日別アーカイブ: 2008-11-15

1115 古屋根解体

ナカノさんの美山茅葺き株式会社の現場の応援に、美山町の野添地区にやってきました。

こちらのお宅は、母屋の正面を茅葺きのまま軒まで葺き下ろし、小屋も茅葺きで残されるなど、昔ながらの佇まいに愛着を持って守られているご様子が伺えます。
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美山の屋敷構えは、こちらのように小屋・母屋・土蔵が横一列に並び、小屋と蔵は母屋に棟方向が直交するものが、最も一般的に見られます。

まずは、母屋を葺き替えます。
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よく見るとそこここに押さえの竹が出て来てしまって、葺き替え時を迎えていることがわかります。

今回は棟まで葺き替えますが、一度にめくってしまうと工事用のブルーシートだけで養生する面積が大きくなり過ぎ、強く風に吹かれると雨漏りの心配が生じるので、まずは下半分だけをめくります。
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古茅はめくり取る時に分別し、再利用可能なものは長さごとにまとめ、使えないものは畑へと向かいます。

晩秋のこの時期、乾いて暖かな茅葺き屋根には、冬眠するために様々な虫たちが潜り込んでいます。屋根めくりの際に古茅ごと掴んでしまうと、カメムシなら臭いくらいですみますが、アシナガバチだと痛い思いをすることになります。しかも、後で猛烈にかゆくなります。
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夏場の鮮やかなレモンイエローは面影も無く、冬眠モードなのか焦げ茶色にくすんでふらふらしていて、まともに飛ぶことも出来ませんが、さすがに掴んだりすれば刺されることになります。
でも、焦げ茶色で動かないから、茅に紛れてなかなか気付かないんです。もっと、派手なままでいてくれたら良いのに。

お知らせ 茅葺きシンポ@神戸

「人のいとなみと田園景観〜茅葺き民家が『ゆたかさ』のシンボルに」というタイトルで、神戸市北区において茅葺きシンポジウムが開催されますので、お知らせいたします。
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港町の印象の強い神戸ですが、この建設年代が明らかな日本最古の民家「箱木千年家」も神戸にあります。明治以降の急速な街の発展を支えたのは、六甲山の北側に広がる豊かな北摂の農村地帯でした。

そして茅葺きのある農村での営みが、このススキ野原に巣をかけて暮らすカヤネズミ等、多くの生き物の命も支えていました。
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自然との共生が日々の暮らしに求められる現在、茅葺きの現代的な再評価を進めて来た齊木崇人、安藤邦廣、両先生の対談からは、新たな茅葺きの可能性を導き出してくれるのではないかと、個人的にもとても楽しみにしています。
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平成20年12月4日(木)10:00〜12:30
すずらんホール 大ホール (神戸市北区役所前)

【基調講演】「茅と民家と神戸の田園景観」
齊木崇人(神戸芸術工科大学学長)
/対談:安藤邦廣(筑波大学教授)

【パネルディスカッション】「なぜ今茅葺きなのか〜茅葺きの魅力について」
コーディネーター:齊木崇人(神戸芸術工科大学学長)
パネリスト:
上野弥智代(全国茅葺き民家保存活用ネットワーク協議会事務局)
岡田孝久(八多町自治協議会副会長)
磨家孝昭(神戸市教育委員会文化財課主査)
塩澤実(茅葺き職人/茅葺屋代表)

【内田家イベント】「茅葺き屋根の補修の見学や体験イベント」

※ハガキ、FAX、Eメールのいずれかで、件名「茅葺きシンポシンポジウム」とし、住所、氏名、電話番号、参加人数を記入して、下記まで申込の上当日直接お越し下さい。

{問合せ}
〒651-1114 神戸市北区鈴蘭台西町1-25-1 北区まちづくり推進課「茅葺き」係
TEL:(078)593-1111(代) FAX:(078)593-1166
Eメール:kitaku@office.city.kobe.jp

フライヤーのpdfはこちら
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