月別アーカイブ: 2008年11月

1111 刈込み

棟が収まったら仕上げのハサミをかけて刈込みます。
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ウマノリの上に乗っている丸太は「ユキワリ」と呼ぶ飾りですが、ウマノリの位置を保つ役目も果たします。
両端がピンと跳ね上がっているのは、根まで掘りおこして伐採した杉丸太を使っているからです。根ごと伐ろうとするときチェーンソーがとても傷むので我々ではここまでのものは出来ませんが、お施主さんがこだわりを持ってご用意されていたものを使わせて頂きました。
格好良いですね。

仕上げのハサミをかけることで屋根は平滑になり、見た目に美しいだけでなく水はけが良く丈夫になります。
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ただ、茅の材として一番丈夫な根本の部分を切ってしまう訳ですから、わずかに刈れば平らになるように、葺く段階できちんと屋根のかたちを出しておくことが肝要です。

現場の裏の畔で採った野イチゴ。名前は良くわかりませんが、程良い酸味が美味でした。
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秋は深まって山も里も実りの季節を迎えています。

心地よい季節の中、刈込み仕上げも軒を残すのみとなりました。
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1106 棟収め

棟を積みます。
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今まで葺いて来たのとは90度向きを変えて、棟に平行な方向に茅を積み上げて棟のかたちにして行きます。

水平を確認しながらかたち良く棟を積み上げたら、今度は再び棟に直角方向に稲ワラを葺き並べます。
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これによって棟を支える押さえ竹を充分に雨から養生し、仕上げの杉皮を水仕舞い良く置けるようにもなり、しっかりと固まった丈夫な棟になります。

棟を直接防水するために、二つ折りにした杉皮を敷き並べます。
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杉皮が風で飛ばされないように角材(カラミと呼びます)で押さえていますが、この段階では棟の裏表で吊り合っているだけで、固定はされていません。

栗材の棟飾り「ウマノリ」を載せます。ウマノリには杉皮を押さえる面にアゴが欠いてあって、カラミが引っかかるようになっています。
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つまり、棟を雨から守る杉皮に穴をあけたりせずに、ウマノリで棟全体を挟むようにして固めています。美山の茅葺き屋根のウマノリが、大きく重いのは伊達ではありません。

豊かな地域性は茅葺き屋根の魅力のひとつですが、棟の収め方には特に地域による創意工夫が見て取れて楽しいです。

1103 葺き上げ/屋根裏の木登り

職人の数が揃っている現場なので、屋根の表裏に分かれて同時に葺くことができています。
表裏ふたりずつの職人が、それぞれの両角に責任を持ちペアを組むので、表と裏で互いの早さと仕上がりの良さを横目に睨みつつ、何となく競争が始まります。
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葺き並べた茅の先が棟を越すようになると、表裏で押し合いになって仕事にならないところですが、そこは気心知れたもの同士、競争しつつも互いにタイミングを計って、現場を止めたりはしません。

棟近くまで葺き上がってくると、屋根裏で針受けをするのも、足場の確保に一苦労することになります。
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屋根裏で棟木を支える棟持柱によじ上っての作業。屋根屋には体重制限が避けられませんね。

無事に葺き上がり、棟を積む段取りにまでこぎつけました。
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小さな現場は茅葺屋で切り盛りすれば小回りが利きますが、棟を積み直すような大きな現場は、皆で集まって葺くと捗ります。互いに意識し合うから活気も出ますし。

とは言いながら、いつの間にやら色づきはじめた山に、季節が進んでいることを知らされます。
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雑木林の紅葉は、まず黄葉から始まるみたいです。