職人なら仕事は手と目で覚えるものだとは思いますけれども、客観的な記録という点では写真や映像はやはり優れものです。
実際の施工作業にかかると解体の過程では気付かなかった疑問点も出て来ますから、あらためて写真資料を見直せば新しい発見がいくつもあります。
並べた茅材を押さえた竹を、次の茅材を並べることで覆い隠すことを繰り返して葺き上がっていく茅葺き屋根。
最後の押さえ竹をどうやって隠すかの工夫が、様々な姿の棟収めを生み出して来ました。
共通しているのは最後の押さえ竹が棟の基礎となること。
屋根の表裏で基礎の高さが揃っていなければ、どんなに丁寧に棟を積んでもやがて傾いてしまいます。表裏の押さえ竹に足を置き棟を跨いで立ってみることで、竹の高低を判断します。
茅材を横積みにして棟のかたちを整えます。
丸い棟にするために、関西のように高く積み上げたりはしません。
両端を杉皮で押さえ、その杉皮をマキワラで押さえます。
マキワラは竹串を差して固定します。
平行して、ケラバ(破風周りの軒)も刈り揃えたので、屋根のかたちがはっきりして来ました。
ところで、ドングリの降り方は日に日に強くなってきていて、カーン!と音を立てて鋼管足場に落ちてくるそれは、頭に当たったりすると結構痛かったりします。