月別アーカイブ: 2006年1月

あの茅束は今

カヤマル(1)で参加者の皆さんと天日干しにした、あの膨大な阿蘇の茅束は、今、こうなっています。もちろん、これはほんの一部です。

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明日は、カヤカル(3)。「カヤマル'06」中、最後の茅刈りです。現地は、雪が降りそうで、冷え込んでます。

0120 吹きさらし

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交流民家は北西方向に開けた高台の端に建てられています。夕日はきれいですが、吹きさらしの足場の上での作業では、冷たい西風が身にしみます。

寒さもこたえますが、これだけ北西風が強いと台風のときなど少々心配です。伝統的な農村風景に安らぎを覚えるのは、そこに暮らした人々の、長い歴史をかけた試行錯誤の結果として、合理性の追求された空間構成から得られる安心感にもよるのではないでしょうか。

この公園の敷地図を描いた方には、ぜひ季節風の強い冬の日にこの足場に上ってもらい、今後の植栽計画などに活かしてもらいたいものです。
sh@

0116 茅干し

カヤマル参加者の皆さんに手伝って頂いた茅干し作業、いつ終わるとも知れず続いています。
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当たり前のことですが、いくら茅葺き屋根に通気性があると言っても、湿った茅で葺いては屋根は中から腐ってしまいます。ですからきついことを言えば、充分に乾燥していなければ、ただの「濡れたススキの束」であって、茅とは呼べません。参加者の皆さんも「なぜ屋根葺きに来て、茅拵えを手伝わされるのか」納得しかねることもあったことと思います。
しかしながら、自然の産物である茅は工業製品のようには生産管理できません。雪が積もるとススキは潰され折れてしまって、茅として使えなくなってしまいます。
今年は初雪が重く、降る時期も早かったため、阿蘇でも雪に追われて刈り倒しておいた茅を、雪の下から掘り出して束ねたそうです。本来なら商品として受け取れるような品質ではないのですが、良質な茅を毎年産出して頂いている茅場だけに、天候不順が原因なら可能な範囲でこちらも協力させてもらうことにした次第です。
カヤマル参加者の皆さんには、十分な説明も出来ずお付き合いさせてしまって、申し訳ありませんでした。
sh@

0115 カヤマル1

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カヤマル1回目、無事終了いたしました。
茅葺屋としても使い慣れない安全索等を用いた安全管理になりましたが、現場管理の池田建設さん、公園事務所の面々の協力により、つつがなく終えることができました。

参加者の皆さんも、下地くくりや茅こしらえといった地味な工程であったにもかかわらず、積極的に興味を持って取り組んで頂いて、職人としても感心させられることが多くありました。

この後、まだ2回。少しずつ葺き上がっていく工程を、通して取り組んで頂けるように願っています。今後も事故のないように安全第一でいきましょう。
sh@

0114 下地つくりー小棟ー

茅材が屋根裏にはみ出してこないようにレンの上に横竹を括りつけていきます。
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ハフ(煙出)を据えるときには、ヨコダケが足場として機能します。
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ハフの位置がまずいと、棟の納まりがおかしくなったり、茅の葺き納めに苦労したりする事になります。茅葺き屋根の下地には、曲がった丸太も当たり前に使われていて、組み方やハフのサイズも地域によって様々ですから、下地と擦り合せながら
、現場合わせで慎重に位置を決めていきます。

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軒が回って、小棟を据えて、ほっと一息。
sh@

始まってますね

カヤマル(1)を明日に控え、比較的暖かい雨の一日となりましたが、すっぽりと屋根に覆われている現場は、淡々と作業が進んでいました。 下地に組まれた竹。どこかで見覚えが・・・? カヤマル06に先立ち、あいなで活動されているプレゼントガーデンの皆さんと一緒に伐り出した竹も、ここに使われてますよ。 きれいに縄で止められて、くみ上げられた様子を見ていると・・・、明日やることないジャン! ご心配なく。現場は色々仕事があるそうですから。

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0113 茅材搬入 ーススキー

九州の阿蘇山から茅(ススキ)が10tの大型トラックでやってきました。
いずれは里山公園とその周辺の茅刈りで、必要な量の茅をまかなえるようになりたいのですが、とりあえず今回は各地の「茅場」から買い集めて、カヤカルによる成果の不足分を確保しました。

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何しろ阿蘇のほかに、吉備高原、北上川、宇治川から10tトラックが4台も集まってくるのですから。今回は新築ということもあり本当にたくさんの茅が必要になります。そして、茅葺き屋根が想像以上に重いということもわかってもらえるのではないでしょうか。単純計算だと40t。
sh@

0112 軒付け工程

茅材は屋根下地に対して角度をつけて並べなければ、屋根の形になりません。そのために軒裏となる部分で、下地のほぼ45°勾配から一気に水平近くまで角度を上げてしまいます。
この軒付けで屋根の大きさや形が決まってしまう、最初の大きな山場となります。

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下地の一番下に据えられている木材が「カヤオイ」。断面が台形で角度をつける最初のステップとなります。要は下地の横竹よりも太ければ良いので、細めの丸太等も使われてきましたが、カヤオイの太さが一定でなければ、仕上がった時の軒の厚みがそろわないため、製材した角材を用いています。

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柔らかな茅材が屋根裏にはみ出してこないように、下地に一握り厚さのヨシをワラ縄でかきつけて行きます。
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その上に稲藁を一定の厚さで固定します。短くてテーパーのきついワラで角度を稼ぎます。ワラは水に濡れるとすぐに傷んでしまいますが、軒裏には雨水が回る事は無いので問題ありません。

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ワラの上に半分に切ったススキの穂先等の短い材料を並べて、さらに角度を稼ぎます。
必要な軒の厚みが出た段階で、茅材を並べるのに最適な角度に収まっているように調整して、最後に長く丈夫なススキを並べて茅押さえの竹で縫い止めます。
sh@

0110 古色が塗られる

「屋根屋さん、この肥やしみたいな臭いは何なんですか?」
「さあ、屋根の材料ではないですよ。古色に柿渋を塗らはったんと違いますか」
「えっ、あれってこんな臭いするんですか?」
「柿渋はウ○コの臭いしますからねえ」
ウン○の臭いは時間が経てば消えるけれど、古色を塗ることは竣工時に完成型を求めるわけだから、『つくり続ける公園』のコンセプトからぶれてしまわないか心配になります。
個人的な考えとしては、これから時間をかけて使い込んで、いい色出していけば良いのにな、と思います。
sh@

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レン(茅葺き屋根の垂木)。手前から1本目と3本目が、柿渋系塗料による『古色』着色がなされた新補材。
2本目はエイジングによる本来の『古色』が出た古材。