月別アーカイブ: 2006年9月

0912 古屋根の解体

9月に入った途端に夏は終わってしまったようです。
霧雨がやや肌寒く感じるなか、葺き換える屋根をめくり始めました。

この程度の雨ならば、ホコリが立たなくて結構ですけれどね。

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屋根を解体しながら再利用できる古茅は選別して、長さ毎に束ねておきます。
茅を束ねるために藁を穂先同士で結んだ「サンバイコウ」(相変わらず名前の由来は判りません)を、お施主さんが用意してくれていました。

昼から雨がやや強くなって来たために屋根めくりは中止して、棟飾りの「ウマノリ」(千木)を降ろしました。
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通常の美山の棟収めだと、棟養生の杉皮を押さえている「カラミ」(横木)はウマノリで挟んでいるだけなので、ウマノリを降ろすと必然的に杉皮までめくってビニールシートで養生する必要があるのですが、こちらの家では針金で縫い止めてあったので、とりあえずそのままにしておきました。
前回、約25年前の葺き替えは滋賀県の屋根屋さんがされたそうで、屋根のかたちは同じでもやはりやり方は微妙に違います。

その後、南側の足場も組みました。
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こちら側は葺き換えるのは上半分だけで下半分は差し茅とするために、足場に置く材料も少なくて済むのでやや小さめの足場です。

0911 久し振りの美山

美山町の「かやぶきの里」こと、伝統的建造物群保存地区に指定されている北の集落で仕事が始まりました。

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考えてみると美山での仕事はほぼ一年ぶり。
現在でも茅葺屋根の葺き替えが当たり前の美山では、お施主さんはもちろんご近所の厳しい目にも鍛えてもらって修行して来ました。
地元ならではの緊張感もありますが、やっぱり落ち着きます。
何と言っても、住宅として使われている屋根の葺き変えには、文化財等とは異なるないやりがいがあります。

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まずは足場組みから。
軒の高さに合わせて丸太足場を番線で組んで行きます。

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夕方集落裏手の山に、「ユキワリ(棟飾りの上に横に渡す丸太)」にする杉を搬出に行きました。
茅倉庫に運んで乾燥させておきます。

060907 待望のプラン提示

建築士のヤナガワさんと、小浜の「風音(ふうね)」というお店で打ち合わせました。カレーが美味しいお店でした。
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鎌倉での打ち合わせ で話した僕のコンセプトと図面を下敷きにして、3つのプランを提示してもらいました。
全てのプランにおいて、敷地にあわせて下屋の奥行きを縮めてあり、僕のプランでは決められなかった階段の位置が検討されています。

A案:僕の描いた図面をもとに改良されたもので、下屋を薄くした分書斎の北側にまわり込むキッチンが、閉ざされた印象を受けないように、居間に対してオープンキッチンとして、居間が家族の中心となるように計画されています。
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階段は居間の北西角に曲がり階段とし、階段で出来たコーナーを一段下げて薪ストーブコーナーに。

A-2案:A案のストーブコーナーを設けず、階段を居間と書斎のあいだに設置したものです。
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階段は全体が透けている力桁階段となっているため、居間と書斎との通風やつながりは保たれています。

B案:キッチンと居間、土間、さらには庭もつなげて、季節の良い時には大勢集まったりして楽しめます。冬は、かっちり閉じることも可能です。
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水廻りをいじめることなくオープンキッチンが可能なので、トイレ、洗面脱衣にそれぞれ適切な広さが確保できた、バランスの良い案です。

C案:大きなカウンターを中心にしたキッチンを真ん中に配置し、居間と繋がった大きな空間をつくり、広々使えるシンプルな平面となっています。
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建具を設ければ、冬はキッチンと居間を仕切ることも可能です。階段はA-2案と同じ配置。

いずれのプランも魅力的です。あまりのんびりしている時間はありませんが、じっくりと検討して選ばせてもらおうと思います。
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国宝の本堂と三重塔のある明通寺が近くなので、打ち合わせのあとお参りしてから帰りました。

0904 VS カラス

かやぶき音楽堂、竣工いたしました。
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ところで、かやぶき音楽堂に差し茅に来るのは、始めてではありませんでした。
駆け出しの頃に今回手を付けなかった側の大間を差し茅しました。
屋根にカブトムシの幼虫がわいて、それを食べるためにカラスがほじくるので傷むという話でした。

茅葺き屋根が局所的に傷むのは、材料や葺き方に問題があって雨水が染み込んだり、周囲の立ち木や日当りのせいで乾きにくかったりすることが原因となるのが普通です。
ところが、カブトムシの仲間の幼虫は、乾いた屋根までせっせと食べては土に変えてしまいます。もっとも、乾いた屋根よりは居心地のよい腐葉土が周りの地表にたくさんあるので、問題になるほど屋根にわく事はそれほど多くはないのですが、修理しても一匹でも残していると再び致命的な損傷に至ってしまう、茅葺きにとっては癌のようなものです。
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とにかく、土に変わった部分の屋根と幼虫を全て取り除き、傷んだ箇所を差し茅した後に、お施主さんの希望で「カラス除け」のためにCDをたくさん吊っておきました。

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禅定寺ではアワビの殻 を使っていましたが、この手の「光りモノ」が鳥除けとしては気休めにしかならないのは、ベランダのハト除けやゴミ集積所のカラス除けで皆さん経験されている通りです。
こちらでもカラスはすぐに慣れてしまって効果は限定的だったようで、その後もカブトムシ除けに屋根にクレオソート(石油系木材用防腐剤)を噴霧したり、色々と試行錯誤を繰り返されていたようです。

で、今回訪ねてみると問題の側の大間には、ステンレスのワイヤーが張り巡らされていました。
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これだけしておけば例えカラスが慣れてしまうことがあっても、屋根に止まる事は物理的に不可能でしょうね。
今のところカブトムシによる被害も出ていないようです。
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まあ、少々うるさい気もしないではありませんが、これだけの大屋根を維持して行く苦労を思えば、効果のあるカラス除けを設置できたのは大きな事だと思います。

0903 差し茅の仕上げ

昨夜、社に祀られていた神輿が、集落内を練り歩いて行きます。
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1ヶ月に渡ったかやぶき音楽堂暮らしも、間もなく終了です。
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最後に残った小間も、仕上げの軒刈り。
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差し茅をする段階で屋根の平面などのかたちがきちんとできていれば、刈り込み仕上げも手間がかからずはかどります。

0902 祭りのハシゴ

完成した方の小間は足場も解体したので、一服するところは空が広くなりました。
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残りの小間の差し茅もほぼ終了。
あとは仕上げを残すのみです。
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その夜、胡麻の八幡さまのお祭りでした。
世話役の方が軽トラでまわりながら、スピーカーで「みんな家から出て来なさーい」と呼んでまわっていたので、呼ばれて行って来ました。
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お社には神輿が祀られて、境内には地元の皆さんの手作りの屋台が建ち並び、盆踊りは無いけれど昨夜の僕の地元のお祭りよりずっとにぎやかで、いかにもお祭りな雰囲気を楽しませて頂いて来ました。

かやぶき音楽堂に戻ってあらためて夕食。
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今夜はナカモリ料理長ではなく、お施主さんの息子さんが手料理を振る舞ってくれました。
何故か北アフリカの料理が並びます。
めずらしくておいしい料理でお腹が一杯になりました。

060901 八朔のお祭り

美山の僕の暮らしている集落では、八朔のお祭りを9月1日にずらして行っています。
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この日に合わせて、午前中は集落総出で林道の草刈りをします。
その後昼から青年団?で盆踊りのやぐら建て。

夕方になると茅葺きのお堂に料理を持ち寄って集まり、お地蔵さんにお経を上げてから皆で頂きます。
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「持ち寄って」といっても僕は一人暮らしなのに甘えて、食べる方専門でした。

数年前まで盆踊りもこの地蔵堂の周りで行っていました。
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この光景は好きでしたけれども、日が暮れてから尾根の上の高台にある地蔵堂まで登ってくるのは大変な事もあって、今はゲートボール場の隣りにやぐらを組んでいます。

これは今年。
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我々青年団?ではやぐらを建てた後はかき氷を作ったり、金魚をすくうためにたらいに放したりするだけですが、
こうやって集落の人達が集まって下さって、茅葺きが近くになくなっても良い光景です。