茅葺き現場日誌@藍那あいな亭」カテゴリーアーカイブ

0202 続々・刈込み

軒裏が落ちたら最後に軒先を刈込み仕上げると、軒端が決まって完成です。
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毎日繰り返して来た掃除もいよいよ最後の仕上げ。仕上がった軒端を傷めないように、シコロ屋根の瓦も傷めないように、しかし念を入れてきれいに。
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藍那の現場のために集まってくれた手伝いチームの皆さん、一つの屋根をついに仕上げるまでになりました。

職人も手伝いもこの屋根のために集まった全ての人が、それぞれ自分の仕事をやり遂げてついに大きな屋根が竣工しました。
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0201 続・刈込み

素屋根の解体が進んで、葺き上がった茅葺き屋根の全体が姿を現しました。
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こうして外から見ても、やはり大きいです。

棟から順に足場の丸太を外しながら下りて来た刈込み作業は、全ての足場丸太を外して軒裏の仕上げにかかっています。
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0128 刈込み(雪模様?)

軒を付けてから下から順番に葺いて来て、棟を積んだら屋根は葺き上がりました。
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今度は上から順番にハサミで刈込み仕上げをしていきます。

ところが、素屋根がかかっていたはずなのに茅屋根に雪が積もっています。
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棟が収まり雨漏りの心配が無くなったので、早速鳶さんが素屋根の解体を始めているのですが、折悪しくこの冬最初の本格的な雪模様となりました。

雪降りの中での刈込みは、微妙な凹凸が判りにくく手間がかかります。
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0121 棟収め

裏側のケラバも表と同様に葺き上がります。
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一番上に並べた茅を固定する押さえ竹は、屋根の表裏左右全てが平行に収まるように調整しておきます。

その横竹から針金を回して、横積みにした茅を固定して棟のかたちをつくっていきます。
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一つ積んだらその上に一回り小さくまた横積みにして・・を繰り返して、ケラバの勾配に沿って三角の棟が積み上がるようにします。
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ま横に茅を積んだ棟の部分は屋根を葺いたことにはなりませんので、雨養生の杉皮を被せることになります。
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0117 続・ケラバ積み

今朝はこの冬はじめて、藍那でもうっすらと雪化粧しました。
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冬らしく冷え込んだ朝には、ぬかるんだ作業道も凍り付いて良い具合です。

ケラバを積むまでになると茅材の先は棟を越してしまうようになりますから、屋根の表と裏を同時に葺いては互いの材料が邪魔になってしまいます。
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まず、表側だけを一番上まで葺き上がり、屋根の端から端まで水平になるように細かく調整します。
屋根が大きく棟も長いので、調整もなかなか大変です。

棟を越して裏側にはみ出している表に葺いた茅材の先を切り取ってから、裏側のケラバも積み上げて行きます。
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当然ながらケラバの厚みも、表裏で揃えるようにしなければなりません。

0115 ケラバ積み

葺き上がりも順調に進んでアリゴシを越え、ケラバを積むまでになりました。
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ここまで来ると屋根も随分小さくなり作業はさらに捗るのですが、軒と並んで茅葺きの意匠を引き締める棟の周りだけに、決して焦らず丁寧な作業を心がけて行きます。

屋根の棟に近い上の方は、茅材としてススキを中心に使っています。
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もともと神戸の摂津地域ではススキが主たる茅葺きの原料とされて来ましたので、そういった建物の歴史に配慮しつつ、水に強いヨシを傷みやすい軒の方には用いて適材適所に使い分けています。

仕事がはかどり屋根が葺き上がるにつれて、材料を運び上げる手伝いさんの負担は増えて行きます。
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加えて日々の掃除も大切な仕事。職人が良い仕事を出来るのも、メンバー全員の細かい配慮の積み重ねがあればこそです。

0109 冬晴れ

師走を過ぎてもなまぬるい変な天候の日が多くて、今年の冬もまた暖冬なのかと嫌な気分になりつつありましたが、今朝はぱきんと冷え込んで霜が降りました。
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やはり神戸の冬に朝には、冷たく乾燥した空気がふさわしいと思います。

ただ、現場を覆う素屋根には、とても透明度の高いビニールトタンが使われているので、日が射している日中はまるで温室のように暖かくなります。
葺き上がるにつれて素屋根の天井に近づいて来ると、暖かいというより少々暑いほどになりつつありますが・・・
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交流民家の移築された場所では、明石海峡から吹抜けてくる風がまともに吹き付けていましたが、同じ藍那の中でもあいな亭の建てられた場所はとても穏やかです。
伝統的な里山では経験の蓄積を通して、家を建てるのにふさわしい場所というのも選ばれていたのでしょう。限られた時間で整備しなければならない、公園では大変なことでしょうが。

0108  葺き上げ

現場入りした当初は屋根の大きさに圧倒され気味でしたが、今や完全にペースを掴んで順調に葺き上がりつつあります。
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毎日のように茅を運び込んでくるヨシ屋さん、茅を仕分けて加工し必要な順序で現場に搬入する手伝いさん、屋根の上で葺いていく職人、とそれぞれが、自分の役割を理解し互いに調整できるようになって来ているおかげです。
今回始めて顔を合わせる職人同士ももちろんですが、茅に触ったこともなかった手伝いチームの飲み込みの早さは頼もしい限りです。

それだけ体も頭も使って働いていれば、食事当番の用意してくれる美味しいおかずとともに、毎晩一升メシがぺろりと無くなってしまうのも当然のことでしょう。
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「ディジュリドゥはご近所に配慮して控えめに」という注意事項は、茅葺き工事の宿舎では珍しいかもしれませんが・・・ ひょっとすると、そんなメンバーであればこそ茅との相性も良いのかもしれません。
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1227 里山公園の植栽

茅葺屋で屋根葺きを任せて頂いて、「カヤマル'06」として多くの方々に、材料の茅刈りから屋根の仕上げまで関わって頂いた「藍那かやぶき交流民家」。
丸2年経って良い感じに馴染んできました。
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早く来園者やカヤマルに参加して下さった皆さんに使って頂いて、末永く愛して頂けるように開園が待ち遠しいです。

ストローベイルハウスの現場からあいな亭の現場に向かう園路沿いには、造成前の雑木林から移植された木々の周りの除草作業で、ススキだけが選択して刈り残されています。
「里山公園には自然と協調する里山の暮らしのシンボルである茅葺き民家が不可欠で、里山公園であれば茅葺き民家の屋根には園内で刈り取られたススキが使われるべき」と、言い続けて活動して来たことも少しは汲んで頂けているのかな、と、勝手に喜んでみたりしています。
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こうして成長期にススキを刈り残して、冬に尾花を落としてから茅として刈り取ることを続ければ、やがて一面のススキ野原となることも期待できます。
そうなれば年に一度の茅刈りだけで、美しい原っぱの景観を維持できるようになりますから、公園の管理費用の節減にも繋がるはずです。

藍那に来てから大人数のシフトを組んだり、現場を移ったりと慌ただしく過ごして来ましたが、今年はこれでひとまず仕事納めとなりました。
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年が明ければ茅葺き体験会や、茅刈りも平行して始まりますます忙しくなりそうですが、しっかり充電して乗り切りたいと思います。

1226 ヤマダさんのヨシ

ヤマダさんは、かつて巨椋池から大阪湾まで広がっていた淀川水系の広大なヨシ原で代々ヨシを刈り取り、主にヨシズの材料として卸すことを生業として来られた家系の方です。
中国産に押されたヨシズに代わり、茅葺き屋根の材料として使われることが増えていたヨシですが、安定した需要とするには茅葺き職人の高齢化と後継者不足が問題でしたので、自ら茅葺きの修行もこなし職人としても活躍されています。
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そんなヤマダさんの山城萱工房で刈り取るヨシは大きく分けて2つ。
ひとつは上流の宇治川から琵琶湖にかけて見られる大きく育つヨシ。僕等は「伏見ヨシ」と呼んでいます。

もうひとつは河口に近い気水域の干潟に生えるヨシで、伏見ヨシに比べて長さも太さも半分にも至りません。
僕等は「大阪ヨシ」と呼んでいます。
伏見ヨシも大阪ヨシも、植物としては同一の種だそうです。しかし、茅材としてはもちろん全く別物です
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成長する期間は同じですから大きく育たない大阪ヨシの方が緻密で、細い分だけ屋根としても目の込んだものが葺けますから、角や軒といった細かい部分に重宝します。
伏見ヨシは太い分だけ粗くなりますが、それが幸いして水はけが良いのかこれはこれで長持ちする屋根になります。丈夫で屋根をしっかりと固めてくれるので、広い面積を葺いたりするのに向いています。

同じヨシが生えている場所でどうしてこれほどまで違った姿になるのでしょうか?
大阪ヨシは中にカニが入っていたりするくらいに、満潮時に海水に浸かる気水域に生えているので塩分のせいなのか?
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伏見ヨシは琵琶湖の富栄養化の影響を受けて育ち過ぎでしまっているのか?
常々疑問に思っているのですが、どうも元々特徴を異にする遺伝子群なのだという話しを耳にしました。
このあたり、詳しい方がおられたらぜひ教えて頂けないでしょうか。

そんな伏見ヨシと大阪ヨシを適所に使い分けながら、日々葺き上がっています。
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屋根も大きいですが、屋根屋も腕利きの職人とやる気のある手伝いさんを、集中して人数を揃えています。
おかげで今のところ、かなり良いペースで工程をこなすことができています。