茅葺き現場日誌@藍那交流民家」カテゴリーアーカイブ

0225 ゴモク、土に還る

茅葺き屋根を葺き替えるときの大量の古茅くず=ゴモクは、優秀な肥料としてかつての伝統的な農業生産には欠かせないものでした。
交流民家は新築なので古茅は出ませんが、屋根を葺くだけでもトラック何台分もの茅くずが発生しています。もちろん、これも有機栽培をしている人にとっては、肥料原料や天然のマルチとなる宝の山です。

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バイトのサガラくんが自分の畑に入れるためにゴモクを持って帰りました。

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ゴモクが建築廃材として扱われることなく、資源として土に還ることでカヤマルのマル(環、円、輪)は完結します。

ちなみに交流民家のゴモクは、欲しい方なら誰でも取りに来てもらえるのですが、事前の告知が行き届かなかったこともあって、まだたくさん残っています。
配布時間の延長など条件も緩和される方向なので、興味のある方は明石海峡公園のHPで確認してみて下さい。
sh@

0219 掃除

草の束である茅は、動かしただけでもぱらぱらと茅くずが落ちてしまいます。茅葺きというのはやたらとゴモクの出る工事です。もちろん、そのゴモクはゴミではなく資源であるのが、あるべき姿です。

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とにかく、毎日掃除していてもゴモクだらけの現場を、引き渡しの前にあらためて清掃。
屋根屋(職人)が葺いているときに、掃除をしたり茅を運んでもらったり、茅を縫い止めるときの針受けをしてもらったりする人を、「手伝い(テッタイ)さん」と呼んでいます。誰でも出来そうな作業に見えますが、実際には工程を読んで材料の配分をしたり、資材の搬入出の手配をしたり、肉体的な負担だけではなく経験とセンスが必要とされる仕事です。
sh@

0216 軒刈り

上から順番に足場丸太を外しては、刈り込んで仕上げてきました。
最後の丸太を外したら、先に軒裏の面を仕上げます。軒のラインに水糸を張ってきちんと水平が出るようにします。

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ハサミの重さを腕で支えて刈るので結構大変です。
軒先の角度を大きくすれば(つまり軒先から斜め下に向かって刈れば)刈るのは楽になりますが、軒端で雨水が切れずに軒裏に回りやすくなるので、軒裏が地面と水平になるくらい軒先は薄くします。
かといって、本当に水平にしてしまうと軒先の強度に問題が生じてきます。屋根表面のように引っ張り出すことは殆ど出来ないので、刈りすぎたらやり直しのきかない一発勝負となります。

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いかんせん、肉体的負担の大きな工程なので、各自色々とやりやすい姿勢を工夫しております。
sh@

0215 刈込み

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屋根の刈込み仕上げを「散髪する」と言います。もちろん、茅が伸びてくる訳ではありませんが。
今日はえらく暖かでしたね。散髪していても眠くて仕方ありませんでした。お客の耳を落とす心配はありませんけれど。

屋根面は完全な平面ではなく、「むくり」をつけてわずかに膨らまします。
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見た目の安定感を得るためと、耐久性を増すために必要なのですが、大工さんのように三角関数を使ってむくりを計算することは出来ませんので、目で確認するしかありません。
軒先から透かしてみたり、横から見たり、離れて見たり。何度も確かめながら仕上げていきます。
sh@

0213 お客さま

刈込み仕上げはカヤマル後も順調に進んでいます。
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仕上げの段階で平面を出すためにたくさん刈り取る事になると、大切な茅材の根元の、一番固くて丈夫な部分を捨ててしまう事になりますから、屋根は葺く段階で平らになるように叩いて揃えてあります。それでも部分的に膨らんだりへこんだりしている箇所はできてしまいますので、刈る前に膨らんだところは叩き、へこんだところは引っ張りだして、なるべく刈り取る量が少なくなるように調整します。
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ところで、今日は現場にゲストがありました。藍那小学校の生徒の皆さんが見学に来られて、茅葺屋スタッフのアベさんと公園事務所のマエダさんの案内で、茅と茅葺き民家のことを勉強していかれました。
団体での見学は随時受付中だそうです。個人でも火曜日の14:00〜見学できるそうです。詳しくは明石海峡公園事務所のHPを参照して下さい。
sh@
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0212 カヤマル3

朝はいきなり雪に見舞われてどうなることかと思いましたが、「カヤマルの日は晴れる」というジンクスは崩れず。
マル3も事故も無く無事終了いたしました。

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これで、カヤマル’06のイベントは全て終了しましたが、茅葺き交流館と来園者の皆さんとの長いお付き合いは始まったばかりです。茅葺屋としても、今後も引き続いて茅葺きの背後に広がる豊かな文化を、共に体験し再興していくための企画を準備し続けます。末永くおつきあいの程を。
sh@

0210 刈り込み/赤い謎

棟が上がったら、上から足場用の丸太を外しつつ、屋根用の大きなハサミで刈り込みながら仕上げていきます。

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ところで、カヤカルの際に参加者の方から「ススキの切り口が赤いのは何故ですか?」「赤いのと白いのとあるのは何が違うのですか?」と、必ず尋ねられます。

何故なんでしょうね。
実は自分でも気になっていまたが、未だにはっきりしたことは分かりません。経験上、茅として良質なススキだと赤いものが多くなるような気もしますが、きちんとした統計がある訳ではありません。
関西随一の茅場である奈良の曽爾高原では、赤いものはチガヤ(血茅?)と呼ばれて、良い茅材として喜ばれているようです。伊勢神宮の修理に行った際には、先方の用意された茅材の中に赤いものは見当たりませんでした。赤いものを嫌って取り除いているのか、神宮の茅場には赤いものが生えないのかはわかりませんが。
sh@