投稿者「webmaster」のアーカイブ

070726 土台

基礎の上に土台が回されました。
土台にはヒバを使っています。
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北東北や北陸では建材として重宝されるヒバですが、削ったときの独特の匂いが強いせいか、大工さんのお話しでは京都では材の品目として流通しておらず、立米売りのヒノキの山に、天然生えのものが混じっているくらいだそうです。
シラス干しに混じっている小さなタコとかカニみたいな感じでしょうか。

ヒバはヒノキの異物扱いなので、ヒバが多く混じっているヒノキのひと山は安くなるのだとか。
大工さんには早い時期からなるべくヒバ混じりのヒノキを買うようにしてもらって、土台用のヒバを貯めておいてもらいました。相対的にどこかのお宅に使われたヒノキも安く買えた訳ですから、結果的に上手く収まったと勝手に喜んでいます。
大工さんの刻み場にはヒバを貯め込む事になって、迷惑をかけてしまいましたが・・・
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土台の上に置いてある板は、茅葺きの棟収めに使うウマノリを作った際の端材をスライスしたものです。

茅葺き屋根のてっぺんで風雨に曝されるウマノリは、堅く水に強いクリの木で作ります。
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水廻りとなっている北側下屋部分の土台で、基礎とのあいだに挟んで土台を浮かせるパッキンとして使いました。

刻み場では大工さんたちが部材の仕上げにかかっておられます。
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スギ、ヒノキ、アカマツ・・・適所に使い分けられた材が、ノミとカンナを使う大工さんの手によって柱や梁に姿を変えて行くのは、何度見ても不思議な風景です。

0725 棟の解体

お施主さんのご夫婦による手入れの行き届いた現場の周辺には、たくさんの小さな生き物たちが暮らしています。
谷川の堤で仲良く昼寝中のシマヘビとアオダイショウ。
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近づいても体を触られるまで起きない程のんびりした様子は、普段から人にいじめられることなど無いからでしょうか。

葺き上げが捗ったので、続きを葺くために早くも上半分の古屋根を解体しなければならなくなりました。
まず、棟を解体します。
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棟飾りの「ウマノリ」は、昔はその重さで棟を押さえていただけあって、こうして近くに寄るとかなりの大きさ。栗の木で造られているので重さも相当です。

今は針金で引っ張りウマノリで棟を挟んで止めているので、ここまで大きな材を使う必要は無いのですけれども、棟は地域性をもっとも良く現す茅葺き屋根の顔ですから。お施主さんの気持ちとしても、「美山の屋根」にはやはりこれが無いと、ということですね。
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急に現場の人数が減ったので、でっかいウマノリを下ろすのは大変でしたが。

古茅も下ろしてから下地の竹を結わえている縄をかけ直し、下地の補修が済みました。
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あとは棟までひたすら葺いて行くのみです。

0723 斜め軒付け/メガヤ

お施主さんが用意されて屋根裏に保管されていた茅の中に、3束だけメガヤが混じっていました。
手前の束がそれで、奥のススキと比べてみて下さい。
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美山で茅屋根を葺くようになって10年以上過ぎましたが、古茅でないメガヤを見たのは初めてでした。
かつてメガヤを育てていた標高の高い尾根筋の茅場は、美山ではもう絶えてしまったと思っていました。

断面を見ると穴が開いていて水切れが良く、合掌集落で有名な五箇山でかつて主流であった「コガヤ」のように、耐久性があると言われています。
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3束だけでしたからまとまった茅場があるという訳では無いのでしょうか、生えている姿を一度是非見ておきたいものです。

さて、屋根の方は今日までの3日間、「きたむら茅葺き屋根工事」改め「美山茅葺き株式会社」から、応援に来てくれていたので随分捗りました。
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屋根の大きさは決まっていますから、やたら屋根屋の人数を増やせば良いというものではありませんし、「テッタイ」さんの人数とのバランスも考える必要もありますが、美山サイズの屋根だと両角を付ける2人+真ん中に2人というのはなかなか恵まれた編成でした。

先方の現場の合間の、忙しい時間を割いて手を貸してくれました。ありがたい。
おかげで手間のかかる「斜め軒」の部分が仕上がりました。
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まあ、もっといてくれても良かったのですけれど w

0721 軒付け/理想の現場

現場の周りには夢に思い描くような農村の風景が広がっています。
田んぼも石垣も畔も畑も、こちらにお住まいのお年寄りのご夫婦による、日々の営みの中で繰り返される手入れが行き届いています。
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屋根裏から出した茅が積んである田んぼが一枚、田植えをせずに休んでいるのは、茅葺きの際の作業場とするのを見越して、田植えを控えて下さっていたからです。田んぼには再使用できない古茅やゴモクが積まれ、葺き替えのあとには堆肥がつくられます。一部はそのまま畑のカボチャのマクラにもなります。
家の脇にはきれいな谷川の水を田んぼに引き込むための水路が流れ、汚れた手や顔を思う存分洗うことが出来ます。そこには家の裏手の横井戸の水も流れ落ちていて、これからの季節どんなに暑い日でも冷たい水でのどを潤すことも出来ます。

適切に造林され様々な樹齢の木が混じる針葉樹林と、椎茸栽培のホダキにするために適度に伐り出された雑木林が混じる山裾には、茅葺き屋根のための茅場が広がる、茅葺き民家に素晴らしく似合う風景です。
逆に言えば茅葺き民家を維持していくことが、この風景を守る一助となっているとも言えます。
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茅葺きに暮らすということが、周りの自然環境に対して責任あるライフスタイルを実践していることの、宣言だと見なされるような世の中にして行きたいものです。

おじいさんとおばあさんは、ロハスとか言葉とは関係なくすごいことを、さりげなく実践されておられますけれど。
などと考えながら、軒を付けました。

0719 屋根裏の茅

すっきりとは晴れませんが、久し振りに青空を見ました。
今の季節あまり晴れても困るのですけれども。
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まず古屋根を解体して開いた穴から、刈り貯めて屋根裏に保管されていたススキを搬出します。

丁寧に刈って束ねられたススキが、きれいに積んでありました。
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茅屋根の裏側に沿った外周部分に作業用のスペースを残し、向きを揃えて積んであるので保管中に茅が曲がったりしておらず、搬出もとても容易にできました。

屋根裏に「軽く一杯」という程度の量でしたが、外へ出してみると結構な量であることが良く解ります。
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茅の山の向こうに見えるきれいに畔を刈込まれた田んぼと、枝打ちの行き届いた山のあいだに、茅刈りをして手入れされた原っぱがあります。
茅場は田畑(人)と山(野生)との緩衝地帯でもあります。

茅の搬出を済ませてから下地の手直しをして、ようやく屋根葺きが始まります。
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まずは軒付けから。トタンの庇が多く、場所により高さがまちまちなので、少々手間がかかります。

0717 雨が続くと干上がります

美山町の鶴ヶ岡地区にある、きれいな谷川沿いの集落を一番奥へ入ったお宅へ、葺き替えにやって来ました。
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予定では一週間以上前の着工のはずでしたが、今日まで雨に降り込められてほとんど進められずにいます。
雨の日が休日の屋根屋としては、朝目を覚まして寝床の中で聞く、たまの雨垂れの音には安らぎを覚えるのですが、さすがにこれほど仕事ができないでいると心身ともにおかしくなって来ます。

何よりフトコロが干上がってしまいます。生活して行けません。
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台風が過ぎ去ってもまだ空はぐずついていますが、我々はこれ以上ぐずぐずしてはいられません。きれいな屋根でお盆を迎えて頂けるように、湿っぽい中足場を組んで古屋根を解体する機会をうかがいます。

北側の屋根一面に厚く重なった苔は、たっぷりと雨を含んで青々としています。まず、これを鍬でかき落としてしまいます。
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屋根裏に保管してある茅を搬出して軒を付けるために必要な、最小限の部分をまず解体します。

しかし、屋根裏の茅をいくらも出さないうちにまたもや本降りの雨に。
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僕等が濡れるのは一向に構わないのですが、お施主さんが刈り貯めた大切な茅を濡らす訳には行きません。捗らない進行にストレスを抱えつつ、本日もまた早仕舞いでした。

070713 手刻み

大工さんの刻み場では、砂木の家の部材の刻みが始まっています。
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プレカットではなく、ひとつひとつ、大工さんが手で刻んで加工されている様子は、思わず見とれてしまう職人の仕事です。

大まかなプランが決まってから、土地の造成やら何やら手間取ったせいで、実際に細かな寸法が決まるまで1年あまりが過ぎてしまいました。
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図らずしも部材には、充分すぎるほどの乾燥期間を与えられる事となりました。
刻み場にいつまでも積み上げておく事になって、大工さんたちにはご迷惑をおかけしてしまいましたが。

棟梁のサカイさんが墨をつけておられます。
三次元の収まりを頭の中で整理しながら、やり直しのきかない線をためらわずに引いて行く集中力。
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手前に積んである切り欠きの多い材は、神戸で解体された家の棟木だったのを、友人たちがわざわざ届けてくれたものです。
刻み直されて、砂木の家で再び使われます。

070701 茅葺きツアーin鹿島・浮羽

シンポジウム2日目は見学会です。
◯最初に訪ねた集落は、鹿島市の中心街からわずかに川を越えただけのところでしたが、一面広がる干拓地の一画に肩を寄せ合う農家建築の多くが茅葺きで、しかもトタンを被せられている家は一軒も無いという、俄には自分の目が信じられないような光景が広がっていました。
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茅葺きの他にも板壁やレンガ作りの建物、手入れの行き届いたマキの生け垣、干潟の泥の匂いのするきれいな水の流れるクリークなど、暮らす人の愛着が滲み出たような、とても美しい集落でした。

なつかしい木の電柱に取り付けられた、街灯のデザインの面白さも秀逸です。
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茅葺き屋根は地域色豊かな、「くど作り」と呼ばれることもあるコの字の棟を持つ、非常に独特なかたちです。
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屋根下地よりもきつい勾配を持たせて葺いてあるために、こんもりした屋根のかたちと相まって、どこか外国の町の風景を見るようでもあります。

地元に茅葺き職人さんがおられたために、日常の手入れが行き届いて来たことで、茅葺き屋根が良く残されて来たそうです。
しかし肥前浜宿とは異なり、こちらの集落は伝統的建造物群保存地区の指定からは漏れているとのこと。
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実際に集落内に中層の集合住宅が新たに建てられていたり、特に印象的なかたちの茅葺き屋根を持ち集落のランドマークになっているお寺に建て替えの予定があったりしていて、この美しい風景が今後も残るのかどうかは難しい問題のようです。

◯次いで肥前浜宿の、昨日歩いた酒蔵通りの海側にある、町家が建ち並ぶ庄金、南船津地区を訪ねました。
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密集する町家で茅葺き民家が卓越するという、こちらも古い映像の中か、ヨーロッパの集落にでも迷い込んだかのような風景でした。

「くど造り」が注目されるこの地域の茅葺き屋根ですが、軒の下りがとても小さいのも珍しく感じました。
軒は垂木に負担がかからない限りなら、下げた方が軒の出が大きくとれるので、屋根下空間が広くとれて有利です。一方、軒の出が大きいと風圧力に対して弱くなります。
ワラを縄で巻きつけた竹で軒裏の隙間を塞いでいたりするのも風への備えと思え、雨仕舞いに不利な「くど造り」が広まっているのは、風対策として棟高を低く抑えるためだったのだろうかと想像したりしました。
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軒の出が小さいことも、茅葺き民家の街並に異国情緒を醸している、大きな要因と思われました。

干拓地に囲まれ有明海に面する町は、台風などの時には強い風に吹かれるのかもしれません。
ただ、それは夏に蒸し暑さから逃れる風を得やすいということでもあります。
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道路幅も狭く建て込んだいるために、さすがにトタンによる覆いをされた屋根も多かったのですが、今後屋根の修復を進めて行くうえで、準防火地域に指定されていることもあり越えるべき課題は多いようです。
しかし、課題として取り上げられていること自体、とても先進的な取り組みだと思います。

何よりこの路地空間の魅力は、何ものにも変え難いものがあります。
路地を介して適度に視線が行き交い交流が生まれます。密集した街並でありながら、随所に設けられた庭で狭苦しさは感じず、日差しにも恵まれています。行き交う路地や水路が通風を呼び込み、茅葺きの軒を切り上げて設けられた2階の窓は、風の取り込み口かもしれません。
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小さな町家の茅葺き民家は、現代の住宅として使うのにいかにも手頃です。
毎朝この路地を通って出かけて、夕方帰って水路に面した縁台で休み、路地を行き交う人と声を交わす。そんな暮らしを思い描いて強く惹かれました。
伝統的な街並は、「住みたい町」としても魅力に溢れていると思います。

◯午後からは福岡県の浮羽町へと移動しました。
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棚田の中に茅葺き民家の点在する風景が、谷に沿ってどこまでも続きます。

昨日のシンポジウムで井手氏の話された、杉皮葺きの茅葺き民家も始めて実物を見ました。
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他の材料にはないはない重厚な仕上がりです。

井手氏は重要文化財平川家住宅の葺き替えにも携わっておられたそうです。
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同じ「くど造り」でも佐賀県のものとは微妙に雰囲気が異なるように思います。棟の収まりは大きく異なりますが、それだけでは無いようにも・・・

棚田と茅葺きの谷間を通っていると、鮮やかな鏝絵もたくさん目につきました。
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これほど大きな鏝絵は今まで見たことがありませんでした。
左官屋さんも活躍されている地域なのでしょうか。

旅に出ると目にする物事も多いので、つい日記も長くなってしまいます。
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しかし、有明海北部。今まで縁がありませんでしたが、とても個性的な見所の多い地域でした。
駆け足の旅だったのが残念ですが、また行きたくなるくらいに名残を残しておいた方が、楽しみも残って丁度良いのかもしれません。

070630 茅葺きシンポ@佐賀県鹿島市

佐賀県鹿島市で開催された、全国茅葺き民家保存活用ネットワーク協議会のシンポジウムに参加するために、美山の屋根屋6人、くたびれたワゴンに乗り合わせて九州まで行って来ました。

夜通し高速を飛ばして来たので、まずは朝風呂を使いに雲仙の小浜温泉へと向かいます。
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島原半島を巡る海岸道路に入ったところ、千々石という町でまるで要塞のような見事な石垣の棚田が目に入りました。

松原の海岸から集落のある山の麓までには、結構な面積の平田も広がっています。
集落背後の急峻な斜面の側も開墾して、見事な棚田を築き上げたいきさつなど興味をそそられます。
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石積みで畔の薄い棚田は、地元の京都や兵庫の棚田と比べると、随分とシャープな印象を受けます。

会場近くの伝統的建造物群保存地区「肥前浜宿」へと移動し、腹ごしらえの後開会時間まで散策しました。
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白壁の美しい街並をつくる酒蔵の多くが、現役なことを知り個人的な期待が膨らみます。
ここは街道町のなかに茅葺きの建物も多くあるということで、明日の見学会で時間をかけて見て回るのも楽しみです。

さて、本題のシンポジウムについて。
今回のタイトルは「今、茅葺き民家にすまう意義」ということで、いよいよ茅葺きを住宅として活用することについて語られるようになって来たことに、まず感慨を覚えます。
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地元鹿島市で肥前浜宿地域の伝建地区指定に携わった方々からは、現代の住宅として活用するために再生する事例と、文化財として将来に伝えるために保存する事例とのコンセプトの違いや、高潮対策や道路拡幅などの都市計画プラントの兼ね合いなどに苦労しながらも、保全を進めて行く中で若い方の中から職人を志望する人が増えて来たり、体験会に参加した小学生や高校生から予想以上の大きな反響を得るなど、地元に密着した財産として愛されるようになって来ているという報告がありました。
茅葺きの工事を行うに際して、やはり建築基準法の規定がネックになることが多いとのことでしたが、地元の財産として認識されることが、法の運用規定を変えて行くためにも一番の近道であることは間違いないでしょう。

筑波大学の安藤先生からここ一年の茅葺きをめぐる話しとして、昨年富士河口湖町にオープンした「癒しの里 根場」 が紹介されていましたが、単に富士山麓に茅葺き民家の建ち並ぶテーマパークではなく、職人の交流の場や、訪れる人達とともに茅葺きの文化を再興して行く場としての展望を語られていたのが印象的でした。

また、筑波において実際に茅葺き民家を現代建築としてレストアされた事例においては、Iターン住人が茅屋根葺き替えのために稲ワラ確保を通じて、地元農家と交流を持ちその土地に住まう作法を学ぶという話しがあり、それは自らがIターンで茅葺き民家に暮らしている新田氏による、茅葺きを通じて暮らしに深みが生まれ交流も広まったという話しや、石川県茅葺き文化研究会の坂本氏の、実際に茅を葺く機会を設けることで、地元の高齢者のあいだで忘れかけられていた、文化としての茅葺きの記憶が呼び覚まされたとの報告と並んで、茅葺きを「住む道具」として活用することの意義の高さを、示してくれていたように思います。

大分県在住の茅葺き職人、井手氏からは、杉皮を挟み込んだ独特の茅葺き屋根についての詳しい報告と、そのような茅葺きとともに生きる職人の暮らしについての話しがあり、同行の美山の若い職人たちは一番食い付いていました。
氏の活躍される茅葺きと棚田の美しい浮羽地域も、明日に見学可能だということで期待が膨らみます。

夜は鹿島市重要文化財の茅葺きの旧乗田家住宅において、地元の方が用意して下さった有明海の幸と地酒を楽しみながらの「情報交換会」が、遅くまで賑わっていました。

0627 竣工

母屋は軒裏も刈り落としてほぼ仕上がり、順次足場の解体に移ります。
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いよいよ梅雨らしく雨が強く降り込める日も多くなるなか、合間をついて方丈の差し茅も佳境に入って来ました。

雨の止み間は森の蒸気に満ちた空気がねっとりとまとわりついて、思わず出た「ヒレを付けたら泳ぎ出せそう」という台詞にはげしく同意してしまいました。
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しかし梅雨が明けたら明けたで、屋根の上に一年で最も暴力的な日照の降り注ぐ季節が到来することになるのです。

何とか方丈の刈込みも終わり竣工です。
もっとも、僕は皆が蒸し暑さに弱っている中、最後の2日間は現場を離れており、仕上げには携わっておりませんが。
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そういうわけで、この竣工写真に限り photograph by Yu Osaki ですので。