になるのが普通で、それはそれで趣きがあるというか楽しい模様でしたが。
大きな屋根で工期が長くかかり、足場の丸太を長いあいだ吊っているとその跡が残ることもありますが、今回はそこまで至ってはおりませんでした。
足場のあとが残ってしまった場合でも、別段その部分が傷んでいる訳ではありませんから、普通一ヶ月もすれば目立たなくなります。
こんにちは、先週宇治田原の現場を見学させていただいた者です。どうもありがとうございました。
茅葺きする工程だけを見ていると普通に建設現場のように思えますが、こちらのブログを拝見したところ、茅葺きとは農業に近いものなのだと知り、新鮮な印象を受けました。
本来は農村の生産サイクルのひとつだったのですね。
また機会があれば、見学させていただけたらと思います。
今度は、屋根の構造を整える工程とか(箱結びとかを見たいです)、茅を積み上げていく工程が見てみたいなあと思っております。
千 さん、コメントありがとうございます。
>茅葺きとは農業に近いものなのだ
まさにその通りだと思います。
茅葺きという「ライフスタイル」を広めて行きたいと願っていますが、茅葺きについて知る程に、基本的な立ち位置はやはり「農」なのだと感じています。
人の暮らし、生産活動を、自然の生態系の中に位置づけるという意味で。
現場によって見学しやすいところと出来ないところはありますが、また機会を作ってお越し下さい。