投稿者「webmaster」のアーカイブ

0216 軒刈り

上から順番に足場丸太を外しては、刈り込んで仕上げてきました。
最後の丸太を外したら、先に軒裏の面を仕上げます。軒のラインに水糸を張ってきちんと水平が出るようにします。

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ハサミの重さを腕で支えて刈るので結構大変です。
軒先の角度を大きくすれば(つまり軒先から斜め下に向かって刈れば)刈るのは楽になりますが、軒端で雨水が切れずに軒裏に回りやすくなるので、軒裏が地面と水平になるくらい軒先は薄くします。
かといって、本当に水平にしてしまうと軒先の強度に問題が生じてきます。屋根表面のように引っ張り出すことは殆ど出来ないので、刈りすぎたらやり直しのきかない一発勝負となります。

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いかんせん、肉体的負担の大きな工程なので、各自色々とやりやすい姿勢を工夫しております。
sh@

0215 刈込み

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屋根の刈込み仕上げを「散髪する」と言います。もちろん、茅が伸びてくる訳ではありませんが。
今日はえらく暖かでしたね。散髪していても眠くて仕方ありませんでした。お客の耳を落とす心配はありませんけれど。

屋根面は完全な平面ではなく、「むくり」をつけてわずかに膨らまします。
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見た目の安定感を得るためと、耐久性を増すために必要なのですが、大工さんのように三角関数を使ってむくりを計算することは出来ませんので、目で確認するしかありません。
軒先から透かしてみたり、横から見たり、離れて見たり。何度も確かめながら仕上げていきます。
sh@

0213 お客さま

刈込み仕上げはカヤマル後も順調に進んでいます。
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仕上げの段階で平面を出すためにたくさん刈り取る事になると、大切な茅材の根元の、一番固くて丈夫な部分を捨ててしまう事になりますから、屋根は葺く段階で平らになるように叩いて揃えてあります。それでも部分的に膨らんだりへこんだりしている箇所はできてしまいますので、刈る前に膨らんだところは叩き、へこんだところは引っ張りだして、なるべく刈り取る量が少なくなるように調整します。
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ところで、今日は現場にゲストがありました。藍那小学校の生徒の皆さんが見学に来られて、茅葺屋スタッフのアベさんと公園事務所のマエダさんの案内で、茅と茅葺き民家のことを勉強していかれました。
団体での見学は随時受付中だそうです。個人でも火曜日の14:00〜見学できるそうです。詳しくは明石海峡公園事務所のHPを参照して下さい。
sh@
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0212 カヤマル3

朝はいきなり雪に見舞われてどうなることかと思いましたが、「カヤマルの日は晴れる」というジンクスは崩れず。
マル3も事故も無く無事終了いたしました。

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これで、カヤマル’06のイベントは全て終了しましたが、茅葺き交流館と来園者の皆さんとの長いお付き合いは始まったばかりです。茅葺屋としても、今後も引き続いて茅葺きの背後に広がる豊かな文化を、共に体験し再興していくための企画を準備し続けます。末永くおつきあいの程を。
sh@

0210 刈り込み/赤い謎

棟が上がったら、上から足場用の丸太を外しつつ、屋根用の大きなハサミで刈り込みながら仕上げていきます。

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ところで、カヤカルの際に参加者の方から「ススキの切り口が赤いのは何故ですか?」「赤いのと白いのとあるのは何が違うのですか?」と、必ず尋ねられます。

何故なんでしょうね。
実は自分でも気になっていまたが、未だにはっきりしたことは分かりません。経験上、茅として良質なススキだと赤いものが多くなるような気もしますが、きちんとした統計がある訳ではありません。
関西随一の茅場である奈良の曽爾高原では、赤いものはチガヤ(血茅?)と呼ばれて、良い茅材として喜ばれているようです。伊勢神宮の修理に行った際には、先方の用意された茅材の中に赤いものは見当たりませんでした。赤いものを嫌って取り除いているのか、神宮の茅場には赤いものが生えないのかはわかりませんが。
sh@

0209 続 棟収め

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化粧とマキワラ固定のために孟宗竹(ユキワリ)を据えて、ケラバとマキワラの裾、杉皮の裾を刈り揃えて、棟が完成しました。
大工さんのそれとは違いますが、「棟が上がった」と言います。
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ご祝儀で皆で一杯飲むならこのタイミングですなあ。
最近はあまりやりませんけれどね。

さて、実は美山町辺りの棟は「ウマノリ千木押さえ」という手法が一般的で、マキワラを使うことはあまりありません。もちろん、京都市内等で仕事する際には当たり前に使って来ましたが、それは古屋根を解体するときに前のやり方を参考にしたもので、親方の生きた技から学んだものとは違いました。
今回の現場に応援に来て頂いているタナカさんは、奈良の天理が地元の屋根屋さんなのですが、そのあたりでは広くマキワラが使われています。棟収めの際にはより美しく丈夫にするための、様々な細かい心配りを勉強させていただきました。
代々受け継がれる職人の技は必ずしも完成したものではなく、時代の変化に合わせた試行錯誤の積み重ねを経て日々進化してきたものです。時間をかけて積み上げられたそれらの技も、受け継いでいくためには仕事を共にして、手で覚え頭で理解する必要があるのですが、残り時間のあまりの少なさが惜しまれてなりません。
sh@

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タナカさんのアドバイスを受けて収めた、ユキワリの継ぎ手

0208 棟収め

茅葺き屋根は、並べた茅材を押さえた竹を下地に縫い止め、その竹を隠すように次の茅材を並べて・・・という風に、葺き上がってきました。
では、棟まで上がってきてそれ以上茅材を置けなくなったら、どうするのか?最後の茅材を押さえた竹を、いかにして合理的に雨水から隠すかという工夫が、地域性豊かな茅葺き屋根の棟の収まりとなってあらわれています。

交流民家では関西地方で一般的な手法の一つである、「マキワラ針目覆い」で収めました。神戸市内では播磨寄りの地域で多く見られます。
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まず、葺き収めた茅の上に、棟と平行な方向に横向きに積み上げた茅材を、表裏の最後に押さえた竹に通した針金で締めて、カマボコ状にします。

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締めた針金にさらに針金を通して、その上に一回り小さな茅カマボコを載せます。その針金にまた針金を通して・・・と、断面が三角になるまで鏡餅のように重ねていきます。

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最後に押さえた竹を隠すようにワラを並べて、竹で押さえて止めます。この時、端のワラがこぼれないように、ワラ束を杉皮でくるんだものを拵えておいて、両端に固定しておきます。

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雨養生のための二つ折りにした杉皮を敷き詰めて、風で飛ばされないように竹で押さえます。

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竹を押さえるための針金をとったところは、杉皮には隙間が出来てしまいますが、それを隠すために茅の束(マキワラ)を載せます。

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マキワラを杉皮でくるんで棟の雨養生は完成です。
sh@

0227 (屋根だけ)竣工写真

週末は季節外れの嵐となりましたが、素屋根が完全に取り払われた交流民家の茅葺き屋根は、何事もなく無事でした。
ま、それで当たり前なんですけれどね。
茅葺き屋根こそが建物を守るシェルターな訳ですから。

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設計監理と施工管理による検査はすでに終わっていましたが、ある意味この嵐が本当の竣工検査のようなものでした。無事クリアして引き渡しです。
ほっとすると同時に、何とも言えない寂しさも。

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茅葺き屋根は場所によって傷み方に差がありますから、葺き替え工事の場合は屋根を幾つものパートに分けて、時間差を設けて葺き替えていきます。ですから仕事を認めて頂いて、ある屋根の面倒を見せてもらえることになれば、10年に一度くらいはその屋根のどこかの修理に訪ねて来る事になります。

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しかしながら、交流民家のような新築工事の場合は、最も傷みやすい部分でも葺き替えが必要になるまでには30年くらい保つ(ハズ)ので、僕のキャリアの中で直接面倒を見る可能性のある機会は、棟の修繕くらいになるかもしれません。
そう考えると寂しさもひとしお。
sh@

カル(3)の収穫をマル(2)で確認

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あいな里山公園内で行ったカヤカル(3)。その時の収穫量を、マル(2)の最中に確かめたところ、35〆でした。
「〆(シメ)」とは、茅を扱う単位で、1.5mの縄でひとくくりの大きさ。地方によって呼び名もサイズも色々あるようですが、スタンダードと言えるのがこの「〆」と言ってよいでしょうか。 もっとも「〆」という字をあてるかどうかは、定かではありません。mo@