床組の部材は家が完成してしまうと人の目につく事はなく、しかし、湿気や虫害には最も曝されるところですから、昔から見た目は悪くとも乾燥し切った丈夫な古材が、転用されることの多いところです。
砂木の家でも、何かに使えると思って集めていたヒノキやクリの柱などが、大引として用いられました。
束は茅葺き屋根の棟飾りに使う、ウマノリの端材です。
自宅として暮らしていた小屋のまわりが散らかるのを気にかけながらも、いつか役に立つ事を信じて後生大事に抱え込んでいた木切れたちが、立派な仕事に就いてくれて何とも言えず嬉しいです。
砂木の家の耐力壁となる壁は、土塗りの荒壁とするので、柱のあいだに筋交いではなく貫が渡されました。
構造用コンパネや筋交いでひたすら固めていく方法だと、限界を超えた途端に一気に破壊されることがあり得ますが、伝統的な貫構造は、小舞竹、壁土と一体となることで、丈夫なうえに粘り強い壁をつくります。