化粧とマキワラ固定のために孟宗竹(ユキワリ)を据えて、ケラバとマキワラの裾、杉皮の裾を刈り揃えて、棟が完成しました。
大工さんのそれとは違いますが、「棟が上がった」と言います。
ご祝儀で皆で一杯飲むならこのタイミングですなあ。
最近はあまりやりませんけれどね。
さて、実は美山町辺りの棟は「ウマノリ千木押さえ」という手法が一般的で、マキワラを使うことはあまりありません。もちろん、京都市内等で仕事する際には当たり前に使って来ましたが、それは古屋根を解体するときに前のやり方を参考にしたもので、親方の生きた技から学んだものとは違いました。
今回の現場に応援に来て頂いているタナカさんは、奈良の天理が地元の屋根屋さんなのですが、そのあたりでは広くマキワラが使われています。棟収めの際にはより美しく丈夫にするための、様々な細かい心配りを勉強させていただきました。
代々受け継がれる職人の技は必ずしも完成したものではなく、時代の変化に合わせた試行錯誤の積み重ねを経て日々進化してきたものです。時間をかけて積み上げられたそれらの技も、受け継いでいくためには仕事を共にして、手で覚え頭で理解する必要があるのですが、残り時間のあまりの少なさが惜しまれてなりません。
sh@