軒から2針分葺き上がったので、上の方の古屋根をめくり始めます。
今回は藍那のときのような素屋根が現場にかかっていませんから、屋根の葺き替えには雨対策が必要です。
古屋根を一度に全部めくってしまうと、養生のためにとてもたくさんのビニールシートが必要になりますし、雨漏りの危険も大きくなります。
特に軒の部分は軒裏から吹き上げてくる風をはらんで、そこからシートがめくれたり破れたりしやすいので、まず、軒付けに邪魔にならない程度に全体の3分の1くらいの屋根を解体するにとどめて作業して来ました。
こうすれば、雨養生のためのシートは小さくて済み、その分風をはらむ恐れも少なくなります。
新しい軒がついて、軒先から屋根裏に風が入り込む心配がなくなってから、上の方の屋根をめくります。このとき雨養生に使っていたシートが、新しい屋根に古屋根の苔や泥が付くのを防ぎます。
残り3分の2の古屋根も一度にめくらずに、仕上がりの寸法が予想しやすくなるように、棟の部分はまだ残しておきます。何人もの職人が集まって、互いに見えない裏と表に別れて葺いていますから、このような気遣いが最後の仕上がりに利いてくると思います。
シートが無かった昔は、1日に葺ける分だけ毎日少しずつめくっては葺いていたり、白川郷で行われているように1日で葺いてしまう事を最優先に作業したり、色々と工夫(というか苦労)していたそうです。
sh@