棟を収めたら仕上げの刈込みに入ります。
足場の丸太を外しながら、屋根の上から下へと鋏を入れて仕上げて行き、軒まで来たらまず軒の裏を刈り落とします。
それから軒の厚みが揃うように屋根の上側も刈り揃えて、軒の水切りが決まります。
お寺からの要望で、棟から軒にカラス除けのテグスを張り巡らすことになりました。
ただ、カラスが本気で屋根に止まろうと思えば、たとえかやぶき音楽堂のようなステンレスワイヤー を張っていても止まるでしょう。
まあ、カラスがどんな動機で「本気になって止まろう」と思うのか、カラスの気持ちが判らないことには、なかなか効果的な対処法を見付けるのは難しそうです。
どなたかカラスの茅葺きへの興味の持ち方について、観察してみようと思われましたらぜひご連絡下さい。
ともかく屋根の葺き替えは完成です。
足場の解体は今回は元請けさんの仕事なのですが、足場の上の掃除が終わったところで飛散防止ネットを外させてもらいました。
もともと衣笠山を借景として建てられた清蓮亭でしたが、現在では背後に立命館大学の校舎が建っています。
校舎を隠すために竹や高木を密に植えてあるので、茶室の周りだけ混み合ってバランスが悪いように思われるのが惜しまれます。
もっとも、山が無くなった訳ではありませんし、庭園は六百年の歴史を誇るそうですから、これからも新しい歴史を重ねて守って行けば、六百年後までにはまた往事の眺めを取り戻していることでしょう。