月別アーカイブ: 2006年1月

0131 ススキ葺き工程

屋根の中程より上はススキを使って葺いています。もちろん、カヤカル2,3,で収穫したススキも使っています。
0131茅工程.jpg
ススキはヨシよりも寝かせた角度で屋根に並べます。さらに穂先の方に葉っぱが多く滑りにくいので、滑り止めの板は必要ありません。ただし、穂先の方が大きいと屋根の表面となる根元の方がすかすかになってしまうので、半分に切った短いススキを混ぜたりして角度を調整します。

0131茅工程2.jpg
ヨシの場合と同じように両角を基準に真ん中を並べたら、押さえの竹を縫い止めていきます。
ヨシのようには滑らないので必ずしも必要ありませんが、作業が楽になるので足場丸太で仮押さえしています。

0131茅工程4.jpg
押さえの竹は数人が並んだ上で、呼吸を合わせて足で踏み締めます。

0131トックリ結び.jpg
押さえ竹は引っ張ると締まり、離しても緩むことのない、トックリ結びというくくり方で針金を使って止めています。ヨシの場合も同じです。
かつてはワラ縄を用いていましたが、押さえ竹の緊結素材として、針金の方が長所が多く短所が少ないため、今回は針金を採用しています。

0131茅工程3.jpg
屋根勾配に合わせて叩き揃えて、足場丸太を吊ったら一工程が完了。また最初から繰り返します。
sh@

カヤマル(2)の様子が

本日(1月30日)付けの朝日新聞社会面に掲載されました。
当日は、暖かい晴天が位置にち続き、参加者も職人さんも身体の動きが今までの中で一番良かったような気がします。一日で、茅を並べたり、タタキで叩き揃えたり、屋根裏で針受けを見学したりと、盛りだくさんでした。参加者の皆さんも充実した体験会に満足されていました。昼食は、いつもお世話になっている「あいな茶屋」による「シカ肉じゃが丼」と「野菜たっぷり粕汁」。毎回、美味しいお昼ご飯をありがとうございます。昼食時にカヤマル06のプログラムに連続参加されている方とお話していたところ、「今日の作業で、カヤ刈りの際の作業や手間の意味がよくわかりました。」という言葉が。うれしい限りです。

0129 カヤマル2

カヤマルvol.2はいよいよ茅屋根の葺き作業に参加してもらいました。
茅を運んで、並べて、仮止めして、叩いて揃えて、縫って受けて、締めて、という一連の流れを体験してもらうことで、茅葺き屋根の仕組みを随分と理解頂けたのではないでしょうか。

0129maru2.jpg

今回も事故なく終了し何よりでした。
大回転の活躍だった関係者の方々と、茅葺きに興味を持って参加して下さった全ての皆さんに感謝です。
残りはあと1回。次は仕上げ作業の予定です。
sh@

0127 (元)茅場に咲く野花

阿蘇から来た茅束に混じっていた、ツリガネニンジン、シラヤマギク、アキカラマツ、アザミ etc.
バイトのニシワキ君が名前を教えてくれたので、「雑草」から「野花」に格上げすることができました。
名前がわかるのってうれしいですね。
0127茅場の花.jpg

何れも草原性植生に依存する植物で、日本から「原っぱ」が無くなっていくにつれて、次第に数を減らしているそうです。さすがに阿蘇は数百年単位で草刈り、放牧、野焼きによって手入れされてきた草原だけあって、これらの野花もまだ豊富なようです。
あいな里山公園でも、須磨ニュータウンの「原っぱ」でも、茅刈りを続けてさえいれば、いつか咲いてくれるはず。きっと。

・0127全体.jpg
現場はこんな感じです。
ヨシ葺きからススキ葺きへの移行がほぼ終了しつつあります。
sh@

0125 カヤカル収穫使い初め

茅葺き交流館では、ヨシ葺きとススキ葺きのハイブリット工法を採用しています。
雨水の流れる量が多く傷みやすい軒周りには、耐久性のあるヨシを使って葺いてきましたが、そろそろススキに移行するので、カヤカル1で収穫して乾燥させてきた淀川のヨシにも手を付けました。
0125カル使い初め.jpg

カル2、カル3で収穫したススキも、良い具合に乾きつつありますから、随時屋根に葺いていく予定です。

0125足場ネット.jpg
今日は足場の北、西面に風除けのネットを張って頂きました。冷たい季節風を凌げるようになれば、労働環境は大幅に改善されそうです。
sh@

0124 ヨシ葺き工程

P1010580.jpg
ヨシはススキよりも立てた角度で並べるうえに、葉っぱなど少なく滑りやすいので、ズレ止めの板を立ててから並べ始めます。
長いもの、短いもの、先細りのもの、穂先の大きなもの、屋根の勾配や材料の残りを勘案しながら、上手く納まるように何層かに分けて並べます。

0124ヨシ工程2.jpg
両隅を参考にしつつ、必要な量の茅を並べたら、足場にする丸太で仮押さえして板を外します。

0124ヨシ工程3.jpg
両隅に合わせて屋根の角度が出るように叩き揃えます。

0124ヨシ工程4.jpg
茅押さえの竹を屋根裏に待機する人に手伝ってもらって(針受けという作業です)、下地のレン(垂木)に縫い付けます。

0124ヨシ工程5.jpg
茅押さえの竹を、足で踏み固めて固定してから、もう一度叩き揃えて仕上げます。

0124.jpg
以上を繰り返して、ここまで葺き上がってきました。
sh@

チョンマゲーズ

カヤカル(3)も無事終わり、「カヤマル06」中、材料調達の屋外体験作業を締めくくった風景がこれ。
ニウと呼ぶ地方もあるそうです。刈り取った茅束をこうして円錐状に立てて、保管兼乾燥させるわけです。束の中に雨などがしみ込まないように、穂先の方をしっかりと結んでいるので、先端がチョンマゲのようにも見えます。これだけたくさんあると、動き出しそうな気配もしますね。茅葺交流館の工事現場の側には、今、この"ニウ"がたくさん立っています。皆さんも、ぜひ見に来て下さい。
高台にある現場から、今日はひときわキレイな夕陽が見えました。ご参加の皆さん、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

DSCN5576.JPG

0122 カヤカル3

カヤマル'06における茅刈りの最後に、あいな里山公園の中でも茅刈りを行いました。
茅刈りによって生まれる草原は、里山の生態系にとっても不可欠の要素です。里山公園に建てられる茅葺き民家が、民家の剥製の展示となってしまわず、文化としての茅葺きの継承、発展の場となるように、公園内にも良い茅場を育てていきましょう。

0122karu3.jpg

皆さん、おつかれさまでした。
いつか、刈りとった後には茅場に火入れができるようになると、尚良いですね。
sh@