天橋立を眺めながら、朝凪の海岸に沿って遊歩道を散歩するのが日課になりつつあります。
とてもたくさんの種類の鳥を目にすることが出来ます。海辺の鳥達は普段美山の山奥で見ているのとは違っていて新鮮です。
軒から何段か葺き上がって安定したので、残る上半分の古屋根の茅もめくります。
下半分と同様に、再利用できそうな茅は余り多くありません。
片側の茅が全てめくられて、後は葺き上がって行くだけとなりました。
旧永島家住宅は箱棟なので、棟の解体の必要が無い分手間がかかりません。
変な箱棟だと、葺いて行くのにかえって手間がかかることもありますが。
下地の竹はやはり100%交換が必要でした。
旬の悪い時期に伐った竹は、どんなに乾燥させても煤竹にしても、虫が入ってだめになります。
ちょっと判りにくいかもしれませんが、屋根下地の構造が同じ入母屋でも美山とは全く異なります。
放射状に垂木が流される美山と異なり基本的に垂木は平行です。
寄せ棟に破風(ハフ=煙出)の部分を乗っけて入母屋にしている美山と、切り妻に風破の下を継ぎ足して入母屋にしている丹後。
箱棟に近寄って覗き込んでみると、驚くほど大きな部材で丈夫に組まれていることが判ります。
最後の葺き収まりではこの箱棟の下に、茅を詰め込めるだけ詰め込みます。箱棟の造りが華奢で詰める際に壊れないように気を遣うようでは、詰めた茅が後々緩んで抜けて来てしまいますので。
また、部材の下端が斜めに切り取られていることにも注目して下さい。
茅は雨仕舞いのために常に外に向かって傾斜していなければなりません。下端が水平だと奥側の角に茅が詰まるので、箱棟と茅のあいだに隙間が残ってしまうのです。
さらに箱棟の内部の様子です。
箱棟の棟桁は茅葺きの屋根下地の棟木から束を立てて充分に浮いており、内部には詰め込んだ茅の先を収めるだけの空間が確保されています。
箱棟は茅葺きの棟収めの変遷の過程で生み出された形態ですが、この箱棟を設置された大工さんは茅葺きのことを良く理解されていたようです。