合併浄化槽の本体がやって来ました。
下水処理施設は、流域下水道>集落排水施設>個別合併浄化槽と、規模が小さくなるにつれて無駄が省かれていく印象を持っていますが、いかがなものでしょうか。
我が家専用の下水処理場ですから、「水に流す」ものにも自ずと気を使うようになると思いますし。
今までの汲取便所にも特に不満はありませんでしたが、今の時代にどうしても来客を選ぶことにはなりました。
まあ僕にとっても、自分が出したものを確認できるようになるのは良いなあと思っています。
投稿者「webmaster」のアーカイブ
060924 敷地の地盤
合併浄化槽の設置工事が始まりました。
「初代砂木の家」は「砂木の家」が竣工後も残すつもりなので、外便所を設けて早速浄化槽を動かすつもりです。
田舎の暮らしでは家の外にもトイレがあると、何かと便利ですからね。
すでに付き合いの長い土地なので地盤調査などは行っていませんが、実際に地面の中を覗いてみたのは始めてです。
この深さでは岩盤は出ませんでしたが、湧水もほとんどなく安定した土地という印象です。
美山は地下水位が高くて水が豊富なのは良いのですが、家のまわりに水が滲み出して、ただでさえ湿度の高い土地をますます湿っぽくしてしまっていることが多いのです。
実は集落の墓地のすぐ隣りという敷地です。お墓のある場所は長く災害に遭わず日照などの条件にも恵まれた土地ですから、もともと地盤に関してはあまり心配していません。
0923 棟の解体(芸州屋根屋の手跡)
いよいよ棟の解体に取りかかりました。
棟養生の杉皮を止めている「カラミ」を棟の内部から直接針金で縫い止めていたり、杉皮の端を竹串で押さえたり、棟の「段」をススキで造っていたりして、かたちは同じでも美山のやり方とは明らかに異なります。
棟の「段」は美山だとワラで造るのが普通です。
針金が棟の内部へ貫通しているので、その部分では棟の内部まで少し雨水が染み込んでいましたが、「段」がススキで造られているせいか、たいした問題にはなっていないようでした。
美山のやり方だと杉皮を貫通して縫い止める必要は無いので、棟の中に雨が入る事はありません。
それぞれの技術はどちらかが良くてどちらかが悪いというものではなくて、要はつじつまが合っていることが大切なのだと思います。
とはいうものの、裏表の棟の材料をてっぺんで互いに編み止めたりしていて、美山とは異なる技術で収められた棟はなかなか丈夫そうで参考になります。
25年前に葺き換えた職人さんは滋賀県から来られた年配の方だったそうですが、葺き方は芸州屋根屋と呼ばれている広島出身の出稼ぎ職人さん達の流れを受けた系統のようです。
それが最も顕著に表れていたのは軒の角の部分の据え方。
「つくりかや」と呼ばれるパーツをあらかじめ造っておいてから、軒の角に載せて固定します。
丹波では見られないやり方です。
意匠的に目につく場所でありながらしっかりと固めるのが難しく、傷みやすい軒の角を丈夫に設えるための工夫で、僕は岡山の職人さんと一緒に仕事をさせて頂いた機会に始めて知りました。
地理的に岡山も芸州流の影響を受けているのではないかと思います。
0922 葺き上げ/ゴモクは畑に
北の伝建地区とは離れているのですが、美山の自宅の近所で、茅葺き屋根の金属板による被覆工事が始まっています。
家の前の田んぼの法面を、毎年茅場として手入れされて来たお宅だったのですが、合併後に茅葺き保存に関する施策が定まらないなか、また一軒茅葺き替えのローテーションを中断されてしまいました。
現場の方は秋晴れのもとキンモクセイの香りが漂うなか、順調に進んでいます。
お天気続きなのですが台風の気配がどうしても拭えない事もあり、少しずつ古屋根をめくっては下地を直し、順番に葺いて行っています。
古茅のうち再使用できない分は、畑に積んで堆肥やマルチに利用します。
これからは有機肥料としてより有効に使いこなしていくための方法についても、色々と試して行きたいと思っています。
有機農業に取り組まれている方で良いアイディアをお持ちの方は、お互いに協力できることがないか話し合ってみませんか?
かやくずは土に還るまでは乾燥した可燃物です。
「かやぶきの里」見学の際は、くれぐれもくわえ煙草はご遠慮願います。
0920 めくって、葺いて、
0917 続・軒付け
台風の影響が心配されましたが、軒の一針目をつけることができました。
ここまでで屋根葺きは最初の山を越えたという感じになります。
屋根全体のかたちを決める軒を無事付け終えた事と、養生シートが風をはらんで捲れたり錣屋根との継ぎ目から雨漏りしたりする心配が無くなるからです。
台風に備えていつもより念入りな雨仕舞いをして帰りました。
一旦風が吹き始めてしまえばシートを直す事は大変な危険を伴うので、シートが風をはらまずにいなすように固定しておく必要があります。
夕方になると次第に強くなって来た風に、開き始めたススキの尾花が揺られています。
時間をかけて養生することができたので、滅多な事は無いとは思いますが、今夜はゆっくり寝ていられないなあ。
屋根に穴の開いた家で台風を迎える家の方は、もっと心配でしょうけれど。
060915 敷地が広くなりました
0916 軒付け
北側の大間をめくってみるとかきつけ がなされれずに、カヤオイの上に直に稲ワラが乗せられていました。
錣屋根(シコロ屋根・ひさし)で茅屋根を受け止めるようにして、茅屋根と錣屋根のあいだに隙間が出来ないようにする配慮と思われます。
隙間が無い方が当然雨仕舞いは良くなります。しかし、錣屋根を設けたせいで軒からの換気効率が悪くなった事が、最近「茅葺き屋根が長持ちしなくなった」と言われる原因の一つではないかと怪しんでいる僕としては少々複雑です。
半割丸太のカヤオイは厚みが一定ではないので製材したものに交換しました。
下地の竹を止めている縄も全てかけ直します。
しかし、竹そのものはしっかりしていて、ほとんど交換する必要はありませんでした。旬の悪い時期に伐採した竹を使うと、どんなに囲炉裏を焚いて燻しても虫が入って駄目になりますが、刈り旬の良い竹は何年経っても間違いがありません。
後年の改造で設置された錣屋根は、茅屋根がかぶさる部分までは風雨に曝されても大丈夫なようには造られていません。隙間があった方が良いかどうかは自分の家で実験するとして、瓦と茅屋根のあいだに隙間が出来ないようにして新しい軒を付け始めます。
とはいえ、稲ワラでは雪が積もったときに水を吸う恐れがあるので、半分に切った茅のカブ(根元の方)を逆さにして、しなやかな切り口の方が瓦に乗るようにしてかきつけます。
カブをかきつけた上に稲ワラ、古茅と、短くテーパーのきつい材料を重ねて葺いて、屋根下地に対して茅材を置く時の角度を稼いで行きます。
八重山近海では台風13号が不穏な動きを見せており何やら雨がぱらつき出しましたが、水濡れに弱い稲ワラや古茅を曝したままでは帰れません。
雨が本降りになる前に長く丈夫なススキで軒を収めて、何とか完了。
これで一安心。
もちろん、工事用ブルーシートで養生して帰るのですが、ブルーシートは完全防水ではないから多少滲みる事もあるし、軒の茅がついていないと屋根裏から吹き上げる風でシートがめくれてしまう事もあるので、安心して寝ていられません。
0914 古屋根の解体/茅出し
昨日は一日断続的に強い雨が降り続きました。屋根屋休みです。
一昨日屋根めくりをして開けた穴から、屋根裏に保管されている茅を出します。
家の方が25年に渡って刈り貯めた「茅貯金」が屋根裏一杯に詰まっていました。
半日かかって出してもまだ半分残っています。
どこの家でもこれくらい頑張って貯めていてくれたら、「茅葺きは高価だ」と言われる事も少なくなると思うのですが・・・
まあ、確かに茅刈りは重労働ではありますが、楽しんで出来る範囲だけでもね。
今日は天気も持ちそうなので、北側の大間もめくり始めました。
屋根裏の奥の方に詰まった茅は、こちらをめくって開いたところから出した方が段取りが良いですし。
小間と同じように、古茅は捨てるものと再利用するものに分け、さらに使う分は長さ毎に分けて束ねておきます。
古茅は耐久性に劣るところもありますが、完全に乾燥していて縮んで緩む事も無いので、軒裏の雨のかからないところに使うにはむしろ適しています。
つまり、葺き始めたら最初に使う事になるので、足場の上に保管しておきます。
材料がかさばるので、茅葺きにはとにかく広い足場が必要となります。
0912 古屋根の解体
9月に入った途端に夏は終わってしまったようです。
霧雨がやや肌寒く感じるなか、葺き換える屋根をめくり始めました。
この程度の雨ならば、ホコリが立たなくて結構ですけれどね。
屋根を解体しながら再利用できる古茅は選別して、長さ毎に束ねておきます。
茅を束ねるために藁を穂先同士で結んだ「サンバイコウ」(相変わらず名前の由来は判りません)を、お施主さんが用意してくれていました。
昼から雨がやや強くなって来たために屋根めくりは中止して、棟飾りの「ウマノリ」(千木)を降ろしました。
通常の美山の棟収めだと、棟養生の杉皮を押さえている「カラミ」(横木)はウマノリで挟んでいるだけなので、ウマノリを降ろすと必然的に杉皮までめくってビニールシートで養生する必要があるのですが、こちらの家では針金で縫い止めてあったので、とりあえずそのままにしておきました。
前回、約25年前の葺き替えは滋賀県の屋根屋さんがされたそうで、屋根のかたちは同じでもやはりやり方は微妙に違います。
その後、南側の足場も組みました。
こちら側は葺き換えるのは上半分だけで下半分は差し茅とするために、足場に置く材料も少なくて済むのでやや小さめの足場です。