覚園寺の屋根に葺く茅は、全てスミタさんが奈良の曽爾高原で調達されてきたススキです。
歴史ある茅場の例に漏れず、細くて丈夫そうな茅です。これを切断したりせずに長いままで使います。
押さえの竹のすぐ下にはしっかりと押さえられるように、やや太く長く丈夫な茅を並べます。
そのための茅はスミタさんが「特別に」注文して刈ってもらっているそうです。
おそらく、なだらかな起伏のある高原の中の、やや谷や窪地になった部分で、他より地味の肥えたところに生える茅なのでしょう。
茅の中には茅場に生えるたくさんの野花がドライフラワーとなって混じっています。
アキノキリンソウも綿毛となる前の、かわいらしい花のままで束ねられています。
曽爾高原は標高が高く雪が早いので、茅刈りも比較的早い時期に行われるからでしょう。
ちなみにドライになる前はこんな感じ。
藍那の現場でバイトしてくれた、ニシワキ君が送ってくれました。六甲山系東お多福山でのスケッチだそうです。
刈るのが早いためか、ススキはまだ葉やハカマを落とす程には枯れておらず、茅の中にはそれらが多く混じっていますので、葺いた感じはぼさぼさしたものになります。
しかし、これをハサミで刈り込むと、目の詰まった美しく丈夫な屋根になるそうです。
僕はまだ見た事がありませんが、仕上がりが楽しみです。
ところで、今日はマイミクのichide!さんがわざわざ鎌倉を訪ねて下さいました。
仕事場を見てもらったあとに、由比ケ浜大通りを入ったところにあるラ・ジュルネというご飯屋さんで、おいしいパスタを食べつつ話に花を咲かせました。
デザイナーというのは手の中に納まる道具から、都市を織りなす人と人の繋がりまで、社会に還元するためにより良いコトをデザインする人の事だと思っているのですが、正にそのようなデザイナーな方でした。
佐原市の水郷の再生の話など興味は尽きなかったのですが、しつこく降り続ける驟雨と鎌倉駅のやたら早い終電に急かされて話を切り上げざるを得ませんでした。
その土砂降りの中を駅まで向かおうとしたところ、何と居合わせたお客さんの一人がくるまでわざわざ送って下さいました。行きずりの人の親切は本当に嬉しいものです。ありがとうございました。
また、鎌倉が好きになりました。