投稿者「webmaster」のアーカイブ

071108 籾殻で薫炭つくり

土間と居間のあいだに紙を貼りました。
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こうして壁のように仕立てるとイメージがわかりやすく、完成した姿を思い浮かべてにやにやしてしまったりしています。

もちろん、そうやって遊ぶために紙を貼った訳では無くて、土間でこんなことをするので煙除けです。
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籾殻を蒸し焼きにして、薫炭を作っています。土壌改良材や種まきのときに一緒に蒔いたりして、農業の現場ではおなじみの素材ですが、砂木の家では床下断熱材として使ってみようと思っています。

ただ、毎日燻しているので、屋根の上で作業する人は大変ですが・・・
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かつては日々の生活の中で家の中で火を焚いていて、それは屋根の葺き替えをしているときも変わらなかった訳ですから、昔の屋根屋さんの苦労が偲ばれます。

そんなことをしながら、砂木の家の屋根葺きも少しずつ進んでいます。
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晴れた日には晩秋の日差しにススキの穂が輝いて、外で働くのが気持ちの良い季節ですが、日が落ちるとたちまち冷え込んできます。

071107 風破の仮付け/ある牡鹿の死

カヤマルの応対やら何やら色々あって後回しになっていた、「コムネ」と呼ばれる入母屋屋根の風破の部分の下地を組みました。
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2本1組にレンを組んだ上に、「ネズミ」と呼ばれる細い丸太を乗せます。風破板の天辺をこのネズミの端に釘打ちしてぶら下げるので、スミレンの上に丸太を立てて支え、ネズミの端の高さを調整して破風板の大きさを決定します。

破風を設置した時に小間の下地とのあいだに、茅を葺き詰めるすきまがちょうど残るように、棟木とネズミの長さを決めて切断します。
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先日解体した茅葺き屋根に取り付けられていた破風板を、屋根全体のバランスを見るために仮に取り付けてみました。
もう少し小さくても良いかなあ・・・

ところで、今朝仕事を始めようと足場に上がると、裏山で大きな生き物が暴れていました。栗畑に張られた防獣ネットに、若い牡鹿が角を絡ませて身動きとれなくなっていたのです。
ニホンジカは美山では有害鳥獣駆除の対象となっています。こういう時狩猟免許を持っている人ならば家に猟銃を取りに帰り、持ってない僕は役場に電話したところ、担当の方が来られて回収されて行きました。
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あとに残ったのは切断されたネットだけ。
大型の生き物の死に立ち会うことに慣れてはいないので、牡鹿の断末魔の声を耳にして、正直動揺がなかったわけではありません。しかし、ここで鹿がかわいそうだと考えてしまうのは、あまりに安直でとても無責任だとも思っています。

鹿が人里まで頻繁に下りて来ることに問題があります。
よく金儲けに走って杉を植え過ぎたせいだとか言われますが、雑木林であっても人の手が入らず放置された、鬱蒼とした山にはやはり鹿の食べ物になるようなものは少なく、茅場のような草原が無くなってしまったことも併せて、山が人の生業の場として成り立たないような社会の仕組みそのものに、原因があると感じています。

私たちは全員がそのような社会の中で暮らしていて、道路建設や宅地開発でさらに鹿の生活圏を狭めています。その結果たくさんの鹿が餓死したり、交配の機会を妨げられて病気にかかりやすくなったりしているはずで、私たちは普段何気なく暮らしているだけで、無意識のうちに鹿の大量殺戮に加担してしまっているのです。死体の見えない死に対しては無関心でいながら、目前での死に対して感情に委ねた対応をすることは、社会全体で根本的な解決を考えるべき問題を、農山村の責任に転嫁することであり、あまりに無責任なのではないかという気がするのです。

自然と共生するということは、生き物を愛玩することとは違います。人の社会も生態系の環の中に参加するとき、生きて行くために他の生き物の命を奪う罪を、受け入れる覚悟も必要になるはずです。
そのうえで、無駄に殺すことのないように一人ひとりが社会の在り方に心を配らなければならないし、奪った命は無駄なく大切に扱うことをこころがけなければなりません。

そんな訳で、美山町では只今「美山鹿肉キャンペーン」を開催中です。
「森の恵み- ヘルシーな鹿肉料理をどうぞ」

071104 笹葺きワークショップ

丹後半島の上世屋という集落で笹葺きの屋根を葺くのを、ヤマダさんや丁稚サガラとお手伝いしに行ってきました。
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作業の中心となっているのは、立命館大学経営学部の学生が中心となる「丹後村おこし開発チーム」の面々。
葺いているのは、丹後の里山で彼等が刈り貯めたクマザサ。
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笹葺きに携わるようになってすでに5年。笹を葺く手元はすっかり頼もしく、習得した技術は先輩から後輩へと伝えられて、しっかりと根付いています。
笹葺きの工程は、
長短の笹を捌きながら葺き重ねて、適切な角度を保ちながら厚みを出して行きます。

ひと針分の厚みを葺いたところで、押さえの竹を屋根裏に入った人と協力しながら縫い止めて行きます。
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屋根を縫い止める大きな針の扱いも手慣れたもの。

皆で並んで竹を踏んで締めつけ、縄の端は男結びで緊結します。習熟に時間のかかる男結びを、かなりのメンバーが完全にマスターしていることに驚かされました。
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縫い止めた縄の部分には、針目覆いに稲藁をかきつけていきます。
この上にまた笹を葺き並べて行きます。

笹葺きは京都北部では一般的な茅葺きでしたが、ほとんどの屋根にトタンが被せられたため、葺き替えの機会が無くなってしまっていましたから、彼等を手伝うことで、僕もとても勉強させてもらっています。
やはり、実際に葺いてみないと、技術は理解できませんので。

ここの活動で感心させられるのは、単なる笹葺き民家の再生にとどまっていないことです。
日本の自然環境は、そこで人の生業が営まれることで維持されてきました。この上世屋でも人と自然の共生する暮らしの中で、笹葺きの屋根が当たり前に葺き替えられて来た訳です。
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葺き替えのための笹刈りが、周りの里山の環境を劇的に好転させていく様を、自ら体験した彼等の視線は、「村おこし」のために「開発(継承)」するべき文化の本質まで届いていることを、今回確かに感じることができました。

上世屋の集落では稲を干し終わったハサ木に、蕎麦やキビ、大豆、小豆などが干されていました。
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素晴らしい棚田や、そこで多様な穀物を育てるこの地に根差した百姓の百の技も、笹葺き屋根と同じ大切な暮らしの文化として、やがて体験を通じて吸収していってくれることでしょう。

丹後の別の集落にある、今でも笹葺きのままのお宅も拝見させてもらってきました。
昭和10年に水害の被害を避けてこの地に移築してから、ご当主が自ら笹の差し茅を続けながら、今日まで暮らして来られたそうです。
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しかし、ご当主がご高齢になったこともあり、ここ数年は手入れが行き届いていないとのこと。確かに早急な葺き替えが必要となって来ているようです。
上世屋で腕を磨いた若い力が、ここでまた一肌脱ぐということになりそうですが、そうなれば、こちらも傍観している訳にはいかないですね。
丹後では笹が繋ぐ人の輪が広がりつつあるようです。

071027 旧グッゲンハイム邸の事

全くの私事ですが、夏の終わりに妻と入籍したことを、親族や親しい友人たちに報告する席を先週末に設けました。
「茅葺き職人のブログ」なので、あまりプライベートに過ぎる内容は押し付けがましいと、控えるように心がけていますが、今回は会場として使わせて頂いた建物の事を、ぜひ知って頂きたいと思いましたので。
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開港地として栄えた神戸では、保存地区に選定され観光地として有名な北野地区とは別に、風光明媚な須磨・塩屋の地に居を構えた人々も多く、海を望む緑の丘に異人館の点在する風景は、地元でジェームス山と愛着を持って呼ばれてきました。

しかしジェームス山の洋館群は、その歴史的建築的な価値にも関わらず、これまで保全の策が講じられずにいるため、近年その多くが取り壊されたり放置されたりし、存続が危ぶまれる状態です。海沿いを走る国道や鉄道からもよく見え、ジェームス山の顔とも言える旧グッゲンハイム邸も、ここ数年急速に傷みが進行していくのを、幼い頃からこの地で過ごして来た僕は、暗澹たる想いで眺めていました。
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それがこのほど、地元のステンドグラス作家の方が、個人で費用を捻出して購入、町のシンボルとして活用されることで維持を図って行くべく、修復を進められているという朗報に接することができました。
自分たちの結婚を祝う集いが、塩屋の風景の一部であり、地域の財産である旧グッゲンハイム邸の、保存活用の一助になれば、これほど嬉しいことはありません。早速コンタクトを取り想いを伝えると、快く使用を許諾して頂けました。

建物の使用が決まってから開催までひと月もなかったので、とても慌ただしい準備となりましたが、多くの人達の助力を得て無事執り行なうことができました。
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急な話しに貴重な時間を割いて集まってくれたゲストの皆さんも、自然に恵まれ文化の薫り立つこの地を象徴する、歴史建築の空間を存分に楽しんで下さったようでした。
これから末永く、この建物が多くの方々に愛され活用されて行く事を祈ると同時に、異人館の建つジェームス山が漁村の路地の奥に見える、独特な塩屋の街並を守り育む道が拓かれるように、わずかでも力になれる事を探して関わり続けて行くつもりです。

071023 岩手花巻研修行

某団体の主催する、茅葺き職人を対象とした研修会に参加するため、岩手県の花巻市まで行ってきました。
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まず、同団体が技術研修の会場として運営中の、文化財指定民家の小屋を葺き替えている現場を見学しました。

見学の目玉は「芝棟」と呼ばれる、この棟の収まり。茅葺き屋根の棟に土を乗せて草を植え付け、それで雨仕舞いとしています。
北東北では広く見られる棟で、茅葺きの上に土を乗せるのは、縄文時代の竪穴式住居でも行われていた事が確認されている、根源的で基本的な茅葺きの技術のひとつです。
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とはいえ、関西では全く見る事の出来ない棟ですので、知識としては知っていても、あらためて目にすると何とも新鮮です。とても、かわいらしいと思います。
色々な植物を植えるパターンがあるようですが、今回は土ごと切り取って来た野芝を張り付けてありました。ディティールの説明はあったものの、頻繁に踏まれる場所でなければ良く育たない野芝が、屋根の上で他の雑草に負けずに根を張れるのか、竣工後の「付き合い方」の部分がいまひとつわからなかったのが、少々心残りでした。

続いて、日本最大規模の茅葺き屋根を持つ正法寺を参詣。
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何度訪れてもその大きさには圧倒されますが、昨年「平成の大改修」が終了して、真新しくなった屋根は一段と立派です。
境内もきれいに整えられたので、葺き替え前のような、苔むした茅葺きの巨大な古屋根が、杉の古木に囲まれてたたずむモノノケ的な魅力は削がれてしまいましたが、それは物見遊山に訪れた者の勝手な言い分というものでしょう。

裏山に登って近くで見ると、その巨大さにあらためて驚かされます。
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そして、この大きな屋根を揃えて葺き上げた、宮城の屋根屋さんたちの技術の素晴らしさにも。

バスに揺られて眺めた範囲では、一般の住宅はトタンを被せられたものが多かったのですが、トタンにもやはり地域性が滲み出ておもしろいです。この写真は瓦型のプレス板金による面白みの無いものですが・・・乗り合いの交通機関は、面白そうなものがあっても、ちょっと止めて見る訳にはいかないのがつらいです。
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茅葺きからの改変では、マンサード(腰折れ屋根)の納屋に興味を惹かれました。おそらく茅葺き屋根を下ろして代わりに乗っけたものだと思いますが、現代ではこれがスタンダードになっているようでした。
屋根裏にワラや干し草を保管しようとすれば、茅屋根よりもずっと効率的なので、普及したものなのでしょう。なだらかな丘陵地に放牧地や草刈り場の広がる、北上山地の「牧の風景」にとても良く似合っていました。

最後に東北新幹線を下りたときから気になっていた、新花巻駅の正面に建つ立派な茅葺き民家に立ち寄りました。つい最近までおばあさんがひとりお住まいだったのが、花巻市の管理になったところだということでした。
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磨き上げられたダイドコの床や、手入れの行き届いた障子にまだ人の暮らしのぬくもりが残る建物でした。
花巻市には、新幹線の駅の正面に茅葺き、というロケーションを大切にしながら、ぜひとも深みのある活用を期待したいです。

それにしても新幹線を乗り継いでの一泊二日は、やはりせわしなく疲れました。東北は大好きな土地なので、次回は時間の余裕を見て訪れたいものです。

071018 続・茅葺き屋根の解体

主構造材の解体は、縄による結束を切断しながらレッカーを使って行うと、安全に効率よく進められます。
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かつてはこれを組むのもばらすのも、人力のみによっていたわけで、大変な作業だった事でしょうが、その手順がどのようなものであったのか、興味は尽きません。

棟木を支える合掌材の根本は、渡りあごを噛んで桁の上に乗せてある梁の端に差してあります。
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美山の場合はホゾを切って差してありますが、地域によっては合掌材の根本を鉛筆のように尖らして、梁材のくぼみに置いてあるだけのことも珍しくはありません。なるべく柔らかな構造とするように、配慮されているのです。
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この合掌材の上にヤナカ(母屋)が乗り、その上に並べられ桁の外に至るレン(垂木)とともに縄で結束され、一体となって建物に籠を被せたような構造となっています。

レンとヤナカとの結束も縄によります。釘と異なり抜けたり折れたりする心配がありません。
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レンの頭はこのように、尖らせたものと穴をあけたものを2本1組として棟木に架けてありますから、縄による結束でも滑ってずれるということもありません。

茅葺き屋根が取り除かれた「茅葺き民家」。屋根と建物部分が全く別構造である事がご理解いただけたのではないでしょうか。
この上にあらためて「基礎」を組み、2階を「建てる」ことになります。
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そのため、もともと2階建てを前提とした構造に比べると、茅葺き屋根を下ろして2階を乗せた家は、随分と腰高になってしまい、1階の天井(吊り天井)と2階の床とのあいだに、利用されない大きな空間が生じてしまいます。
美山では子供部屋を確保するために、茅屋根を下ろして2階を上げたという方が多くおられます。こちらのお宅では、定年を迎えてUターンされるご子息のために、2階が必要となったということです。これからはそのような需要も増える事でしょう。
その際、「砂木の家」で試みたような、吊り天井の上の空間をロフトとして活用するプランが実用化すれば、茅葺き屋根のままに、必要な居住スペースを確保できるようになるのではないかと考えています。

2階を上げる工事を行うよりも安価に済ませられるはずですし、何より「後戻りできない一線」を越える必要がなくなります。
茅葺き民家の不動産としての将来性は未知数ですが、欧州諸国での事例を見るまでもなく、その価値が急速に高まる事は充分にあり得ます。一旦茅葺きであることを止めてしまうと、元に戻すのは非常な困難を伴いますので、所有者の方にとっても必要な性能を満たしさえすれば、「茅葺き民家」のまま維持しておく価値は充分にあると思うのです。

071017 茅葺き屋根の解体

砂木の家のご近所で、茅葺き屋根の解体があったのでお手伝いに行きました。
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「茅葺き民家の解体」ではなく、茅屋根を下ろして2階を継ぎ足す工事です。

籠状の構造の茅葺き屋根は、重機で無理に壊そうとしても力を分散するので、思ったようには壊れず散らかったり、危険なこともあります。
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人の手で解体した方が結局手間が少なく、丁寧に取り外す事で、分別して再利用できる部材も多くなります。

葺くのとは逆の手順で、上から下に、棟の解体から始めて、最後に軒を取り外します。
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丸太のレン(垂木)を放射状に配した「寄せ棟」の構造に、破風(煙出し)の部分を継ぎ足した、美山で一般的な入母屋の造り方が、よくわかるかと思います。

外観は同じような入母屋の茅葺き屋根でも、丹後の旧永島家の下地は、垂木を平行に並べた「切り妻」の構造に、破風の下側となる軒部分を妻側に継ぎ足した造りでした。
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2日がかりで茅と竹を全て取り外しました。

小屋組の構造は、合掌材と棟束を併用して棟木を支え、そこに2本1組に組んだレンを架けて行く、比較的新しい構造です。
レンにはナラなどの雑木と杉が少し混じっていますが、このあたりで戦前の建物によく見られる、アカマツが主体でもあり、少なくとも屋根部分は近代のもののように思えます。雑木のレンは古い建物からの再利用、杉のレンは茅屋根葺き替えの際に補修されたものではないかと思います。
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棟木の立っている立派な部材ナカオキは、やはり梁の上に並べた天井板の上に置いてあるだけで、下方の柱組とは繋がっていません。

071008 カヤマル'07最終日

カヤマル最終日は朝から雨となってしまいました。
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雨の日は作業はできません。それでも2日間快晴に恵まれて何よりでした。

雨の日はのんびり過せる機会でもありますから、時間をかけて茅葺きの見学へと出かけます。
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昨夜遅くまで話しに熱が入っていた一部の方には、恵みの雨だったかもしれません w

初日に訪ねた区長さんのお宅を再訪すると、囲炉裏に炭火を熾してもてなして下さいました。
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お住まいのご夫婦からは、茅葺きでの暮らしについてじっくりとお話を伺うことができました。

美山町を象徴する茅葺き集落、「北」の伝統的建造物群保存地区まで足を延ばしたところ、幸いにも雨は止み間となり、集落内へと散策に向かいます。
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「茅葺きの里」を歩いていても、自分で葺いたあとだけに見えるものも違って来ているのではないでしょうか。

かつての庄屋格だったお宅に立ち寄り、藍染め作家をされているお住まいの方からお話を伺います。
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藍染めに適したきれいな水と、美しい景観をもとめてこの地に移って来られたこちらの方は、昨年まで茅葺き保存会の会長をつとめられていて、保存地区での暮らしやこれからの展望についての興味深いお話しを聞かせて下さいました。

村の外れにはナカノさんの美山茅葺き株式会社の茅倉庫があります。
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そこで職人さんたちと再会。
お昼ご飯にお弁当を食べながら、茅倉庫を見学しながら、最後にゆっくりお話を聞く機会が得られました。

カヤマル'07は、おかげさまで事故も無く無事終了しました。
職人さんたち、地区住民の方々、そして何より参加者の皆さんのおかげで、実り多い3日間とすることができたと思います。
新しい茅葺きの輪を拡げていくためにも、これからもカヤマルは続けて行けるように頑張りたいと思います。

071007 カヤマル'07中日

カヤマル2日目も朝から快晴です。
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地下足袋で足下を固めて、いざ現場へ。

今日は茅を葺く作業に参加します。
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まず茅を扱う注意事項に耳を傾けます。

適切な勾配となるように、長い茅と短い茅を重ねて並べます。
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置くのではなく、きれいに並べなければなりません。でも長い茅は真っ直ぐにするのはとりわけ大変です。

並べた茅は足場の丸太で仮止めします。
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「トックリ結び」を習って針金で止めて行きます。

仮押さえした茅を叩き揃えて屋根の形を作って行きます。
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叩き方が足りなくても、叩き過ぎてもいけません。しかも、結構力がいるので大変です。

揃えた屋根は竹を針金で縫い止めて固定します。
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押さえの竹は奥過ぎても手前過ぎても問題を生じてしまうので、叩いて変わったりする屋根の形を読んで、適切な位置に固定する必要があります。

屋根の裏側の人と2人ひと組で、大きな針の先にかけられた針金を掛けかえながら、針金を垂木に縫い止めていきます。
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針は垂木のすぐ際に差し込まなければ、針金を締めた時に茅を寄せて割ってしまうので、雨漏りの原因になりかねません。
裏側の人は表で針を差す人に声をかけて、垂木の際に誘導してあげます。

その頃、茅のストック場所では、茅を所定の長さに切断して、勾配を調整するための短い茅をせっせと作っています。
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茅を切るための「押し切り」という道具を使うのも、ほとんどの方が初めてです。

作った切り茅は現場に運んで、リフトに乗せて足場の上に。
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4面ある屋根のあちこちを葺いていますから、必要とされる場所まで運んでおきます。

今日は雨養生のシートをかけて帰りましょう。
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下地の竹が上の方まで組まれたので、シートをかけに上がるのも足場が出来て随分楽になりました。

お風呂は近くの料理旅館「きぐすりや」さんが使わせて下さいました。
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休憩用に趣のあるお座敷も使わせて頂いたので、昼間の疲れをゆっくりと癒すことができました。

宿舎に使わせて頂いている集落の集会所に戻って、職人さんたちも交えて鍋をつつきながら、夜が更けて行きます。
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071006 カヤマル'07初日

茅葺き現場体験会「カヤマル'07」。台風の接近が気がかりでしたが、幸いにして快晴の初日を迎えました。
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カヤマルのために、茅葺屋の他に6人もの職人さんたちが集まってくれました。
おかげで何とか軒裏を付け終わりましたが、初日の朝も参加者を迎えるギリギリまで、現場をカヤマルプログラムが充実する状態にするため、作業が続いています。

一方、遠方から山奥のカヤマル会場へ集合するために、早朝から家を出て下さったであろう定員枠一杯の参加者たちは、早速縄結び講習会で歓迎します。
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台所から家づくりまで、「男結び」は田舎暮らしの基本スキルですが、結び方を知っていてもきちんと堅く結束するためには、慣れが必要となる難しい結び方でもあります。しかし、茅葺きにも不可欠な技術なので、現場に入る前に充分な練習を積んでおきます。

昼食後、大きな茅葺き屋根の砂木区の区長さんのお宅を訪ねて、天井裏まで上がらせてもらいました。
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既存の茅葺き民家の構造を、間近に見学させていただきます。

充分な予習を積んで、いよいよ現場入り。
早速屋根に上がって、特訓の成果を見せるべく、男結びで下地の横竹を結束して行きます。
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初めは竹を組んだ下地の上で足場を決めるのも一苦労の様子でしたが、職人さんたちの直接指導を受けて、実践を通して鍛えてもらいます。

後半には葺く作業にも参加。
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重要な軒の部分の作業でもあり、教える方も教わる方も真剣です。

一日の作業の最後には、当番を決めてサガラ料理長の指示のもと自炊。
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職人、ご近所、参加者、みんなでつくるカヤマルです。