月別アーカイブ: 2006年8月

0829 もう少し差し茅は続く

かやぶき音楽堂のある胡麻にはとてものどかな風景がひろがっています。
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山や家の雰囲気は同じ丹波に違いないのですが、美山には無い広々とした感じが和みます。
山一つ越えただけなのに。

そして、かやぶき音楽堂の中はこんな感じになっています。もちろん、今だけ。泊まり込みなので。
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テントは・・・蚊帳だと思えば・・・
ハンモックは・・・?    銅鑼は私物ではありません。

残っている小間は午前中はずっと日陰で、夏に仕事するには最適です。
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しかし、日当りが悪いというのは、茅葺きにとっては厳しい条件です。
とはいえ僕とヤマダさんでここを担当した以上は、最初に傷んで来たらワカモノ達に示しがつかないので、差し茅にも気合いが入っております。

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眺めは抜群のかやぶき音楽堂なのですが、足場はこの通り。
この高さは結構怖いです。

0827 まだまだ差し茅は続く

入り口側の小間は完成して、大間の方も仕上げに入りました。
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ハサミはあくまで仕上げにかけるもので、差す過程である程度は屋根の平面ができあがっているのが理想です。
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差して上がる時にきちんと屋根のかたちが出来ていないと、足場用に吊ってある丸太を外してから、ハサミをかける前にでこぼこをならす調整が必要となり、余計な手間がかかってしまいます。

丁稚のワカモノ達が調整に苦労しているあいだに、反対側の小間にも足場を組んで差し茅を始めました。
今回のように屋根全体に差し茅をしてかたちを作り直す「総差し」では、軒を充分な厚みで丈夫につくっておく事が、長持ちさせるためにも肝心となります。

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古くなった屋根では手前のように軒の厚みは半分程に減っています。ここに茅を差すことで軒をつくり直して行きます。

ところで、我々が毎日使わせてもらっている洗濯機で、この白いアマガエルがいつも休んでいます。
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アマガエルは住む場所に合わせて体の色を変えているので、茅葺き屋根の上で暮らしている灰色の個体は良く目にしますが、ここまで白くなったのは始めて見ました。

間違って洗剤で洗ってしまった訳ではありません。

060823 旧南桑田郡の茅葺き

かつて各地に出稼ぎして活躍していた、芸州屋根屋と呼ばれる広島の茅葺き職人さん達の記録をされている、マイミクの 青原さとし さんが出稼ぎ先の一つである亀岡に、調査のため訪ねて来られました。
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亀岡市南部の旧南桑田郡は、京都府と大阪市の県境=丹波と摂津の国境にあたる地域です。
美山の近所でもあるので、ご案内がてらに同行させて頂きました。

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自分とは立場の異なる方がヒアリングする内容は、とても興味深く勉強になります。

調査の結果はいずれ 青原 さんが記録映像へとまとめられて、発表されるのを楽しみに待たせて頂いていますが、僕個人の印象としては、亀岡盆地の南側では茅葺き職人と住人の方との関わり方が、我々の地元である北側とは随分異なる事が驚きでした。

0822 差し茅はつづく

小間(妻面の屋根)といえども、規格外の大きさ。
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ようやく一面仕上がりましたが、より大きな大間(平面の屋根)はもう少し差し茅をしなければ刈り込みにはかかれませんし、反対側の小間はまだ手つかずです。
今年は大きな屋根が続くなあ。

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暑い中で炎天下の屋根の上での作業に向かうパワーの源は、やはりおいしいご飯です。

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「サラダうどん、棒棒鶏仕立て」うどんが見えないほどてんこ盛りの具。

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そして本日は「野菜たっぷりタイ風カレー」

何だかこのブロク「賄い飯」みたいになって来ましたな。

0819 料理長

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お盆が過ぎてもあいかわらず暑いです。

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夏を乗り切るためのスタミナとビタミンを毎日美味しく提供してくれているのは、藍那の交流民家の現場にアルバイトできてくれていたナカモリ君。
鎌倉から帰って来て再会したら、すっかり「茅葺き職人見習い」の顔になっていましたが、同時に披露してくれた想定外の才能に日々お世話になっています。

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昨日のお昼ご飯は「じゃこチャーハン茄子の素揚げのせ」

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本日は「夏野菜のラタトゥユ」也。

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後片付けは交代して。
僕は気まぐれにしか洗っておりませんので、申し訳ないです。

060813 盆休み

実家に帰って来ました。
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ひさしぶりに仏壇を見て思ったのは、仏花を供えるために小さな庭でも四季を通じて咲くようにアレンジされていた花が、ガーデニングが盛んになるにつれあまり見かけなくなってしまったのは皮肉かと。
日本水仙とか百日草とかグラジオラスとか。

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盆だからとてたいした手伝いもしておりませんが、お迎え火くらいは焚きましょうか。小さな庭で。

0809 DogDays

かやぶき音楽堂の修理は「差し茅」 です。
屋根が大きいとなかなか進行しているように見えないので気が急きます。
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加えて連日のこの暑さ。
丹波高原とはいえ日中の暑さは変わりません。ましてや、屋根に上がるのは過酷な季節。皆さすがにバテ気味。
夏が暑くなかったら困りますけれども、やっぱり川で鮎漁師が良いなあ・・・
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「破風」もでっかい。
この三角の風破板の下の葺き納めを担当しましたが、通常半日くらいで終わる工程に丸2日かかってしまいました。
破風が大きい分だけ葺く面積は小さくなっているので、労力としてはむしろ節約されているはずですが、工程をこなすのに時間がかかると捗っていないような気になります。
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060808 建築家のための茅葺きツアー

砂木の家の図面を起こしてくれている建築士のヤナガワさんが、学生のトヨマキさんを連れて美山を訪ねてくれました。
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茅葺きの特殊性を理解して頂かなければ、その設計図を描くことは不可能なことですから。

きたむらではナカノさんたちが葺き替えをされている現場も見学させて頂きました。
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内部を公開している資料館では屋根裏に潜り込んで、茅屋根の構造材が総持ちになっている様子について、解説させてもらいます。

茅屋根に窓を穿つイメージを持ってもらうために、きたむらよりさらに奥へ入ったところに建つ、イギリスの茅葺き職人さんが葺き替えて、屋根に窓を設置した家も見に行きました。
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因にこのお宅の葺き替えを手伝ったことが縁となり、僕も半年程イギリスへ当地の茅葺きを勉強しに行くことが出来ました。

この家の窓は屋根裏部屋のためではなく、明かり取りの天窓として機能しています。
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お住まいのSさんからもお話しを伺うことが出来ました。庇を設けず茅屋根を葺き下ろした古いスタイルの茅葺き民家は、現代の住宅としては屋内の暗さと湿気が問題なのですが、天窓のおかげで明るくなっただけではなく、湿気も除いて冬でも冷え込むことが無くなったそうです。

最後に砂木の家の敷地も訪ねてもらって、正確な面積も測量してもらいました。
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しかしここで問題が。「思ったより狭くてこのままでは収まらないかも・・・」
・・・え? それは大変なのでは?

0805 京都府下唯一の村へ

南山城村にあるヤマダさんの茅倉庫まで、材料を取りに行って来ました。
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木津川の渓谷沿いの国道から、つづら折れの細い山道を辿って上った開けた高原の山中に、秘密基地のような茅倉庫があります。
茅葺きの材料はとにかくかさばるので、茅葺き職人としてはその保管場所の確保に悩まされます。かつては材料はお施主さんが用意されるものでしたので・・・

美山では川底の石は黒くて尖っているのですが、このあたりは地質が随分と異なるようで、谷川の底には真っ白な花崗岩の砂利が敷き詰められていて、高原の明るい空気と良く似合っていました。
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そんな谷川の水を引き込んで棚田がつくられていますが、水取口には用水を蛇行させ、太陽熱で暖めてから田んぼに引き入れる仕掛けがしてありました。
小学校の社会科で習ったなあ、これ。
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実際、谷川の水は冷たく澄んでいて、茅の積み込みでホコリと汗にまみれた顔を洗うには最高でした。

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高原の景色に見とれていた訳でもないと思いますが、帰りの山道でタイヤをガードレールに接触させて、バーストさせてしまいました。
幸いダブルタイヤの後輪だったので、谷底に茅もろとも転落という事も無く、巨大なタイヤの交換も駆けつけたJAFが3分で済ませてくれて事なきを得ましたが。
安全運転。

0801 かやぶき音楽堂

鎌倉から戻ってから自宅の老朽化との戦いなど、こまごまとした用事に追われて来ましたが、今日から屋根に戻って来ました。
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となり町(といっても合併して同じ南丹市になりましたが)にある「かやぶき音楽堂」の差し茅をしている、「山城萱葺屋根工事」のヤマダさんのところへお手伝いにやって来ました。

お寺の本堂を移築した、とても大きな屋根です。
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いよいよ梅雨明けして屋根の上の「熱さ」も本格的に・・・

ハードな季節の現場となりましたが、健康管理に気を遣いながら良い仕事をさせて頂きたいと思います。
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