投稿者「webmaster」のアーカイブ

0201 カヤカル'09ヨシ編@淀川 十三干潟

冬の風物詩、山城萱葺屋根工事のヤマダさんが手入れされている、淀川十三干潟でのヨシ刈り体験会が開催されました。
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例によってまずは刈り方指導、ヤマダさんの模範演技から。
ススキを刈るのは両刃の鎌を使いますが、ヨシを刈るのは片刃の鎌です。

刈り方と束ね方を教わったら、早速やってみましょう。
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広いヨシ原の向こうに見える特徴的な形のビルは大阪梅田のランドマーク、梅田スカイビル。
大阪駅の目と鼻の先にこの風景ですよ。実は大阪はすごく自然豊かな街なのでは。

何世紀にも渡って毎年欠かさず刈り取られて来た、ここのヨシは何回見てもほれぼれします。
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手入れしていないヨシ原ではこうは行きません。お近くの溜め池とか訪ねて確かめてみて下さい。

手入れの行き届いたヨシ原には、たくさんの生き物たちが暮らしています。
きれいなヨシを刈り進めて行くと、ヨシ原の中からウグイスの仲間、セッカが顔を出しました。
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(写真:小林瑞穂)
なんだか、リスかネズミみたいな動きで、ヨシの根本をチョロチョロしていました。

干潟バスが出まーす。
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普段のお仕事ではこの草刈り機.改で刈り倒しているそうです。でも束ねるのは手作業ですから、茅刈りとは、いかに手早くきれいに束ねるか、というあたりに、職人技に迫る鍵がありそうです。

みんなで「良い茅束」に拵えたヨシを、干潟の入り口淀川河川公園沿いに立てて乾かしておくことにします。
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公園に草野球やジョギングや散歩に来る人たちにも、ヨシ原をもっと知ってもらえたら・・・
夏には淀川花火が上がる、まさにあの真下なのですけれどね。

0111 茅場つくり その3

10月に植生調査をイベントとして行った、神戸市北区の田んぼの畔で、いよいよ茅場にして行くための除伐作業を行います。
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圃場整備で田んぼが広くなった分、畔が高く大きくなり過ぎて、草刈りが行われずに繁り放題となった雑草を刈り取ることで、ススキの原っぱへと遷移させていこうという取り組みです。

茅葺屋/くさかんむり でも神戸市のパートナーシップ活動助成を得て、この日のために刈り払い機を用意していましたが、さらに、山城萱葺屋根工事の面々に加えて、カヤカル'08@美山でお世話になった砂木集落の皆さんまで、美山町から刈り払い機を背負って駆けつけて下さいました。
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それだけの手練と装備が揃っても、何年も草刈りがされなかった畔は、背丈より伸びた雑草と枯れ草と蔓が絡み合って、簡単には刈り進むことができません。

一般の参加者の皆さんも、神戸の市街地から遠くは名古屋まで、大勢の方が集まって下さいました。
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刈り払い機の扱いに慣れていない方々は、レーキやフォークを手に刈り倒した枯れ草を、畔から下ろしてまとめて行って下さいます。作業は安全第一で。

枯れ草と言っても量が半端ではありませんから、相当な重さになります。
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そのうえ、足下は立っていることもままならない急斜面。大変な重労働です。

枯れ草は隣接する田んぼの持ち主のご好意で、その場で焼かせてもらえることができました。
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これを運び出さなければならなかったかも、といというのは、考えたくもありません。

参加者の皆さん、近隣の皆さんの助けを得て、雑草の茂っていた畔は見違えるほどすっきりとなりました。
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枯れ草に日光を遮られ、葉を伸ばす空間も遮られていたススキが、これで元気になってくれることを期待しています。
今年は除草作業の後で出来たのは、燃やさなければならないごみの山でしたが、来年からは茅刈りの後、茅の束が山となってほしいものです。

1229 竣工

雪に追われながらの作業でしたが、何とか納屋の差し茅も終了。あとは仕上げの刈込みを残すのみ。
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納屋とはいえウマノリが3つでは少し寂しかったので、2つ足して小さなサイズのものを五組としました。

納屋の破風には破風板が入っておらず、茅をかきつけて蓋をしてあるだけです。
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大きな破風を設けた入母屋の屋根は、今でこそ美山の茅葺き民家の特徴となっていますが、古い時代にはこのように破風板無しが普通でした。
やはり、棟飾りとともに見栄えのする箇所なので、細工を施した破風板が入り、さらには次第に大きくなって行ったようです。

ウマノリは耐候性に優れた栗材ですが、新しい材との色合わせも兼ねて、念のため防腐剤を塗っておきます。
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天気予報では大晦日からお正月にかけて雪が降り続くようです。貴重な晴れ間に掃除を進められて幸運でした。

そして、竣工。
茅葺きの納屋と土蔵に挟まれて建つ、美山町の伝統的な屋敷構えに新しい屋根が映えます。
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これで、今年は仕事納めです。
皆様、良いお年を。

1227 差し茅

暖かい、暖かいと言い過ぎたのか、連日の雪となりました。
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お正月の前後に根雪が積もるのは例年のこととはいえ、もう少しだけ待ってほしかったところです。

一晩の積雪量はたいしたことはなくても、雪かきというのは、労働の成果が蓄積しないのが辛いです。
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なるべく余計なことに手間を取られないように、充分な養生を心がけます。

雨漏りをしないように万全を期していても、作業中に積もった雪が溶け出して、手元や屋根裏を濡らすことがありますから、帰る時には屋根全体をすっぽりと包んでしまいます。
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小さな納屋で良かった。
おかげで雪かきにあまり煩わされずに、差し茅を進めて行くことができます。

1221 棟上げ/刈込み

お天気続きで、無事に棟が収まりました。
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平行して、納屋の差し茅をするための足場を組んでいます。

ケラバを刈込む、美山茅葺き(株)のナカノさん。
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入母屋づくりの屋根にとって、ケラバは顔とも言える場所です。仕上げのハサミをかけると、草を積み上げた屋根が端正な表情に一変します。
手間のかかる隅の部分をひとつひとつ積んで来た職人にとって、仕事の成果を問われるとともに、誇らしくもある工程です。
ケラバを刈り落とすことが、屋根屋の花型のひとつかもしれません。

きれいに軒まで刈込み、終了です。
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仕上がった母屋の方は先に足場を解体してしまいました。納屋の差し茅をしている間に、掃除を済ませてしまうためです。

アリゴシから上だけ葺き替えた裏側には、意図的な段がつけられています。
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このような「つぎはぎ」のある屋根が見られることこそ、美山町では茅葺き屋根が暮らしの中で普通に使われいていること、言わば茅葺きが「生きている」ことの証しなのです。

1213 棟積み

暖かい天候に恵まれて、葺き上げ作業が続きます。
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裏側も棟まで葺き上がりました。

棟を積むあいだも、晴れてくれることを祈ります。
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特に風は困ります。

幸い今のところ穏やかな毎日。
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隣りの納屋の屋根も直すことになりました。
もうしばらく、小春日和が続いてくれると良いのですが。

1211 葺き上げ/小春日和

季節が秋から冬へと移り変わるにつれて、霧の出る日も少なくなりつつあります。
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久し振りに濃い霧に包まれた朝でした。

霧が晴れると昼間は陽射しがたっぷり。
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暖かな日は作業も捗ります。

陽射しに誘われてか、畔にはタンポポが花を開いていました。
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在来種のカンサイタンポポは、街に咲くセイヨウタンポポに比べて、地味と言うか、おしとやかな印象です。

1208 葺き上げ/裏側

しばらく野添の現場を空けているあいだに、美山では毎朝あたりまえに霜の降りる季節となりました。
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今朝も良く冷え込んでいます。

茅葺屋が笹葺きやら茅刈りやらしているあいだにも、現場では美山茅葺(株)の面々が着々と葺き上げ作業を進めておられていました。
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表側は新しい屋根がすっかり棟まで葺き上がっています。

そこで、反対側の屋根の葺き替えに廻ります。ただし、こちらはアリゴシから上だけの葺き替えになります。
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と、いうのも、屋根は北側南側だけでは無く、上と下でも雨水が流れる量の違いで傷み方に差が出ます。こちら側は傷みやすい下半分を既に何年か前に葺き替えているので、上半分だけ葺き替えるのです。
ちょど、10月に葺き替えたN邸のときの逆になります。

1207 カヤカル'08@美山・2日目

カヤカル2日目。一晩寝ると初日の体験が熟成されて、技術として身についているか試すときです。
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朝は、霜柱が大きく育つほど冷え込みました。

が、今日作業する茅場は陽当たりが良いので、朝日に照らされて茅は乾いていて、刈るのに支障はありません。
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本来ススキは、このような陽当たりの良い乾いた場所に生えるものです。かつての里山では、ススキに適した場所が選ばれて茅場として手入れされて来ました。

昨日と今日と、同じススキでも場所によって、手入れの程度によって、茅としては随分と質が変わって来ること実感してもらえたのではないでしょうか。
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遠くにお堂を眺めながら、カヤカル参加者の手際もすっかりサマになっています。

そして、手入れの行き届いた茅場からは、カヤネズミの古巣が。
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ここでは晩夏には、スズムシの声も良く聴こえます。

みんなで刈り集めた茅で、初夏にはこのお堂の一部を葺き替える予定です。
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そのときにはまた、ぜひ地下足袋履いていらしてください!

1206 カヤカル'08@美山・初日

傷みの目立つようになって来た砂木のお堂の葺き替えを目指して、まず材料の茅となるススキを砂木の集落内で刈り集めることとなりました。
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「カヤカル'08美山」として茅刈りへの参加を募ったところ、各地から20人の方が集まって下さいました。

春にフルセ(立ち枯れたススキ)を刈り倒しておいた茅場に移動して、最低限の注意事項を説明させてもらったら、鎌とサンバイコウを手渡して、早速茅場へと入ってもらいます。
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刈り方も束ね方も、実際の作業を通して覚えるのが一番ですから。

地元の人たちの手解きを受けながら、カヤカル参加者もどんどんきれいな茅の束をつくって行きます。
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みんなで刈るとたちまち茅場は広々としてきます。やはり茅刈りは大勢でやると達成感が得られて楽しいです。

刈って束ねるだけのことですが、茅として屋根に葺くのに適した束を手際良くつくるためには、ちょっとしたコツががあります。
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簡単なことでも、何世代もの経験の積み重ねから生まれた、それは里山の知恵なのです。体験して教えてもらう機会が無ければ、一生気付くことの無いこと。

夜は集落の皆さんが持ち寄って下さった、素晴らしく美味しい家庭料理の数々を楽しみつつ、乾杯。
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ともに鎌を手に汗を流したもの同士、茅トーク、田舎暮らしトークに夜更けまで花が咲きます。