ケラバとなる箇所にもラップオーバーを配置しておきます。
これで雨漏りの心配は無くなりましたが、このままでは風が吹く度にはためく棟になってしまいますから、押さえて固めてやらなくてはなりません。
押さえるのに使うリガー(ligger)もスパーと同じハシバミの若木を裂いたものです。
近年では鉄筋にやや代わられつつあるものの、茅屋根を葺く押さえ竹としても昔から使われてきました。
押さえ竹として使う分にはそのままでも良いのですが、棟押さえは装飾も兼ねているので見た目も肝心です。
継いで使ったときに仕上がりが滑らかになるよう両端を尖らせておきます。
スパーでリガーを固定します。
手で差し込んでおいて、マレット(片手木槌)でコンコンと叩いて仕上げます。
スパーは差し込んでいるだけで屋根を貫通していないので、水平に差し込んでやれば雨漏りの原因にはなりません。
写真のように斜めに差し込んではいけません(苦笑)。
リガーを装飾的に配することもありますが、禅庭ということでシンプルに。
一番下は仮り押さえ(temporary sway)。
参考までに。
茅葺き職人トレーニングコースでの拙作。
セッジ(sedge)を使った課題作品です。
これは別の生徒の作品。
棟の材料はコムギワラですが、ラップオーバーではなく突き当て(butt-up)仕上げの棟です。
材料や工法に多様性を残す点は、イギリスの茅葺き屋根の特徴と言えると思います。