藍那里山公園では里山を構成する自然環境のひとつとして、茅場(カヤバ=ススキ野原)の維持再生に取り組んでいます。
公園内の茅葺き民家の屋根は、公園内の茅場で毎年刈り貯めた茅で葺き換えることを計画しています。
茅刈りを、広く来園者の皆さんにも参加を呼びかけて行うことで、茅葺きという文化に気軽に参加する機会を提供していければと思っています。
今回は公園事務所が近隣の小学校を中心に募った募集に応じられた、小学生とその父兄への茅刈りを指導するように依頼されたので、武相荘の現場から丁稚サガラを連れて神戸の里山公園へと駆けつけて来ました。
何年も前に耕作放棄されて薮が茂るに任されていた休耕田も、毎年の茅刈りを欠かさず続けることで美しいススキ野原となりました。
かつては農業をするための肥料や飼料として草刈りは欠かせなかったので、里山にはこのような茅場が必ずありました。
そこはスズムシやマツムシといった、澄んだ鳴き声で私達を楽しませてくれる虫達の棲み家でもあり、シカやイノシシの採餌場でもあり、万葉の昔から日本人に愛されて来た秋の七草も、全て茅場に生える草花なのです。
茅葺きのために茅を刈り集めることは、貴重な動植物の暮らす生態系である茅場を守ることにもなるのです。
注意するべきことをきちんと伝えておけば、小学生が集めた茅束も立派に屋根葺きの材料に使えます。
そして、冬晴れの日に茅場に入って鎌を使ったこと、カヤネズミの小さな巣をみつけたこと、茅葺き民家の縁側の日だまりで昼食のカレーを食べたこと、そのような思い出を持つ子供たちが、茅葺きを文化として受け継ぐ社会を培って行ってくれることでしょう。
集めた茅束は冬のあいだ乾燥させるために、交流民家の前に「ニウ」に仕立てておきます。
晴天に恵まれて子供たちも大人も楽しんでもらえたようで、夜行バスを使った0泊3日の強行日程で駆けつけた甲斐がありました。
茅葺屋主催の茅刈り(カヤマル'07)は1月18日に神戸で開催に向けて調整中です。
開催要項その他は正式に決まり次第お知らせします。
参考までに昨年のカヤカル'06@神戸の様子です。
ぜひご参加ください(まだ募集要項も示さず申し訳ありませんが・・)