箱棟(はこむね)ってご存知ですか?
棟の部分が箱を被せたように、大工仕事であつらえてある茅葺き屋根です。ふつう瓦が葺いてあって、茅屋根の葺き替えの際にはいちいち解体しません。
傷みやすい棟の部分を補強して、一見合理的なようにも思えるのですが、果たしてどうでしょうか。
茅葺き屋根は、並べた茅を押さえたところを隠すように、次の材料を置くのが基本です。地方によって様々に工夫されている棟収めもまた然り。
ところが箱棟の場合は、最初から隠すふたが用意されているところへ、茅を葺き詰めていかなければなりません。そうすると、最後のひと針分の茅をいかにして押さえるのか?
この隙間をどう埋めましょうか?茅を詰め込んだだけでは、どんなに固く詰めたところで、やがて屋根全体が乾燥して落ち着いてくるに従って、ゆるんで抜けてしまいます(箱棟によっては、茅を思い切り詰め込んだら壊れてしまうものもあるし)。針金でかきつけたりぎりぎりのところで押さえたら、押さえるところが屋根表面に近すぎて、屋根の中に水が廻る原因になりかねません。
実際にはそうならないように何とかしている訳ですけれど、手間ひまかかるほどには長持ちということも無いし、下手するとかえって頻繁な補修が必要になりかねません。
本当に苦労しますよ。
sh@