また雨降りですが、竣工間近で待機もしていられないので、富山県のスギヤマさんの現場まで手伝いに来ました。
こちらの現場は素屋根で覆われているので雨の日に人材を振り向けておいて、雨が上がったら今度は小松に来てもらおうという魂胆です。
北陸には竹が少ないからでしょうか。太い丸太同士を縄で括った屋根下地なので、茅葺き屋根の小屋組の構造が良くわかると思います。
茅を屋根に固定する押さえ竹を、屋根裏のレン(垂木)に縫い付けるのも針金ではなく縄を使っています。
針金だとトックリ結びで締めることができますが、滑りの悪い縄はそうはいかないので、男結びでとめるためにまず2重巻きにする必要があります。
以下、その方法です。
まず、屋根用の針に縄を通してレンの際に差し、屋根裏の人に掛け替えてもらって縄をレンに巻くのは針金と同じ。
一回巻いただけだの縄を引っ張っても押さえ竹を締めつけることができないので、2回巻きにします。
短い方の縄を少しずつ引っ張ると、2本の縄がレンに向かって屋根に吸い込まれて行くことになります。
この時、縄が絡まると後で上手く締まらないので、左手を添えて2本の縄が平行になるようにしてやります。
引っ張り続けると挟んだ縄の先がレンを廻って戻って来ます。
挟んでいた短い縄を抜けば、レンに縄を2重巻きに出来ました。
2本の縄それぞれを右手と左手に持って引っ張りつつ、竹を足で踏んで締め付けます。
締め付けたまま男結びで止めてしまいます。
僕の修業時代には美山でも縄だけを使っていました。懐かしいです。
価格的に針金の方がはるかに安価で、施工性も良いので最近では針金ばかりになっています。
冬の寒い時期にワラ縄を使うと、ワラに皮脂を奪われてあかぎれになったりしましたが、それでも個人的には縄の方が好きです。